02「ゴブリン…。」
ガチャ…コロン。
「スマホゲームのガチャみたいな。」
本当にそれに近いだろう。画面にガチャの映像が映って、スライドしたらガチャの玉が出てきたのだ。それより中身はなんだろう?
パーンパカパパン パパパパーン
「え?」
そこに映ったものは…。
「ふむ。『フレイムゴブリン』みたいだね。」
だそうだ。…ゴブリン。それは魔物の中で最弱とも言われる不名誉な存在。俺のフレイムゴブリンはそれの上位種ではあるものの、さほど強くないのである。
後で聞いた話によると、ゴブリンは進化すると、ハイゴブリン、ゴブリンリーダー、ゴブリンジェネラル、ゴブリンキングになるそうで、フレイムゴブリンはゴブリンジェネラルと同程度の強さになるらしい。嬉しくない。
「まぁまぁ…これからスキルとかももらえるからそれに期待しようか。」
ガイアもそう言うのだ。クッソー! 運をここまで恨んだことはあっただろうか?
「ちなみにガイアは初め何だったの?」
とても気になるよね!
「私は初めはグレードリザードマンだった。それから龍の良さに憧れて龍最強を目指したんだよ。君も最強を目指すと良いよ…と言いたいところだけど、ゴブリン種の最強ってたかがしれてるからね、亜人種の頂点に君臨する魔王でも目指してみればどうだい?」
魔王…ねぇ。良いかもしれない。龍の亜人であるガイアは龍最強を目指し、成功した。俺は魔王か…。かっこいい。つまりその為にするべきことは…
「フレイムゴブリンとして頑張りますッ! 次はどうすればよろしいでしょうかッ!」
「お! その粋だね。次はもう一度ギフトを見てみなよ。初期スキルセットがセット1から2、3、4、5、セット6まであるはずだ。それぞれ違う種類だ。しかもガチャ。頑張って!」
ギフトを開くとセット1から6までのうち一つを選択できるようになっていた。内容は以下の通り。
セット1:戦闘スキル 戦闘スキル 武器
セット2:補助スキル 補助スキル 武器
セット3:生産スキル 生産スキル 道具
セット4:戦闘スキル 補助スキル 武器
セット5:戦闘スキル 生産スキル 武器
セット6:補助スキル 生産スキル 道具
ちなみにスキルや武器、道具は決まっているわけでもなく選択できるわけでもなくガチャである。俺はゴブリンという不遇の生命体になるわけだからせめて良いスキルに恵まれたい。何にすべきかな…。
バランスが良さそうなセット4にする事にした。するとセット4を押した瞬間画面がガチャ画面に切り替わった。そこには2つの表示…『一回ずつガチャる』『まとめてガチャる』であった。俺は『一回ずつガチャる』を選択した。
「運命の瞬間だね。ここで『龍神王』とかみたいなチートスキルを手に入れる者もいれば、『食事量up』みたいなゴミスキルを当てる人もいるからね。ドキドキだよ」
と、ガイアが怖いことを言い始めた。
やめてくれよー。怖えーわ。
「ガチャる、行きますッ!」
パーンパカパパン パパパパーン
「おぉ! いいじゃないか。ハズレじゃないよ。『剣豪』!」
俺が引いたのは『剣豪』だった。ふむ。悪くなさそう。ぶっ飛んだチートスキルではないし、最強クラスのスキルでもないが、強めのスキルであるだろう。よかったよかった。
「さーらーにッ! ガチャる!」
ガチャ…コロン。
パーンパカパパン パパパパーン
「え? 何?」
「珍しいスキルだね。珍しい。珍しい。」
第二のスキル。補助スキル。俺はバフとかが欲しかったのだが…『五感強化』。う~ん何だこれ? まぁ当たりである『剣豪』がある以上悲惨な結果に終わることはもう無いだろう。
さて、最後である
「運命の…ガチャですッ!」
ガチャ…コロン。
パーンパカパパン パパパパーン
「おぉ!」
「こっ…これは!? 『宝刀【流星】』じゃないか!? 大業物だよ!?」
何か良い刀を手に入れたようだ。
「よかったじゃないか。剣豪とは相性抜群だよ! まぁ、ゴブリンじゃ心配が残るが…まぁ大丈夫だろう。おめでとう! 魔物人生は中の上くらいから始められると思うよ!」
そうか…中の上か。十分だ。きっと上の上はチートモンスターチートスキルチート武器なんだろうな。はぁ…。しかし成り上がるチャンスはある。またむしろ伸びしろは俺らのほうが高いのだ! 頑張ろう! 俺は頑張るよ!