表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

農家の朝は早い

農家の朝は早い。


街の奴らがまだ寝ぼけている時間から、マウントンを連れて畑に出る。いつもの作業着のベルトにナイフをさし、マウントンの背中に籠を二つかける。背中の両側に籠がぶら下がるようにしているのは、収穫が多いからではない。ただのバランスの問題だ。


「おまえ、まだ目が開いてないぞ」

「うもー」


マウントンは収穫物を街まで運んだり、畑を耕したりと農家には欠かせない家畜だ。俺も日々こきつかっているのだが、如何せんもう年寄りのせいか、寝る時間が若い頃の2倍位になっている。羨ましいことだ。


朝に起きないどころか、歩きながら寝て、橋から落ちてびしょ濡れになったこともある。荷物を背負ってなくてよかったよ。


「ほれ、行くぞ」


ぺしぺしとマウントンの首筋を叩くと、ぬぼー、と変な声を出しながらゆっくりと目を開け、歩き出した。


どうせ畑と言っても、家庭菜園に毛がはえた位の広さだ。老マウントンのとろくさい足でも、あっという間に目的地に着いてしまう。もっとも、俺一人暮らしていくには充分すぎる収穫があるのだが。


太陽はまだ見えない。薄暗い白い空気の中をのんびり作業を始める。


「おー、いい具合に赤くなってるなあ。」

「もー」

「ほれ、頼むぞ。」

「うもー」


そろそろアカナミ祭の行われるこの季節だと、拳大のトトが旬だ。つやつやした赤い皮が美味しそうだ。腰のナイフで実の上を切り、マウントンの籠にぽいぽい入れていく。


朝飯がわりに一つ食べてみる。


うん、甘さの中に仄かな酸味がうまい。果物と言ってもいいくらいの出来だな。


「ももももも?」


いやはや、さすが俺のトト。うまい。これは高く売れるねえ。


「ももももももももももも!?」


なんだよマウントン。服を引っ張ったって、おまえにゃあげないぞ。


「ももももももももももももももももももももも!!!!!」


ん?なんだか騒がしいマウントンの見ている方に目をやると...


なんだ!?トトの木と木の間に、見知らぬ異国の服を着た男が倒れている!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ