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全てを捧げる花となる

作者: 彩葉 望

 高熱を出し目を覚ました時自分の姿に絶望した。



 白に近い金色の髪に透き通るような青い瞳。



 あぁ、死ぬのだ。私の知らない誰かが幸せになるために死ぬのだと何故か思った。



 何故死ぬのかは分からない、どのようにして死ぬのかも分からない。だが死ぬことは分かった。



 不思議で変な感覚が私にまとわりついた。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 目を覚ました私に気づいた両親が泣きながら良かった良かったと繰り返し私を抱きしめた。それをきっかけに涙が溢れ出した。声を上げて泣いた。両親もびっくりしていたが泣き止むまで抱きしめてくれた。



 その後泣き疲れた私は眠ったらしい。目を覚ました私の隣に温かい何かがあった。隣を見ればまだ3歳の妹が私の隣で眠っていた。妹の目は赤く腫れ上がっており泣いたことが分かった。



 妹を抱きしめてもう一度眠りについた。












 時は経ち私が17歳で婚約者が決まった。隣国の第二王子だった。隣国との繋がりをより強くするための婚約だと聞いた。



 その一年後隣国に嫁いだ。可もなく不可もなく隣国の暮らしは充実していた。



 ある時両親と妹が病気にかかったと手紙が来た。



 その病気の治療法は見つかっていないと書かれていた。長くてあと半年だと。国に帰りたいと言っても返して貰えなかった。当たり前だ。



 その病気はどんどん広がっていき国の4分の1の者達が病に侵されていった。



 両親と妹に手紙を書いている時、いきなり部屋に入ってきた兵士に連行され牢に入れられた。何故と聞けば隣国のスパイの可能性があると言われた。何を言われているのか分からなかった。



 私の夫である第二王子がやってきた。私が牢に入れられている理由を聞かされた。そこでやっと理解した。子供の頃何故か自分が死ぬことが分かった。私は隣国の平和のため()()()()運命だったのだ。



 死ぬのは怖かった。何故私が生贄にならなければならないのかと思った。


 夫は最後になにか望みはあるかと聞いた。そこで白い薔薇を私の両親と妹に送って欲しいと頼んだ。不思議そうににしていたが分かったと、了承してくれた。



 隣国のため、夫のために死ぬのは嫌だった。どうせ死ぬのなら私の大切な人達のために死にたかった。



 だから、最後の最後に足掻いてみた。古い本に書かれた方法。これできっと助かると安堵した。私はこの国のために死ぬのではない。



 私は私の大切な人達のために死ぬのだ。





 そして私の処刑が行われた。




 ◇◆◇◆◇◆◇

 先程娘から贈られてきた白い薔薇を妻ともう1人の娘と眺めていた。



 すると、突然白い薔薇が光だし花びらが透き通るような青に変化した。白に近い金色の光はどんどん範囲を広めていった。その光は国を覆う程だったと後で聞いた。



 その光を浴びた途端身体が軽くなった。不思議と病気が治ったように感じた。医者を呼び、見せると妻も娘も私も病気が完治したと驚きを隠せない顔で言われた。



 その数日後隣国に嫁いだ娘が冤罪をかけられ処刑されたと聞かされた。



 その日は、国が光に包まれた日だった。







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