"悪役令嬢"ですがヒロインが好きです。
単位のために作った設定が楽しかったので書いてみました。
私はドのつくオタクである。幼少期から兄と共にその時代流行りのゲームや戦隊モノ、女児が1度は通るであろう、戦う女の子、アイドルものを、オタクという自覚なしで一通り制覇、男女問わずアニメの話で盛り上がった私は、中学1年で完全無欠のアニメオタクに堕ちた。
きっかけは、"複数の女子高生がアイドルになるために頑張る"というコンセプトをもとに作られたジャンル。ここではアイドル沼と言っておこう。己と誕生日とファーストシングルリリース日が被っており、運命を感じて購入。
同時封入されていたドラマCDを聴いてみると、なんと驚いたことに、私のことを"プロデューサーさん"と呼び、語りかけてくれたのである。今までどのジャンルでも、私たち読み手は第三者の視点であったのに、まるで自分たちが彼女たちを育てているような、そんな素晴らしい錯覚を覚えさせてくれるのだ。1500円前後のCDを買えば、新曲が聞ける上に無料で彼女たちが話しかけてくれる。当時の私にはそれが画期的で仕方なかった。
チョロいオタクの心をくすぐるそのアイドル沼は、やはり徐々に人気が出初め、ゲーム、アニメ、次第にはアーケード化や映画化と、ツールが膨れ上がっていく。それに伴い私の足は沼へとズブズブとはまりこんでいき……いつの間にか私は、自分がアニメオタクなのだと自覚していた。
一方、共に育った兄はというと、妹萌えオタクへと成長していたものだから、全く、遺伝子とは恐ろしいものである。
長々と語ったが正直の所、初めて購入した時と現在の思考くらいしか記憶が無いのが事実である。
とはいえ恐らく、というか単純な私の行動、思考回路なんてこんなもんが限度なので、100パーセントとは言わずとも、99パーセントくらいは合っていると思う。まあ、周りのオタクも記憶が飛んでいたので、きっとそういうものなのだろう。
さて、そんなオタクな私であるけれど、沼に落ちたのは二次元女子アイドルだけではなかった。
ギャルゲー、スポーツ根性モノ、ファンタジーもの、日常もの、少女マンガ、ボーイズラブ、ガールズラブ、男子アイドルもの、ライトノベル、言い始めるとキリがない。
なかなかに広大で、かつ深い沼の中で、今、特筆すべきはライトノベルと百合だろう。
まずはライトノベルである。こちらは美少女が次々と出てくるという噂を聞き付け沼へ足を突っ込み、その足が抜けなくなったオタクの典型的な堕ち方をしたジャンルだったけど、アニメと違いどんな場所でも読めるそれはおそらく1番息の長いジャンルのような気がする。
人間一度は憧れる、異世界や異能力、魔法。ローファンタジーかハイファンタジーかと問われれば、ハイファンタジーの方が好みだ。ローファンタジーのような現実世界での超能力や魔法より、まるっきり別世界を楽しみたい系のオタクなのである。
よく読むのはチートもの、料理もの、そして悪役令嬢もの。
そしてもうひとつ、百合。修羅の国と呼ばれる地方で育った私は、多発する痴漢被害や田舎特有の男尊女卑文化のおかげで、男性に対して苦手意識がある。
その影響からか、百合という美しい者と美しい者が惹かれ合う、まるで花園のような女子同士の禁断の恋愛……思春期の女の子同士が同性同士というマイノリティに葛藤し、しかし愛でそれを乗り越える話は涙無しでは読む事が出来ない。大人のお姉さんもいい。お姉さんが喋る度に、あまりの好きさに動悸がする。
と、言うように、心を動かされるのがストレス解消法の1つなのだ。
好みはおっぱいのデカいお姉様属性。どのジャンルでも推すのは大概これに属するキャラクターばかりである。
何故この2つを特筆したかと言うと、そもそも私は死んだはずなのに、意識があるどころか感覚まである所から述べなければならない。
第一に死因である。死因は同人誌即売会へ向けての度重なる徹夜や不摂生による過労死。
美女コスプレイヤー様に売り子を頼んでしまった手前、半端な格好はできないと5徹明けにネイルサロン、ヘアサロン、脱毛サロンへ行き、デパートで自身の衣服とレイヤーさんへの土産物を購入した。帰宅後、当日のお品書きを書いていたところで突然重力に逆らえなくなり床へ転がり落ち、そこで意識が途絶えたのである。
25歳、同人誌即売会前日の出来事であった。本音はものすごく良い本が描けたし自分に課金したのに、自らの売ることが出来なくてめちゃめちゃ悔しいけど、会場着にしているのでサークル仲間が売ってくれるので良しとしよう。
レイヤーさんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだし、おっぱいが見れなくて本当に残念だ。
次に、ライトノベルを読むオタクが、ライトノベルのファンタジーの最大のコンテンツといえば、という問いに何と答えるか。 様々あるだろうが、過半数は異世界転生・転移と答えると思う。
寧ろそうでないならば何か?魔法は少年マンガでもあるし、ライトノベル発祥のものと言えばこれしかない!
そして、死んだ私にここまで熱論できるほどの思考回路があるという事実に導き出される結論は、「身をもって転生してしまった」である。