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ハート探偵  作者: 住伏暗
高2編
34/38

第34話(高2編-2) 心臓砲撃


 (一)


 その殺し屋は上半身を剥き出しにしており、胸には入れ墨で、『2B』というコードネームが刻まれていた。

 そいつは「クックック…」と、気味悪く笑って、


「ずっと探してたんだぜ? お前のことを、殺しに来た」

 結二さんを見て、言った。

 わたしが彼女に、


「この2Bって奴のこと、何か知ってるの?」

 と聞くと、彼女は、


「いやぁ…、知らないよ? 人違いじゃない?」

 と、何も知らないようだった。


 2Bが、わたしを睨んだ。


「俺は知ってるぞ、住伏(すみふし) (アン)。貴様が1Aたちを倒した、我が組織への危険因子だとな……」


 この2Bのセリフで、わたしは確信した。やっぱり、この男は敵だ。


 奴が言った『1A』というのは、前に葉後(はあと)高校に来た、殺し屋のこと。

 そいつは、わたしの友達を殺そうとしたから、わたしが倒してやった。


 そして、この2Bって奴は、その仲間。


「さて。どうやって、この女とアンを消すか…」

 2Bが、わたしたちを見渡した後、


「まずは、貴様からだ!!」

 

 と、ナイフでレイナさんに斬りかかった。

 丸腰のレイナさんは、


「ぎゃ—————っ!!」

 と叫ぶばかり。


 わたしは、服の中に隠し持っていたハンマーを取り出した。そのハンマーで、奴のナイフを受け止める。


「わたしの友達(だち)に、怖い思いをさせないで」


 2Bに警告する。それに対して2Bは、


「さすがだなぁ、住伏 暗。1Aを倒しただけはある…。だが!! 『友達(だち)を守る』の一点張りじゃ、勝てやしないぜ!?」


 右手に持ったナイフで、わたしに猛攻を仕掛けてくる。

 その勢いに、わたしは押されていく。


 こいつ、強い……。わたしは思った。

 攻撃が速くて、防ぐのが手一杯だった。


「これで終いだ! 住伏 暗!!」


 2Bのナイフが、わたしの心臓に向かってくる。


「”暗殺(アンサツ)”!!」


 奴が技名を叫ぶ。


 あっ。これ、やばいやつだ……。

 避けきれないや。わたしは、ここで殺されるのか…。


 だけど、わたしは殺されなかった。

 結二さんが、わたしを突き飛ばして、守ってくれたのだ。


「大丈夫かい? 住伏くん…」


 彼女はわたしの代わりに、2Bのナイフを食らった。左肩からナイフが抜かれて、血が流れている。


「結二さん! 大丈夫!?」

 わたしが心配すると、彼女は、


「僕なら、大丈夫だよ。この程度の痛み、僕は慣れてるし…」

 と強がる。

 わたしは、結二さんに聞いた。


「どうして…?」


 なぜ、仲良くもないわたしを、助けてくれたの?

 それに、結二さんは答えた。


「どうしてって…。君を守るのに、理由が必要かい?」


 そう言って、わたしに向かってウインクした。

 それを見て、わたしは思った。結二さん、いい人だなって。


 彼女が続けて、わたしに言う。


「住伏くんも、守りたいんだろ? そのレイナって子」

 わたしの後ろにいる、レイナさんを指差す。

 その後、


「だったら、見せてよ。君の強さを!」


 結二さんがポーイと、わたしの方に何かを投げた。

 それは、ボウリング玉ほどの大きさの、鉄球だった。


 彼女が、わたしに指示した。


「その鉄球を蹴るんだ、住伏くん!! 真っ直ぐに、思いっきり!」


 突然の命令に、わたしは戸惑う。

 鉄球は放物線を描いて、わたしに向かってくる。


 結二さんが、さらに一言加える。


「その鉄球で、2Bの心臓を撃ち抜け!!」


 彼女の一言で、やるべきことが分かった。

 飛んできた鉄球を、わたしは蹴った。


「”心臓(ハート)”……、”砲撃(シェル)”!!」

 と、技名を付けて、蹴った。


 2Bは見なかった。当たると信じて、ただ足に感情を流すのに集中して、全力で蹴った。

 結二さんが「思いっきり蹴れ」と言ったから、それを信じて蹴った。


 次の瞬間、2Bは吹き飛んだ。

 結二さんが言った通り。鉄球が、奴の胸に当たり、吹き飛ばしていた。


 ドサッと地面に倒れた2Bが、


「な……何だよ。この威力は…」

 と悔しそうに呟く。


 そして、2Bは気絶して、動かなくなった。


 わたし、勝ったんだ……。

 わたしは安心して、ふーっと息を吐いた。



 (二)


 倒れた2Bを尻目に結二さんが、


「さて…。なんか色々あったけれども…。住伏くんが勝った―――っ!! わーい!」

 と喜んで、わたしに抱きついてきた。


「やっぱり! 住伏くんを見込んだ僕は、正しかったんだーっ!」


 うれしそうな彼女に、わたしが、


「あんた、元気なのね。刺されてたのに…」


 そう呆れると彼女は、


「こんな怪我で、僕は泣かないよ! もっと痛い目にも遭ってきたんだから!」

 と返してきた。


 それは大変だったのね。思いながら、わたしは「ふーん…」と相づちを打つ。

 わたしは、


「レイナさんは、大丈夫だった?」


 と、レイナさんに聞いた。

 それに彼女が答える。


「うん。急に襲われて、びびったけど…。ありがとね、アン。助けてくれて!」


 お礼を言われると、わたしは少し困る。


「気にしないでよ」

 小さく独り言で、


「わたしは、”ハート探偵”。友達を守ることが、使命だから……」

 レイナさんに聞こえないように、呟く。


 真面目なレイナさんは、結二さんにも感謝している。

「結二ちゃんもありがとう。アンを助けてくれて…」


 それに結二さんも、


「いやいや、気にしないでよー!」

 と謙遜している。


 そんな結二さんを見ていて、わたしは、何か引っかかるような気がした。


 さっき倒した2Bは、結二さんのことを知っているようだった。


 結二さんは、2Bを知らないと言っていたけど……。

 結二さんは、イニシャルキラーと何か関係があるのだろうか。


 わたしは、結二さんに聞いた。


「結二さん、わたしに何か用があるの? 探してたって言ってたけど…」


 それに結二さんは、

「あぁ。そのことだけど…、」


 少し焦らした上で、言った。


「僕も明日から、葉後(はあと)高校に通うんだよ!」


 どう? うれしい?

 と、わたしの顔を見て、彼女は付け加えた。


 この人、うちの学校に通うのか。

 そう言ってる結二さんの、ボサボサの金髪を見ると、少し心配になった。


 それで学校に行ったら、先生が怒りそうだなって。


 次回は、11月16日(日)更新予定です。

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