表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歯車の宮殿  作者: 高倉麻耶
act.5
20/26

act.5 慟哭 (4)

 冷凍された真印の死体を前にして、僕はそんなことを考えていた。

 カバーの下に波うつ長い銀の髪。

 まるで水の中で眠っているようで、おとぎばなしの人魚姫みたいだ。

 高田院長が、頭部だけカバーをとって見せてくれた。

 うっすらと微笑を浮かべているようにも見える、安らかな死に顔。

 小奇麗にかたまった零印の顔より、よっぽど生きているような感じがした。

 生きていた頃の真印の表情を思い出そうとしたけれど、なぜかうまく思い出せない。


 淋しい。

 

 急に、そんな言葉が浮かんだ。


 淋しい。

 淋しい。

 淋しい。


 それは水溜りに落ちる雨のように、僕の心に波紋を立てた。

 

 淋しいよ、淋しいよ、淋しいよ

 ……お母さん!


 気づいたときには、声をあげて泣いていた。

 なぜか、わかってしまった。

 僕の母親は、零印じゃない。

 レヴニールという死人の女でもない。

 この人だ。

 真印おばさんは――叔母さんなんかじゃない。

 理由はない。でも、わかる。わかってしまう。

 僕の「お母さん」だ。間違いない。

 彼女が僕の、ほんとうの母なんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ