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ワールドコネクト  作者: 葉桜
ギルドの門を叩くもの 一章 青い者達との宴
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ギルドの門を叩くもの 一章 11 前編

突然コトハ達の前に現れた騎士エリュムス。

彼はコトハの前に跪いたあとマスターと呼びコトハからの返事を待っていた。

オルトスは目の前に現れた騎士に未だ警戒の色を見せている。

ヴァレンティスも魔法の準備をしているのか杖を構える。

サーシャはヴァレンティスが中に入れてくれないのでひょこひょこっと足首を伸ばしたりして顔を出したり引っ込めたりしている。

パープルは唖然としているも目の前で起こっていることに好奇の目を注いでいる。

肝心のコトハはというとさっきから固まって動いていないのである。


「コトハ?

どうした。」


いい加減不審に思ったオルトスが声をかける。

騎士も怪訝に思ったのか顔を上げた。

その瞬間である。

コトハはまるで糸がプツンと切れたように後ろに傾き、コトハのその状態から直ぐに動いたのはオルトスで倒れそうになったコトハを支えた。


「お、おい!」


オルトスはコトハを揺さぶるもコトハは完全に気を失っており、起きる気配はなかった。

それと同時に騎士の方にも変化が起こった。

それは緑の光の粒子になっていって居るのである。


「マスターは気を失われてしまったか。

すまないが、しばらく休ませてやってほしい。

一度にあんな重圧のような魔力を受けた上に、一度になれない魔力の放出を行って魔力が尽きてしまったのであろう。」


騎士はコトハを気遣っているように優しく語りかける。

そして完全に光の粒子となると、先程光の放たれた玉に吸い込まれるように消えていき部屋は再び静寂に包まれた。




そして一週間が経過した。

コトハはあの図書館の騒動から一度も目を覚ましていない。

オルトスはあの騒動の後急いでコトハをギルドへと連れ帰った。

新人がただのペット探しで、おかしな本を持って魔力を全放出させて気を失っていたこともあって一部騒然となった。

コトハは現在ギルドから与えられたら個室で眠っており、ベッドの横のテーブルには窓から差し込む日の光に照らされたあの本が置かれコトハの桜の装飾が施された太刀が立て掛けられいる。

オルトスは部屋の外の扉の前でコトハが起きるのをじっと待っていた。

ヴァレンティスは第六図書室で何かを調べているらしくサーシャもそれを手伝っている。

パープルはめちゃくちゃになった自室を片付けているも図書館は開放されたらしく、図書館司書としての役割に徹しているらしい。

でも時々三人して顔を出してくる事もあって、まだ協力姿勢を持ってくれ居ているのはありがたかった。


オルトスは悩んでいた。

それは、自分が指導役を引き受けたことである。

決してコトハが悪いわけではない。

自分からコトハを何処か避けていたのである。

教官からは無族と慣れる為にと推薦されたが、はっきり言って自分がそんな事で無族と慣れることは出来ないとは分かっていた。

何より俺の目的は無族が聞けばおそらくゾッとするだろう。

それに俺はまだ、無族が憎いし信じられない。

コトハは珍しいほどに真っ直ぐでチャレンジャー且つストイック性質を持つ。

それでいてどこか違和感を持っている。

避けてしまう理由はそこにあるのかも知れない。

精神的に俺はまだまだ未熟だ。

こうして社会に出た以上、感情に振り回されるのは好ましくないのは、分かっている。

それでも、無族を拒絶する心は反応を起こす。

こんな状態で指導役がつとまるのか。


「おう、オルトス大丈夫か。」


いきなり目の前にマスター、オードスが現れて思わず「うぉ!」と声を上げその場から飛び離れる。


「マスター、何ですか。」

「いんや、お前がそんなに落ち込むのも珍しいからな。」


そう言ってマスターはオルトスから目を離しコトハが眠っている個室のドアへと目を向ける。


「かなり魔力を消耗したらしいな。」

「マスター、無族はなぜ魔力を使い果たすとこう深く眠ってしまうんだ?」

「ん、んー。

理屈で説明すると面倒なんだよな。」


オードスは珍しく"面倒臭い"という顔付きになり、顎の髭をなでながら彼の質問に答える。


「無族って言うのは俺もそうだが他の種族と比べるとどうしても、魔力の許容量がかなり少ない。

たまに例外も存在するが、無族は魔力と精神が連結している。

そのせいで魔力を使用すれば精神的にも負担がかかり一気に精神が削られる。

下手をすれば人格を崩壊させる。

俺は昔無茶をして人格を崩壊させた仲間を知っている。

理屈というよりも、実際にワシは見た。」

「マスターの昔の話ってあまり聞いたこと無いけどよ、コトハみたいな感じだったのか?」

「ハッハッハ、小童とワシを比べたらわしの方がもっとやん茶坊主だったぞ。

物は壊すし、依頼人に殴りかかるし、他ギルドに喧嘩は売るしでギルド1の問題児じゃった。」

「・・・想像していたによりもやんちゃだった。」


「カッカッカ。」とマスターはおかしな笑い方をした後、まるで自分の孫に語るような口調で言い始め顔を廊下の向かい側に向け目を細める。


「ワシがこのギルドを設立したのは60年前。

ラクノシアとアルカスの戦争の傷がようやく癒えた頃、ギルドを設立するのにスポンサーやメンバーを探しまくって大体8年掛かってな。

じゃからかの。

あ奴がギルドを作ると言いだしたとき、ワシと似たような所を見てな。

あ奴が本当にその道を行くなら、世界の汚い裏側を知ることになる。

冒険者でもそれは変わらんが、かなり険しく辛い道となる。」


マスターは不意に顔をオルトスに向けた。

そして、頭を下げたのである。

オルトスが驚いて固まっているとマスターは言った。


「オルトスよ、お前もこのギルドにきて2年は経つ。

だがコトハにとって此処がおそらく初めて仕事をする場所である。

お前がいやかもしれないが、何かあったときは彼奴を頼みたい。」

「マ、マスター何を言ってんですか?

まるでこれから合戦にでも行くみたいに。

それにコトハの事を知っているかのような。」


オルトスのその疑問にマスターは顔を上げ、そして目を開いていた。


「此処では話せん。

だが、指導役としては自分の指導する者の正体を知っておかねば落ち着かないだろう。」


「うっ」と図星を言い当てられ小さく動揺するオルトスは考える。


(確かに俺は今彼奴に不信感と不安を持っている。

このままでは仕事にいつか支障が出るだろう。

ここは。)


「・・・聞きます。

だがマスター、その内容がもしあれに関わるような内容であれば俺は即刻、この依頼を解除させてもらいます。」

「恐らくこの話を聞いてもお前はそんなことはしないと思うぞ。

ついて来い。

応接室で話をする。」


先程とは打って変わってフランクな態度とは裏腹に重く、大きな雰囲気をまとったマスターに一瞬オルトは怯んだ。

階段を降りていくマスターにオルトスはついて行き、廊下には誰も居なくなった。


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