スペル‐1 いつもの風景‐3
らぶらぶ。…・か
ディアは二階に上がって、教室に戻った。
不思議なことに、さっきのチャイムで駆け上がった生徒たちで賑わうはずなのに静かだった。そう、ただ静かだった。
(おかしい……)
異様過ぎる雰囲気にディアは足を止める。
あたりを見回すとロキがたっていた。ロキも異様過ぎる雰囲気に立ちすくんでいた。
「な、なぁディア……なんか…変だ」
「うん。おかしい。みんな…居ない。」
そう。帰ったはずの生徒たちがそこには居なかった。
「なぁ、ディア……午後の授業って…野外だっけ…?」
「いや、そんなはずないだって今日は…火曜日だ。野外の授業は午前中だけ…移動の授業も……絶対にない。」
二人で話していると、トイレにでも行っていたのであろう。マナがやってきた。
「あ、あのディアさん、ロキさん。……だれも居ないみたいなんですけど?午後の授業は移動でしたっけ?」
先ほどにも同じような質問をロキにされたので、ディアはめんどくさそうに少し顔をしかめてから、ロキにいったことを言った。
「移動はない。今日は火曜日だ。」
「あぁ、そういえばそうですね……今日は火曜日でした。」
異変はそれだけではないようだ。先生たちの姿もない。本当だったら、もうチャイムもなっているはずなのに…チャイムも鳴ってはいなかった。
おかしい…おかしい……なんだよ。
ディアは焦っていた。理由がないはずなのに…なにか悪いことがあったのだと、悟っていた。
知っていた。この…いやな空気を。これは……いや、この黒々とした視線のような…アイツの…アマツの今日の雰囲気だ。あの何かに取りつかれたような。
黒々しい空気が漂っている。それはどんどん濃くなっているように感じとれた。
「と、とにかくだ。このやばい雰囲気は本当にやばい。…意味不明だな。えーと、とりあえず先生を探そう!」
ディアはマナとロキに言った。
「うん。そうだな「ですね」ガチでやばい。」
三人で頷いた。そしてはしだそうとした時。目の前を何かが通って行った。
―――ヒヒ…―――――
そう、聞こえた気がした。
「おい、いまなんか聞こえたか…」
「あぁ、聞こえた。」
「聞こえました。笑い声でしょうか?…気味の悪い笑い方です。」
ディアたちは階段を下りた。……階段?――――そんなものこの学校にあったっけか?
ガタン!
「おうわぁ!「おう!!?」きゃぁ!!!?」
大きな音共に、ディア達は落下していった。
***
(っつ…。なんだよ…いてぇな、なんで階段なんてもんがあるんだよ…)
ディアはそんなことを思いながらお尻をさする。
「……ここは、何処でしょうか?」
そんなこと聞かれても困るのはこっちだ▼
「あぁ…いってぇ…これ絶対けつにアオタンできたよ…っつつ…。」
ロキはお尻を労りつつ、立ち上がる。―――ろうとしたが、足を挫いていたようで、その場で倒れた。
「いっで!!!」
(…………しばらくはそのままにしておこう。)
「……何処なんだろうな…ここは……。」
(だからしらん。)
三人は異様なまでに落ち着いていた。まぁそうだろう。魔法がある。そんな世界だって言うのに…こんなことでは驚けなくなってしまったのだろう。……それもそれでおかしいものだが。
(…ここ、マジで何処なんだろう。)
ディアはなやめる者のポーズをとり、しばし、考えた。下手に動くとアブナイ気がして三人は近くに寄り添っている。
ロキは、特に何もしていない。
マナは、ちらちらとディアの方に視線を向けていた。ジーと見たと思えば、そっぽを向いて、何処かに視線を落としたかと思えば、また、ディアに向けられていた。―――忙しなくうごく。「落ち着け▼」(テンパっているわけではない。)
(二階…、下の階は…えーと、――――)
ディアはマナの視線を気付かずに独り考え込む。ややあって、右手をポンと叩いた。
「ここは…図書室の本だなの中だ。」
「へぇ、「そうですか」」
「えぇ?つめた!!?」
ディアはキョトンとしている。冷めた扱いに驚いたのだろう。
ロキは、まだおかしなポーズで固まっている。
「んでさ、ディアここどーこー?」
(……さっき言ったんですけど……。)
「く、クシュ…僕さっき言ったんだけど。」
「へぇ「そうですか」」
(…………………。おうふ。)
「…話聞いてよ。」
「そうですね」
マナは曖昧に答えた。その視線はディアの足元らへんに固定され、その瞳に光は宿っていなく。ぼーっとしている。薄暗くてよくわからないが頬が赤くなっているようにも見えた。
「…ま、マナ?話聞いてる?おうぃ!」
ディアは、マナ近付きその肩をつんつん、と、つつく
「ひゃぁ!?」
マナは、飛び上がりその拍子で、ディアに抱きつく。
(…おぉ…や、やわらかす…。)
「あ、ごめ…ごめんなひゃい!」
再度、飛び上がった。その勢いでディアを突き飛ばしてしまう。
どん!
突き飛ばされて、驚いたデイアは不本意に、マナの胸元の襟を掴む。グイ。
バランスを崩されたマナは、2秒ほどあたふたし、あっけなく前に倒れた。…ディアの上に追いかぶさるように。まるで恋人を押し倒したような、体制で。
ふと、そんこともすぐに薄れてしまった。
視線と視線がぶつかる。―――その距離15センチ未満。唇は、もう触れ合ってしまいそうな程の…。密着しすぎた距離感。
マナは、心の臓が張り裂けるような錯覚を覚えた。
ディアは動けずにいた。
身体を動かせばあらぬところに触れてしまいそうで…。動くに動けない。―――密着状態。
すると、そこにロキが、
「あらあら、お熱いですね…お二人さん…あれか?暗いから『本能が…―――』的なあれか?……別にいいんだぞ?俺は向こう向いてるからお好きにどうぞ?……ふんだ」
なぜか、起こってしまった
どうにかならないのかこの体制
。。。