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あまのじゃく!!  作者: にゃろ
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第1話 白昼夢

「あまのじゃく!!」の第1話です。主人公達が最初に出会う不思議な話なので見ていただけると嬉しいです。わかりにくい場面も多々あるとは思いますが努力して改善していきますのでぜひ暖かい目で読んで頂けると幸いです。

(桜ノ丘高校2年A組。この教室の一番隅の席、その席で机に突っ伏している目付きが悪いのが私事、喜怒 静(きど しずか)である。 学校にいる時みなさんは何を考えていますか? 友達、勉強、部活? それも良いと思う。 でも俺の場合は違う。 俺は毎日この戦場から生きて帰る事だけを考えている。 だって俺は…コミュ障だから。

コミュ障の俺にとって休み時間は地獄だ。

教室中に響きわたる声は戦場の銃声、机に突っ伏す俺は自分という存在を消し、敵に見つからないようにする兵士のようなものだ。)


「喜怒~。喜怒はいるか~?」


そう言って入ってきたのはクラス担任の真宮 薫(まみや かおる)。彼女は美人で生徒達からも人気の教師だ。


(いやいや、あんま大きな声で呼ぶなよ。目立つだろ。…ほらみろ。)


「喜怒?喜怒って誰だっけ?」


「葵あんたね~。いくら記憶力悪いからって隣の席の人の名前くらい覚えなさいよ。」


友達に言われた事を気にしたのか葵が話かけてきた。

「ごめんね。私頑張って覚えるから!!えっと…サド君!!」


「ど、ども。」


(はい。もう俺のハートぼろぼろだから。言葉のナイフでズタズタだから。サドって…どっちがサドだよ。)


そんな事を考えていると真宮が自分の前までやってきた。


「なんだ。いるじゃないか。いるならさっさと返事をしろ。ほら!!行くぞ!!」


そう言うと真宮は喜怒の腕を掴んで足早に教室を出ていく。


「あの先生、離してくれませんか?一人で歩けます。」


「良いじゃないか?私とお前の仲だろ?」


真宮はそう言うと今度は肩を組んできた。


「いや、だから…」


「まあまあ続きはこの中でしようじゃないか。茶くらい出してやる。」


そう言って真宮が指差したのは生徒指導室だった。

生徒指導室に入った後、真宮は緑茶の入った湯飲みを喜怒の前に置いて話し始めた。


「さて、今回お前を呼んだのは例の件についてなんだが。最近調子はどうだ?」


「調子も何も相変わらずですよ。嫌っていう程に。」


そう言う喜怒の表情は悲しんでいるようにも憎しんでいるようにも見えた。


「触れただけで相手の考えや感情が流れこんでくる…か。まあ私も相変わらずだよ。」


「先生もまだ呪われてるんですね。」


(呪い…か。)


喜怒の呪いと言う言葉に真宮は複雑な想いを抱いていた。呪い…それはある日突然身についた能力で自分で制御もできない。もちろん治す方法なんてわかるわけもない。


「まあこの呪いも使い方によっちゃあ便利だけどな。~フロ:水~。」


真宮が呪文のような言葉を発すると空になった夜間に水が貯まっていく。


「な、喜怒?」


これが真宮の呪い。音楽用語を用いる事で、様々な現象を起こせる。


「はぁ。ところで結局俺に何の用なんすかね?」


「あぁ。そうだったな。」


そう言うと真宮はテーブルに肘をつき両手を組んで話し始めた。


「喜怒、お前部活やらないか?」


「は?何言ってんのあんた?」


「こらこら!!先生に向かってあんたはないだろ~?」


「いやだって、それと呪いと何の関係があるんですか?」


「まぁ話しは最後まで聞け。そもそも呪いなんて常識的に考えたらありえない事だとは思わないか?」


「でも実際俺も先生も呪われてるじゃないですか。」


「そう。呪いは実在する。なら他の常識的に考えたらありえない事も実在する。そしてありえない事をどうにかするにはありえない事を知る事に繋がると私は思った。」


(ありえない事を知る…か。本当にそんなんで呪いが解けるのか?)


キーンコーンカーンコーン。喜怒の思考は昼休み終了の鐘により突然止められた。二人で話していた時間は想像よりも長かったらしい。


「もう授業の時間か。さてと。」


そう言うと真宮は足早に指導室を出ようとしたが入口で振り返り言葉を残した。


「あぁ。そうそう。お前の部活申請は私が出しておいてやるから安心しろ。じゃあ放課後にな。」


「は!?ちょっ!?」


(まだやるなんて一言も。)


喜怒は真宮にまだ承諾していない事を言おうとしたがもう真宮の姿はなかった。その後おとなしく教室に戻った喜怒は授業を受け休み時間は寝たふりをして放課後をむかえた。


(やっと終わったか。)


戦場をあとにする兵士のように教室を出た喜怒は職員室の扉に手をかける。


「失礼します。」


「おう。喜怒来てくれたか。」


「仕方なくですけどね。」


「ハハ!!そうかそうか。じゃあ行くか。」


職員室を出た二人は廊下を歩き階段を登り3階の一番端の部屋に着いた。


「ここだ。」


そう言って真宮は教室の扉をあけた。教室に入る真宮に続き喜怒も歩き出そうとしたがその歩みは止まる。喜怒の目に映ったのは夕日に照らされている少女だった。


「待たせて悪かったな。神木。」


「問題ありません。私もさっき着いたばかりです。」


「喜怒、何やってるんだ?早く入れ。」


「いや…」


(他に誰かいるなんて聞いてねぇよ。)


喜怒が教室に入るのを渋っていると廊下の方から誰かが走ってくる足音が聞こえてきた。


「ごめんなさい!!遅くなりました~。」


「え?」


その声の主はかなり焦っているのか前を確認せず教室の入口に突っ込んできた。もちろんそこには喜怒がいるので二人は正面衝突した。


「グハッ!?」


「きゃっ!?イッタタ~。」


真宮はそんな二人を見て少し呆れ気味に話しだした。


「おいおい。お前ら何やってるんだ?まぁこれで全員揃ったな。」


喜怒は床に倒れたまま真宮の言った言葉を理解できずにいた。


(全員揃った?まさかこいつ俺をはめたのか?)


「えっと、ごめんね。大丈夫?」


そう言って手を出してきたのは先ほど喜怒にぶつかってきた張本人、昼間に喜怒の名前を間違えた結城葵(ゆうき あおい)である。喜怒は葵の助けをかりずに身体を起こした。


「大丈夫。」


「あれ?君はたしか…サド君!!」


「誰だよ。」


「?」


葵は喜怒の言葉の意味がわかっていないのか不思議そうな顔をしていた。


「そういえば喜怒と結城は同じクラスだったな。神木の事は知ってるか?同じ学年なんだが。」


「知りません。」


「私も知らない。」


真宮は神木を気の毒に思ったが相手がこの二人なのでおとなしく話しを進める事にした。


「そうか。神木、悪いが少し自己紹介してくれるか?」


「問題ありません。私は神木 桜(かみき さくら)クラスは2年B組。あなた達の事は知ってるわ。よろしくしなくて結構よ。」


神木は言い終わると近くにあった椅子に腰掛けた。


「よし!!自己紹介も終わった事だしそろそろ本題にうつるぞ。今日お前達に集まってもらったのは私が作った部活、オカルト研究部に入ってほしいからだ。」


「はい!!はい!!何それ~?」


結城は元気があり余っているのか勢いよく手をあげた。


「結城良い質問だ。誉めてやろう。」


「いや~、照れますな~。」


結城葵という少女はリアクションも大きいが、自分の感情にとても素直な人間のようだ。


「オカルト研究部の主な活動内容はこの世のありとあらゆる不思議を解き明かす事だ。この世には言葉や科学じゃ証明できない不思議な事が沢山ある!!その謎を私達が解き明かせたらどうだ?面白いとは思わないか?」


「お断りします。」


最初に入部を断ったのは神木だった。神木はその後も話しを続けた。


「私はオカルトには興味がありません。そもそも私が部活をやる理由もメリットもありません。それに彼が一緒なら私は絶対に入りません。」


神木はそう言いながら喜怒の方を指差した。


(え、俺?)


今日初めて話した相手いや、会話すらしていない相手にいきなり否定された喜怒は今にも泣きだしたかった。


「あの~。」


神木が話し終わると今度は結城が話し始めた。


「私も部活はいいかな~って。私も一緒にいると良くない人いるから。」


そう言って結城は神木を指差した。


(女って怖いな。)


喜怒は黙りを決め込む事にした。触らぬ神に祟り無しというやつだ。


「お前達の言いたい事はわかった。理由がいるなら…私が与えてやる!!」


真宮はそう言うと勢いよく手を振りかざした。


「~レーヴ:夢!!」


真宮が言葉を発すると目の前に言葉のとうりまるで夢のような光景が広がっていた。教室の中は暗くなり、星輝きでも太陽の日差しでも月明かりでもない優しい光を放つ小さな何かが雪の様に降り注いでいた。しばらくすると教室は元に戻り真宮が話し始める。


「今見た物よりもっと良い物を見せてやる。だから私についてこい!!」


~次の日~


喜怒静は3階のあの部屋の前に立っていた。


(別に、ただ俺は呪いを解く方法が解るかもしれないから来たんだ。ただ、それだけだ。)


喜怒は自分にそう言い聞かせ扉を開けた。


「喜怒…遅いじゃないか!!もう皆来てるぞ!!」


教室には神木桜と結城葵の姿もあった。喜怒が教室に入ると真宮は自信に満ちた顔で言った。


「これより桜ノ丘高校オカルト研究部の活動を始める!!」


「あまのじゃく!!」第1話を読んで頂きありがとうございます。ストーリーとしてはあまり大きく進んではいませんが入部を決めた3人がこの後どのような活動をし、何を感じるのか少しずつ描いていけたらと思っています。もちろん恋愛の事も忘れてはいないので是非次回も読んで頂けると嬉しいです。

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