三;お見舞い
俺は、安部の家の前に居た。
どうやって入っていけばいいんだ。インターホン押せばいいのか。
分からない。人の家に行くなんて今までなかったことだから。
そんなことを家の前で考えていると、玄関から誰かが出てきた。
俺は、突然のことだったので隠れることが出来なかった。
女の人だった、若い、安部の母親だろうか?いや、姉だろうか。
その女の人が俺に気づいたようだ。
「あれ?もしかしてリサのお見舞いに来てくれたの?」
俺は、言葉を発することなく、頷いただけだった。
「あら、そうなの?でも今は学校の時間じゃない?学校に戻ったほうがいいんじゃないの?」
女の人が、俺にそう聞いてきたが俺は首を横に振り、一言こう言った。
「・・・俺のせいなんです。」
女の人は驚いていた。
「ま、まぁ、入ってちょうだい。二階の部屋にリサ居るから。私は仕事だから居ないけど、話が済んだら学校に行ってね?」
と言って、出かけていった。
俺は、二階に上がっていった。
部屋の中から声が聞こえた。
「お母さん?まだ居たの?早く仕事行ってよ。私は心配ないから。」
俺は、部屋の戸を開けた。
安部は驚いていた。
「竹下君・・・。」
俺は、他人の、しかも女の部屋なんて入ったことが無かったから、
「入ってもいいか?」
と聞いていた。
「う、うん。どうぞ。」
安部は俺がなぜ自分の家に居るのか理解できてないようだ。
俺は、安部の部屋に入ると、ベッドの横に座った。
「怪我は?ひどいのか?」
俺は、素直に自分が思っていることを聞いた。
「怪我は全然ひどくないよ。相手の車もそんなにスピード出してなかったし。」
俺は、安心した。
次は、安部が俺に聞いてきた。
「何で、竹下君がお見舞いに来てくれたの?」
安部にとっては俺が見舞いに来たことが相当不思議らしい。
俺は、黙っていた。正直に話すのが怖かった。
人に自分をさらけ出すのが怖くて仕方なかった。
安部は黙って待っているようだった。
俺には、その沈黙が永遠のように感じられた。
俺は、また素直になれず、別に、とつぶやいただけだった。
その後も、会話などは無く、時間だけが過ぎていった。気づけば、昼になっていた。
「あ、もうお昼だね?ご飯食べようか。竹下君どうする?」
安部が起き上がろうとしていたので俺は驚いた。
「寝てろよ。怪我してんだろ。飯ぐらい俺が買ってくるよ。」
そういって部屋を出ようとした俺を安部が呼び止めた。
「待って。下の冷蔵庫に、お母さんが作ってくれたご飯があるから。電子レンジであっためて。買ってきてくれなくてもいいよ。二人で食べよう?」
俺は、頷き、下の階に降りていった。少し探すと冷蔵庫があった。
中を見ると、栄養がありそうな食べ物がたくさんあった。
俺は、その中の二つを取り出し、電子レンジに入れて暖めた。
しばらくすると、暖まった。俺は、それを持って部屋に戻った。
「ありがとう。じゃあ食べよう。」
と言って、起き上がった。
俺は、安部にご飯を手渡すと、
「俺は、これで帰るわ。じゃあ、早く治せよ。」
俺は部屋を出て行くときに、ボソッとこう言った。
「昨日は、悪かったな。」
そう言って出て行った。
その後、俺は学校に戻る気にもなれず、家に帰った。
このままだと、十話までで、終わらないような気がしますね。でも、がんばって書いていきますよ。




