その刻僕は泣いていた
初めて書く小説です。
まだまだ未熟ですが、宜しくお願いします。
風に舞う長い髪を、白く美しい手で、撫でるような仕種で払いながら、彼女は僕にそっと寄り掛かるようにキスをした。
「ありがとう」
僕は言った。心から。僕の思いが報われた事が、何よりも嬉しくて。
**************
私の髪が伸び始めた頃、好きな人が出来ました。しかし、自分に自信が持てませんでした。特に目立って綺麗でも無く、才能があるわけでも無い私では、到底彼には適わないと思っていました。しかし、その思いが「思っていた」事に変わりました。一人の友達が、私にアドバイスをしてくれたからです。
**************
初めて「おや?」と思った日の事だけど、彼女に「私に魅力ってありますか?」って聞かれたとき、「心配無いよ、とても可愛いから」って答えてたら、とても嬉しそうだった。
僕も、嬉しかったよ。
**************
自分に自信を持って、ぶつかってみました。そうしたら、彼は私の事を、一人の女性として見てくれていました。
相談にのってくれた友達に、またお礼いわなきゃ。
**************
あの日を境に彼女は幸せそうで、それを見ていると、こっちまで幸せな気分になる。
これが恋なんだなぁ、と思った。
**************
彼にばっかり甘えていたので、今度は私からだと思って、決心して彼に会いに行きました。
**************
彼女の顔を見るのは久しぶりだった。彼女は「この前はありがとう」と言った。別にお礼なんかよかったけど、彼女の笑顔がやっぱり嬉しかった。
**************
彼に、欲しいものをプレゼントしようと思って、聞きました。でも彼は、もう手に入れた、と答えました。
その理由を聞いたら、彼は私に
**************
貴女の事が大好きだから。一人の男として、一人の女性を愛しているからだよって答えた。
彼女は、とても驚いていた。
**************
私には、彼の言っている意味が解りませんでした。ただ頭が真っ白になって、尋ねました。「どうして?」と。
**************
別に不思議がる事は無いと思ったけど、彼女の予想外の反応が見られて、やっぱりどの顔も可愛いなぁ、と思った。
自分がずっとそばにいられないのは残念だけど、きっと、これが一番なんだろう。
**************
彼の気持ちを知って、その愛を知って、それでも私の思いは変えられなくて。
だから、
**************
風に舞う長い髪を、白く美しい手で、撫でるような仕種で払いながら、彼女は僕にそっと寄り掛かるようにキスをした。
「ありがとう」
僕は言った。心から。僕の思いが報われた事が、何よりも嬉しくて。
なのに、僕は泣いていた。
**************
彼は、嬉しくて泣いているんだよと言ったけど。
私も、哀しくて泣いていました。嬉しかったから、泣いていました。
**************
あの日から随分経つけど、彼女からはよく、「今も幸せです。ありがとう。」と書かれた手紙が送られて来る。
だから、彼女の友達でいられて、
僕は、幸せだ。
本作品をお読み下さった方は、御評価頂けると嬉しいです。