六;イジメ
次の日から、俺と島村は友達になった。まだ親友と呼べる仲ではないけれど、俺には充分だった。
二人で居るときはつまらない社会のことも忘れられた。俺は、島村と仲を深めるにつれて穏やかな性格になっていったんだ。
俺は三年に進級した。うまい具合に島村も、安部も同じクラスになった。
三年に進級して二週間が経とうとしていたときある事件が起こった。
この事件が、俺の中学校生活を荒れたものに変えていくなんて誰も思っていなかっただろう。
俺は三年になって真面目に学校に通っていた。喧嘩もしなかったし、学校をサボることも無かった。
ある日、俺がいつものように駐輪場に自転車を停めて教室に行こうとすると、駐輪場の隣にある体育倉庫から声が聞こえてきた。その声があいつ以外の声だったなら俺は気づかなかっただろう。その声は、安部の声だった。
俺は、すぐにでも倉庫内に入って行こうという気持ちを抑えて、耳をすまして中の声を聞いていた。
「あんたさぁ、マジむかつくんだけど。竹下と仲いいからって調子に乗るんじゃねぇよ!」
そう言って女子が三人ぐらいで安部をいじめている現場を見てしまった。
「あたし調子になんか乗ってないわ。」
安部は、毅然とした態度でいじめっ子たちに言い返していた。
「そういう態度がムカツくんだよ!」
そう言い放って安部の髪をつかみ、顔にビンタを放った。
ここまで来ると俺も黙っちゃいない。
倉庫の扉を開けて入り口に立ってこう言ってやった。
「あのさぁ、いじめるのは勝手なんだけどさ・・・。いじめる理由に他人を使うな!」
最後の一言を強めに言って、すこし脅し気味に言った。
「ちっ、あんたの強いナイト様は来たよ。」
そう捨て台詞をはいて女子共は去っていった。
「大丈夫か?ビンタされたろ?」
穏やかな口調で安部に聞いた。
突然、安部が泣き始めた。
「・・・なんで私がいじめられなきゃならないの?」
安部はそれから十分ほど泣いていた。
俺は安部が泣き終わるまでずっとそばにいてあげた。
いや、そうすることしか出来なかった。
俺は考えに考えて、一言こういった。
「・・・俺がちゃんと守ってやるから。」
この一言しか思いつかなかった。安部は俺の一言を聞いて、笑いながらこういった。
「ふふっ、ありがと。なんか嬉しいよ。」
俺は、安部に顔を向けることが出来なかった。なぜならこれ異常ないほど真っ赤になっていたからだ。
「・・・そんなに喜ばなくてもいいよ。じゃあ、俺もう教室行くから。」
俺は倉庫から走って教室に向かっていった。走っている途中俺は自分の気持ちに確信した。
俺、安部が好きなんだ。いつからだ?最初からか・・・。
少し間が空きましたが、第六話投稿です。




