表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

番外編(1)

和泉の小規模な作戦


 大丈夫、いつも通り。

 中学二年の冬。こんなに寒いのに期末テストを行うなんてナンセンスだ、と毎年夏実は言う。

 そんなことを教室の隅で聞きながら、チラリと彼のほうを見た。幼馴染で同じクラスになれたというのにあまり仲が良くない、気がする。

 和泉は溜息をつきながら、隣で話をしている友人に適当に相槌を打つ。

 和泉のほうからは夏実のことをだいたい知っている、つもり、のはずなのだが夏実はこちらのことをどれだけ知っているだろう。

 自分はこんなに一大決心をしているというのに、いつも通りすぎる教室の様子がそれを揺らがせる。

 でもだめだ。どんな手を使っても、最善を尽くすべきだ。どんなに卑怯だとしても、それしかないのだから。

 ふらふらと立ち上がりながら、手に持った紙を握りしめる。夏実の席の周りには人は少ない。何気なく廊下に出るふりをして、机に紙を入れた。

 廊下に出て、頭を冷やす。早くチャイムが鳴ればいいのに、この決心が揺らぐようじゃ、きっとうまくいかない。

 教室に戻り、自分の席に座る。心臓の鼓動が緊張で早くなるが、気づかないふりをする。

 しばらくすると、チャイムが鳴る。後悔の念なんて今更ないはずなのに、深呼吸をしなければ平常心が保てない。

 大丈夫、準備だってしてきたんだ。あとはクラスの何人かに現場を見せ、根回ししておいたクラスメイトが証言をすれば終わりだ。

 和泉はゆっくりと目を閉じて、テスト用紙と向かい合った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ