五;転校生
あれから、数ヶ月経った。俺の怪我は完治していた。でも、前のように見境無く喧嘩を売ることは少なくなった。
今日も、いつものように遅れて学校に行くと、玄関で見たことも無い奴が同じクラスの奴と喧嘩していた。いや、それは喧嘩とは言えなかった。あまりに一方的だった。
俺は、それを黙ってみていると、見たことも無い奴が俺に向かって。
「なんじゃ、見せもんと違うぞ。」
と言った。
俺は、それを黙って聞いていた。そして相手をなだめるように、
「もうそれぐらいでやめとけよ。どう見ても、鼻の骨折れてるぞ、そいつ。」
と冷静に言った。だが相手は、そんなことはどうでもいいというかのように。
「知らんわ。こいつが喧嘩売ってきよったんじゃ。」
俺が、少しおとなしくなってクラスの奴らは調子に乗ってきた。
前までは、俺がクラスに居るだけで、シンとしていた教室が、今では、とてつもなくうるさい。
今、玄関でやられている奴は、クラスの中心人物で、最近だれかれかまわず喧嘩を売っているらしい。
「まぁ、どうでもいいけど。お前誰だ?」
相手はすかさず、
「お前は、人に名前聞くときに自分から名乗らんのか?」
と言ってきた。さすがの俺もこの言葉にはちょっと頭にきた。
「別に言いたくないんなら無理にきかねぇよ。じゃあな、ほどほどにしとけよ。」
と言って、教室に入っていった。
教室に入り、席に着くと、さっき玄関で喧嘩してた奴が入ってきた。
そいつは、俺の横の席に座り、俺に向かって、
「俺は、島村豊言うんじゃ。お前はなんて名前だ?」
俺は、興味もなさそうに、
「竹下透だ。」
とボソッと言った。
「ふ〜ん。透ね、よろしくな。」
と、それっきり机に伏して寝てしまった。
「・・・転校初日なのに図太い奴だな。」
それから放課後まで島村は寝ていた。玄関で、ボコボコにされていた奴はその後、すぐに病院へ運ばれたらしい。誰がやったかはわからなかったそうだ。俺は、別に言うつもりはなかった。
放課後俺が帰ろうとしていると、島村が声をかけてきた。
「アンタ、クラスでも浮いとったな。嫌われとるんか?」
俺は、この問いに、
「知るか。」
と答えた。すると島村は笑いながら、
「そーか、そーか。嫌われもんか。」
俺は、この言葉が気に障った。
「てめぇ、喧嘩売ってんのか?喧嘩売ってんだったら喜んで買うぞ。」
そう言って相手の出方を見ていると。
相手は、待ってましたとばかりに、
「いやぁ、弱い相手にうんざりしとったんや。相手になってくれるんか?」
と、言って体育館の裏に向かった。
俺は黙って島村に着いていった。
「入院しても、俺を恨むなよ!」
そう言って相手に殴りかかった。
島村は殴りかかった俺の拳を避けて、
「ははっ!そんなにせっかちになるなよ。」
と言って、左手で俺の顔に裏拳を喰らわした。
俺は、もろに裏拳を喰らって後ずさった。
島村の腕をつかんで引き寄せると、頭をつかみ、思い切り膝に叩きつけた。
「ぐっ!」
そう呻いて、島村は倒れた。
「ふぅ、久しぶりに膝蹴りするといてぇな。」
俺は、服を整えて帰ろうとすると、島村が、
「ま、まちぃな。ちょっと話でもせんか?」
と言ってきた。
「話しだぁ?なんでついさっきまで喧嘩してた相手と話すことがあるんだよ。」
俺は、さっさと帰ろうとしていると。
「お前も俺と同じだろう?大人や、社会が気に入らんくてつっぱとるんやろ?
でもな、一人やとつらいやろ?俺らは同類や、お前もわかっとるやろう?」
俺のことをわかったように話してきた。だが、俺は否定できなかった。
島村の言っていることは事実だ、俺と島村は似ている。大人や、社会を冷め切った目で見つめる目や、社会になじむのが嫌でつっぱるところ。
「分かったようにいいやがって。しょうがねぇ、話でもするか。」
俺たちは、タバコを吸いながら長い時間話をした。
第五部分には、恋愛要素はでませんでしたが、これからがんばって話を深めていく予定です。最初の予定より長くなりそうですが、お付き合いください。




