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自己都合が良い女

無職で引きこもり生活を続けていた私。しかし、何故か初対面の男の前で涙、汗、洟…気が付けば色んな水分にまみれていた。

それは副業ついでに家にきた会社の出入り業者の男、社労士の幸田の仕業だったんだ。

私、何やってるんだろう?しかも初対面の男性と平日の昼間から。

窓からはもう赤い夕陽が射し込んでいた。

涙とか、汗とか色々出てきて、もうぐちゃぐちゃだ。

私は男から目線を外し、目の前に置かれたコップの水を口に含んだ。

男はしたり顔で話を続けた。

「もちろん、長い間築き上げてきた思考や行動パターンをすぐに変えることはできません。でも、自分の生き方の定理があることで、今後の人生は生きやすくなると思いますよ」

そうだ、その男は屁理屈で色々私を抉ってきたんだった。



「せんせー、あのこがまたいじわるしたよー。いけないんだー」

あのクソ会社を辞めて早一ヶ月。近所の保育園児たちの賑やかな叫び声で目が覚めた。

お散歩にでも行くのだろうか。

見た目も世間も気にしない生活に突入しているせいか、窓の向こうがどんな様子なのかわからない。

目は覚めたけど、体はまだ動かない。

右手だけを何とか精一杯伸ばして、ベッド脇に置いてあるスマートフォンをひっつかむ。

二週間前に人事部から何か封書が届いたが、まだ中身は見ていない。

見たくない、触りたくもない。

どうせクソみたいな会社のクソみたいな人事部が送ってきたものだ、きっと大したものではない。

狭い玄関の隅に半ばゴミ化したまま放置してある。

ふとした瞬間、会社の嫌な奴らの顔や暴言が頭の中に浮かび、私は行き所のない怒りや苦しみで喉が潰れるような叫び声をあげてしまう。

それは外から聞こえてくる、子供たちのまるで縁日で売られている笛の音に似たような、明るく細い叫び声とは全く違う。

不快でざらざらとした太い叫び声。

喉を潰して、自分の体を傷つけないと、心の傷を紛らわすことができないんだ。

何もしたくない、何も考えたくない、考えることが怖い。

でも、頭の中に何か入れておかないと、あいつらに侵食される。

だから、とりあえず今日も適当にネットサーフィンでもして過ごそう。

スマホのロックを解除して、特別見たくもないニュースや掲示板をひたすら眺めるのが寝起きのルーティーンと化している。


ピンポーン。インターホンが鳴ったので玄関にノロノロと移動する。

外を覗き穴から確認すると、配達員のような格好をした男が立っていた。

ネットで注文した冷凍食品のセットは明日届くはずだが、今日だったかもしれない。

時計もカレンダーも気にしない生活のせいか、自分の記憶に自信が無い。

私はトレーナーに大きめのカーディガンを羽織ると、空腹から相手をよく確かめもしないで、ドアを開けてしまった。

「どうも、幸田社会保険労務士事務所の幸田です。例の物を受け取りに参りました」

男はやり過ぎなくらい、営業的な笑顔を見せて立っていた。

「えっと、あなた配達じゃなくて、荷物の引き取りに来たんですか?それ、ウチじゃないと思いますけど」

私が注文した冷凍食品の配達ではなかったようだ。

せっかく来てもらって、しかも、わざとらしいくらいの営業スマイルまで見せてもらったのにごめんなさいね。

そんな気持ちをこめて、私は軽く会釈をしてドアを閉めようとすると、その男は玄関に放置していたクソ会社からの封書を掴んだ。

「これです、これ。何だ、まだ中身確認してないんですね。失礼ですが、次のお仕事決まりました?まだ決まってないなら早めに手続きした方が良いですよ」

その男は私の方に封書を差し出した。

「一応、親展なんで。僕は開けちゃいけないんです」

何、この人?警察に通報すべきか。

突然奪われた封書を恐る恐る受け取りながら、私は後で警察に事の子細を話すために男の顔を確認した。

しかし、よくよく見てみると、私はこの男を何となく見た気がする。

しかも、よりによって、あのクソ会社の中で。

「あの、あなた会社の出入り業者か何かの人ですか?」

「業者、まあそんな感じですね。一応、社労士やってるんですけど、全然儲からなくって。副業で配達の仕事もしてるんですけど、こっちの方が実入りが良くってどっちが副業だかわからない状態ですよ。あっ、でも今日はこんな格好してますけど、あなたの所には社労士としてやってきました。ちょうど近くで副業の配達があったもんで」

「ごめんなさい、突然のことでよくわからなくて。私、その、あなたの副業の配達の方と間違えてドアを開けちゃったんです」

社労士?何か雑誌の資格の広告で見た気がするけど、よくわからない。

しかも起きてから今日は何も食べていない。

兎に角お腹が減ってきたので、私は早くドアを閉めて何か食べたくなった。

「これ、中身すぐに確認しますね。わざわざお越しいただき、ありがとうございました。じゃあ」

私が改めてドアを閉めようとすると、男は真顔でドアをガシッと掴んだ。

「あなた、そう言ってまた中身を確認せずに書類を放置しちゃうタイプの人だ。そのUFOキャッチャーみたいな、今にも落ちそうな封書の持ち方からして、床に置く気満々じゃないですか。今、開けちゃいましょ。僕も色々手伝いますから」

ドアを閉めたい女と開けたい男が逆方向に力を入れる。

その瞬間、私のお腹はぐうっと盛大な音を立てて鳴き出した。

私はドアから手を離し、急いでお腹を押さえた。

その隙にその男はドアを全開にした。

「もしかしてお昼ご飯まだ食べてないんですか?じゃあ、外で話しませんか。僕、奢りますんで。そのかわり、僕の目の前でちゃんと中身を確認して下さいね」



「僕、昔は会社員やってたんですけどね、先輩に苦手な人がいて。ああ言えばこう言う感じの人で、絶対に自分の非を認めない人で。もうこっちの心はボキボキに折られちゃったんですよ。しかもソイツ、僕以外には、特に上司とかには滅茶苦茶態度良いんですよ。それで会社を辞めましてね…」

その社労士の幸田という男は聞いてもいないのに自分の身の上話を始めた。

あの後、私はこの男からのランチのお誘いを直ぐに断った。

しかし、私のお腹は二発目の特大花火を打ち上げるが如く、ぐぅーっと大きな音を鳴らした。

「それがお返事と捉えてよろしいでしょうか?怪しい店やバカ高い高級店にはお連れしませんので安心して食事を召し上がって下さい」

微笑する男の顔に少し腹が立ったが、それ以上に腹が減っていた。

私は自分の恥ずかしさを誤魔化そうと、男と同じように微笑しランチの誘いを受諾した。


この男、不細工では無い。

目鼻立ちは意外とはっきりしていて、もしかしたらイケメンの部類に入るのかもしれない。

でも、私はもっとあっさりとした塩顔がいいな。

なぜか色気を全く感じられないというか、雰囲気にオバさんぽさがあるっていうか、とにかく私の好みの男性ではない。

しかも、副業の方が儲かるみたいなことを言っていた気がしていたので、収入も低そうだ。

お昼のピークを過ぎて、人も疎らな、壁の色がところどころ薄くなっている何の変哲もないファミレスとはいえ、かなり久しぶりの男性との食事なので、私はこの男を値踏みした。

「無いな」

思わず呟いてしまった。

やばいと思って口を押さえたが

「ですよね、ありえないですよね。それで…」

と勝手に自分の話に対する相槌だと勘違いしておしゃべりを続けていた。

私はしゃべり続けるこの男に圧倒されていたが、ファミレスに誘われた本来の目的を思い出し、封書の糊付けされた部分に伸びた爪の先を突っ込んでビリっと破いた。



「社労士の資格を取ったんですけどもねって、やっと封を開けてくれましたね」

幸田はやっと身の上話を止めて、私が開封した封書の中身を確認した。

「これこれ、健康保険証を返送して下さいって僕の事務所宛の返信用封筒入ってるでしょ。ずっと届かないから心配してたんですよ。もしかして保険証無くしちゃいました?無くしたならこっちの書類に記入してもらう必要があるんですけど」

「無くしてませんよ。ちょっと待って、今返しますね」

私は財布から保険証を出して手渡した。

「じゃあ、この封筒も必要ありませんよね。他の人に書類送る時に使わせていただきます」

「わっ、せこいですね」

「今流行りのサスティナブルっていうやつですよ」

嬉しそうに幸田は保険証と切手が貼られた返信用封筒を色褪せた鞄にしまった。

「もしかして、退職後にこの保険証使ったりしてませんよね?」

「使ってませんよ。病院行くどころか、殆ど家から出てないし」

ちょうどテーブルに私が注文したハンバーグセットが届いた。

私は「じゃあお先に」と早速ソースをビシャビシャにかけて、ハンバーグを頬張った。

うん、可も不可もない味だ。特に味わう必要もなく、単純な空腹を満たすのには都合が良い。

「まだ仕事見つかってないなら、これ、早く手続きした方がいいですよ」

幸田は私の離職票を掴んで目の前でヒラヒラさせた。

「…今は何もしたくないんです。特に就活しようとすると、前の会社での嫌なこととか思い出しちゃって、まともに動けないんです。あなた、出入り業者から見てあの会社どう思いました?ハゲデブの人事部長とか面識あるでしょ?雰囲気だって最悪でしょ?私、もう辞めてるんでチクったりしないし、そもそも出来ないし。思ってることとか言っちゃって下さいよ」

私はこの恋愛対象外で、情けない出入り業者には全く気を遣わずに、口の中にハンバーグが入ったまま話し掛けた。

幸田は少しの間腕組みしながらウーンと呟いて、目の前にあるコップの水を一気に飲んで口を開いた。

「僕には顧問先に対する守秘義務があるので、そういった類いのことは何も話せないんですよ。でも、あなたの話を聞くことはできます。知っていますか?労働基準監督署に対する労働基準法等の法違反に該当しない労働相談で一番多いのは、職場でのいじめ・嫌がらせについてです。つまり、嫌な言い方しちゃうと、よくあることです」



私がいた会社は五十人規模の中小企業だった。

しかも私が配属されたのは、見るからにしょぼくれたおっさん上司とパートのおばさんがいるだけの部署だった。

この上司が見た目通りの単なるしょぼくれたおっさんなら良かったのだが、見た目や能力に反して無駄に自意識の高い人物だったのだ。

「私には物凄く横柄な態度をとる癖に、自分より立場が上の人には別人のように誠実に対応するんです。しかも、突然私に仕事に対しての物凄く薄っぺらい理想論を語ってくるの。なんかスナックでホステスに話すみたいな感じで。常にパワハラとセクハラの繰り返し」

「…どっちも嫌ですね」

幸田はカレーを喉に流し込むように頬張りながら時々私の話に相槌を打った。

その後も私は上司が最新のソフトが使えず、効率の悪い方法しか認めないことや、うちの部署と関係する他部署からも良く思われていないこと等話した。

「自分が良く思っていない人が他の人からも良く思われていないことがわかった時って嬉しいですよね。いいなあ、僕なんか…」

話が幸田の方に移ってしまいそうなので、私は慌てて話を続けた。

「でも、それが良くなかったんです。同じような仲間がいると思った途端、嬉しくて、気が大きくなってしまったんです。自分だけがこいつを嫌ってる訳じゃないと思うと我慢すべきではない、どうにかしなければいけないという怒りと、折角仲良くなった仲間に喜んで欲しいから、おしゃべりするネタになるからとか思って、ちょっとしたやる気が湧いてきちゃったんです」

私はしょぼくれ上司に反抗し、意見するようになった。

しかし、それで怯むような男ではなく、私への叱責は日に日にエスカレートしていった。

小さな会社だった為、私の部署での険悪なやり取りは多くの社員が知るところとなった。

「それは、大変な事態になりましたね。ところで、もう一人その部署にパートの方がいましたよね?その方の様子はどうだったんですか?」

「私たち社員の人事権は人事部にあるようですが、パートの方に関しては殆ど上司が握っていまして…」

私と上司が対立すると、パートのおばさんは上司の側についた。しかも、積極的に。

私のミスを見つけると、大きな声で上司に聞こえるように詰問してきた。

すると上司は機嫌良さそうに彼女に話し掛けるのだ、私に聞こえるように。

「これじゃあどっちが正社員だか、わからないねえ」

彼女は嬉しそうに、意地の悪い笑顔を浮かべて私の方を一瞥した。

「うわっ、そういう人いる。誰かが最初に発掘した人の不幸の原石を隙あらばズンズン掘り出しにいく人!それで会社を辞めたんですか?」

「いいえ、まだ続きがありまして」



私は昔からクラスとか、組織とかのグループが苦手だった。

グループの中にいたとしても、立場は一番端っこで、発言権なんてものはない。

それどころか、人権すらないのではと感じてしまうこともある。

しかし、世の中には常に人を巻き込むのが上手い人がいる。

何か不満があれば「ねえ、みんな!」と当たり前のように自分の意見を民意に変えてしまう。

しかも、本人は必ずしも優秀とか人格者とは言えない人物。

私は利害のある人と一言話すだけでも百パーセントの気を遣うのに、人を動かすどころか、気が付けばいつも孤立してしまう。



部内での険悪なやり取りはすぐに会社全体が知ることとなり、私は人事部に呼ばれた。

自分より立場が上や、利益になる人物には別人のように態度が良い上司は既に私の勤務態度不良、能力の低さを訴え、自分に有利になるように手を打っていた。

しかし、私は必死に上司の横暴さと、業務効率の悪さについて訴えた。

「言いたいことはわかりました…君ねえ、上司に意見するなんて何様なの?僕は彼との付き合いが長いけど、君の言うような酷い人間ではないよ。他の部署でも彼の態度が良くないという人がいるというなら、その社員の名前を今すぐ言いなさい!どうせ言えないだろう?しかも、君の反抗的な態度は自分の指導能力が十分ではないせいではないかと、とても悩んでいたよ。何かパソコンの資格を持っているようだけど、資格なんかよりも大切なものが組織には沢山あるんだ。彼に謝りなさい!彼の苦労がよく分かったよ」

つい最近、営業部から人事部に異動になったデブハゲ部長は私の意見など気にも止めずに、上司への謝罪を強要した。

その場でドラマみたいに辞表を出して、唐突に仕事を辞めるなんて世間体の悪いことをする勇気もない私は不本意ながら上司に謝った。

上司はこの一件を自分に都合よく周りに吹聴したようで、他部署の課長や部長にも「もう生意気なことするなよ!」と叱られたり、「おいおい僕には優しくしてくれよ」と、おちょくられたりした。

更に、私は決して上司に文句のある人物の名前は言わなかったが、人事部が聞き取り調査をしたらしく、疑われては困ると、誰も私には近づかなくなり、以前はおしゃべりしていた他部署の人にも避けられ、社内で益々孤立した。

「こんなことになるなら、どんなに辛くても、何もせずに耐えればよかったんじゃないかって毎日のように自己嫌悪するようになり、休日も何もする気が起こらなくなり、そして、ついに体が動かなくなって…」

私は会社を自己都合退職した。

「何もせずに耐えていても、その環境では遅かれ早かれ精神的にも肉体的にも限界は来たでしょう。そんなに自分を責めないで下さい。退職して良かったんですよ」

幸田がテーブルの隅に置いてあった紙ナプキンの束を差し出した。

幸田の言葉と行動に、何故か嬉しさの後に悲しみが込み上がってきた。

幸田は私の不幸な身の上話に対して、私が心の中でずっと望んでいた通りのリアクションをしてくれた。

ずっと誰かにそう言って欲しかった。

そこまでは良かった。

もしも私に温かい家族や親しい友人がいたら、今の幸田の言葉はもっと早くに当たり前のように聞くことができたであろう。

しかし、私にはそういった存在はいないのだ。

私は紙ナプキンを受け取り、目元にぎゅっと押し当てた。



「ありがとうございます。でも、他の部署の仲良くなれそうな人にも嫌われちゃったし、パートのおばさんも私のこと好きじゃなかったし。私には人を惹きつける魅力がないんですよ。昔からよく孤立してたし」

「魅力?何か勘違いしていませんか?他人に好かれるっていうのはね、その人にとって都合が良いかどうかだけ。あなたの魅力や能力なんて関係無いんですよ」

私の話を聞いていた幸田が突然話に割って入ってきた。

「でも、それって都合の良い女ってことですよね。都合の良い女って男の人から下に見られてて、好かれてる感じはしないんですけど」

「あれは極端な例ですけどね。でも、結局都合のいい女って、自分でもわかってるのに都合の良い女を止めないのは、本人にとっても都合の良い女でいることの方が都合が良いんでしょうね。多かれ少なかれ、人は無意識に自分にとって都合の良い人に好感を持つんです。あなた、下に見られるって言ったけど、人が人を好きかどうか決める時、王様にでもなったかの様に他人を値踏みしているんです。みんな上から目線で恋をするんですよ」

私はそんな訳ないと反論しようとしたが、ついさっき幸田を値踏みしたばかりであった。

「私、パートのおばさんのこと、入社したばかりの頃は嫌いじゃありませんでした。でも、あからさまに上司の味方をするようになって大嫌いになりました。他部署の人たちも私に優しくしてくれたり、おしゃべりしてた時は大好きでした。でも、今は顔も見たくありません」

幸田のことを値踏みしたことは言わなかった。

「パートのおばさんも他部署の人たちもあなたと同じように、あなたに好感を持っていたんだと思います。しかし、あなたと上司の関係が悪化したことで、あなたと仲良くすると自分の都合が悪くなるから嫌ったり、避けたりしたんだと思いますよ」

「でも、それって結局私の対人スキルが低いからですよね?都合が良くないのは私の能力が劣っているからですよね?」

「都合が良くないことと能力が劣っていることはイコールにはならないのでは?都合が良いっていうのは相手の思い通りになってくれる、つまり使い勝手が良いってことでしょ。昔から言うじゃないですか?バカとハサミは使い様って。でも賢い人は反論したり、逆に自分が使われてしまうかもしれないでしょ。それって都合が悪いですよね」

「でも、私、コミュニケーション能力が低いから上手く立ち回れなくて、その上仕事でミスをして叱られて、余計に人に嫌われました。やっぱり劣っているから嫌われるんです」

「あなたは手強いな。反論ばかりするデモデモデーモンさんだ。僕にとって都合の良い返事は返ってこないようだ。これは極端な例ですが、あなたの目の前に足を怪我した人、もしくは若年、加齢等の要因でゆっくりと歩いている人がいます。あなたは急いでいますが、ちょうどその人たちが道を塞いでいて、前に進むことができずに到着が遅れてしまいそうです。あなたはこの人達に『早く歩け』と怒りますか?」

「そんなことする訳ないでしょ。そんなことを言う人がいたら、その人こそどうかしています!」

「ですよね、怒るどころか助けたくなります。では、あなたの目の前を塞いでいるのがお喋りに夢中な、高いヒールを履いた若い女性達だったらどうですか?」

「怒りはしないけど、内心ムカつきます」

「なぜ、ムカつきますか?それは、彼女達は歩こうと思えば早く歩くことができるから。あなたが叱られたのはできないからじゃありません。できると思われてるからです」

「でもそれ、かなり言葉の力技入ってますよね。倫理的な問題と私の個人的能力の問題を混同してますよ。さっき私のことを反論ばかりするデモデモデーモンって言ったけど、幸田さんも屁理屈ばかり言ってますよね?」

「あら酷い。僕のことは屁理屈野郎じゃなくて、どんな話をされても打ち返す、言葉のメジャーリーガーとでも思って下さい。まあ、怒るって行為自体が全て相手の自己都合ですよ。『お前の仕事が遅いから!』ってあなたが会社で怒られたとするでしょう?でも、何故相手が怒ったかっていうと『お前の仕事が遅いから…俺が早く帰れなかった、俺が上司に怒られた』っていう風にその怒りの後にその人の自己都合が続くんですよ。お喋りに夢中な人がいても、それがあなたの道を塞いでいなければ怒らないでしょ。あなたの仕事が遅かろうが、悪かろうが、自分に不都合ではないのであれば誰も怒らないんですよ」

「でも、特に何もしていないのに嫌われることってありますよね」

「それこそ、人の好き嫌いを判断する時、人は王様になることの最たる例ですよ。自分の気分や想像で勝手に人を判断して怒り、傷つけて。正に暴君そのものです。さっきの話ですけど、高いヒールを履いた、楽しそうにおしゃべりする若い女性に道を塞がれた訳でも恋人を取られた訳でも無いのに、ちょっと見かけた程度で睨みつけたり、悪口を言う人多いですよね」

私は大いに幸田の意見に賛成した。

「確かに!有名人でもネットでボロクソに書かれてる人いますよね。でも、書いてる人達の殆どはその人のこと、よく知らない人達ですよね」

「そうですよ。僕の大好きな女優さんもよくネットで叩かれてます。とても綺麗で勉強家で魅力的な人なのにですよ!嫌われるのに魅力なんて関係無いんです!暴君達の都合なんて知りませんよ!」

あなたも大してその女優さんのこと知らないでしょ?あなたの好意も自己都合でしょ?と言いたかったが面倒臭いことになりそうなので止めた。


「しかも、脇役で出てた時は『かわいい、今度は主演して欲しい』なんて書かれていたのに、イケメン俳優とダブル主演した途端『不細工、辞めろ』なんて酷いこと書かれて。暴君の好き嫌いなんて何の根拠もなくコロコロ変わるんです!気にするだけ無駄です!」

思いっきり気にしてますよね、自分で言ってて気付かないのかって言いたくなったが、これも言わないことにした。


「しかも、暴君の殆どがその女優さんよりもブ…」

幸田は好きな女優の魅力についてや、好きな女優の悪口を言っているのであろう架空の暴君に対する暴言を熱く語った後、やっと興奮が覚めたのか、残りのカレーを平らげて、私の方に向き直った。

「因みに、知っていますか?いじめの加害者と被害者のその後を長期で追跡調査したアメリカの某大学の研究結果。被害者も加害者も経済的・健康的にマイナスの状況に陥っているんですよ」

「えっ、ちょっと待って」

私は幸田の言葉で一気に頭の中に処理しきれない感情が流れ込んで来た。

「お気持ち、よくわかります。僕もこの話を聞いた時、あなたと同じ気持ちになりましたから。加害者がマイナスの状況に陥るのはいいんですよ。でも、被害者までもその後マイナス状況に陥るのは本当に踏んだり蹴ったりですよね」

「本当、踏んだり蹴ったりですよね。加害者がマイナスの状況に陥るのは自業自得だからいいですけど、被害者にはその後絶対に幸せになって欲しいです」

私は他人事の様に幸田に話したが、その踏んだり蹴ったりの被害者は正に私自身だ。

他人の自己都合に巻き込まれて嫌な思いをした挙句、その後も浮かばれないなんて。

私の体は小さく震えた。

「僕はその調査結果を聞いた時、あまりの無情さに無気力となりました。泣きっ面に蜂どころの騒ぎではありませんよ!身体中マシンガンで撃たれて蜂の巣状態になってもおかしくない程の心的ダメージですよ!」

「私も心を出刃包丁でザクッと刺されたぐらいの衝撃です。人生嫌になりました。そんなこと、一生知りたくなかったです」

「そのお気持ち、良く分かります。でもね、僕はそんな救いようのないことを無責任に言うような男じゃありませんよ、言葉のメジャーリーガーですからね!僕はその研究結果の打開策、つまり被害者の方がマイナスの状況から脱出するのに良い方法を既に見つけているんですよ!」

「もう、それ早く言って下さいよ。私、さっき滅茶苦茶ショックを受けたんですよ」

私はテーブルを軽く叩いて幸田に抗議をした。

「その方法、知りたいですか?では、ここで質問です。あなたは勤めていた会社の上司から散々な目に遭いました。憎たらしいでしょ?今でも大嫌いでしょ?」

「はい、おっしゃる通りです」

「では、あなたはその上司に嫌味では無く、心の底から『ありがとう』って言えますか?」

「言える訳ないでしょ!それどころかこの世にある汚い言葉とか、禍々しい言葉とかの全てをやつらにぶつけたいくらいです」

「そうですか。まあ、多くの人があなたと同じように答えると思います。僕もそう答えたいのは山々ですが、止めておきます」

幸田が澄ました顔で答えた。異様にムカついた。

「あの、今の質問と被害者がマイナスの状況から脱出するのはどう関係してるんですか?」

「僕は今、小さいながらも自分で社会保険労務士事務所を構え、吹けば飛ぶようなおんぼろですが城の主となりました。だから、いずれは立派な城主になりたいと思い、あらゆる成功者の記事や本を読み漁りました。会社社長、アスリート、喜劇王…何か大きなことを成し遂げた人たちは皆、その憎たらしい人達に『ありがとう』って言ってるんですよ。やっぱり何かの分野でトップを取る人達は違いますね。僕は感動しましたよ。正にこれだ!って思いましたからね。嫌なことをされて悪口を言ったり、ヘコんだり、仕返しに人生の貴重な時間を費やしたら結局自分もマイナスの状況に陥るでしょう。だからこそ、その辛さをバネにして、頑張って成長して、その人にありがとうって言えるくらいの人間になるんですよ。そうなれば、あなた、嫌な奴は皆あなたの人生の肥やしになり、マイナス状況に引っ張られるなんてことがなくなるんですよ」

「言うのは簡単ですよね。でも、私は成功者どころか、ただの無職ですから。嫌いな人にありがとうなんて一生言えないと思います」

屁理屈ばかり言っていた幸田が勿体ぶった挙げ句、急に綺麗事を言い出したので、私は拍子抜けした。

そりゃそうだよ。嫌いな奴を見返すくらい成功出来るポテンシャルがあればいいよ。

私には才能も気力もお金も無い。

「僕も嫌いな先輩がいて、会社辞めて、頭悪いのに必死に勉強して社労士になりました。でも、夢に描いていたような、やりたかった仕事は碌に出来ないし、本業だけでは食べていけないし、嫌いな奴にありがとうなんてとても言えない状況です。でも、僕は成功者になる日を夢見てるんですよ。辛かった過去にありがとうって言える日を。そしていつか僕は憧れの女優さんに…」

「でも、結局幸田さんも嫌いな奴にありがとうって言えてないから私と一緒です。脱出してませんよ」

「確かに。脱出はしてませんけど、一時的に逃げることは出来ます。ふとした瞬間、嫌いな奴の記憶ってフッと湧き上がって、どんどんあなたの中の怒りや悲しみを上昇させていくでしょう?マイナス感情で一杯になるでしょう?でも、そんな時僕は『駄目だよ、僕はこいつらにありがとうって言えるくらい成功する人間なんだから!』ってどこか体を動かしながら自分に言い聞かせるんです。そうすれば嫌いな奴の記憶は沈静化出来ます」

そう言って幸田は両手を漫画みたいにブンブン振って見せた。

「まあ、頭の中に浮かぶ嫌な奴らの言動を一瞬でも紛らわせるには良いかも。しかも、加害者はマイナス状況に陥るんでしたよね?」

「ええ、もちろんです!」

私も幸田の真似をして両手をブンブンさせると幸田は嬉しそうに笑った。



「でも、さっきから王様とか自己都合とか、そんな話ばかりしているのに、私は誰かといると常に自分は奴隷のような、他人都合で動いているのが性に合っているように思えるんですよ。自分を貶めることが自分にとって都合が良いのかな。正に都合の良い女って感じなんですけど」

私が得意の自虐的な発言をすると、幸田は私の顔を見ながらゆっくり口を開いた。

「何故、こんなに王様や暴君だらけの世の中にあって、僕は王様にはなれないのであろうか。それはきっと僕の身近に絶対君主がいて、僕に奴隷であることを強いた人物、つまり僕の父親がいたからですよ!あなたも身近に傲慢な王様か王女様がいたんじゃないですか?」

幸田の突然の問いに、一瞬私の頭の中が真っ白になった。

そして押し入れに入れていた古い段ボール箱をひっくり返したように、私が思い出さないようにしていた記憶や考えが頭の中に雪崩れ込んできた。

食欲は無くなり、鳩尾を引き絞る様に気持ちの悪い物が喉元まで込み上げてきた。

「何で、そんなこと、あなたに言われなきゃならないんですか?」

私の動揺は幸田に伝わっていたようだ。

「大丈夫ですか!?お水、飲みますか?」

私は幸田の顔を見ずに、頭を軽く振った。

しかし、幸田も私の顔など見ていなかったようで、急いでコップに水を入れて席に戻ってきた。

「僕は仕事柄、暴君に気力体力あらゆるものを奪われた人の為の書類をよく作ります。他人の自己都合に巻き込まれた結果、退職願に自己都合って書いて職場を去っていくんです。皆、自分より他人を優先して、自分がボロボロになるまで相手に気を遣って。恋も仕事も王様になるはずなのに、自ら進んで奴隷になろうとする。あなたが気を遣えば遣う程、暴君たちはあなたを奴隷と見做してぞんざいに扱う。僕はそんな人達が少しでも革命を起こす手伝いが出来たらいいなと思って、副業よりも儲からないこの仕事を選びました。まあ、そういう僕こそ一番の奴隷みたいなものなんですけどね」



私は今年で26歳になる。彼氏はいない。

知り合いに毛が生えた程度の友達は数人いるが、親友はいない。

勉強は得意でも苦手でもなく、特別ガリ勉しなくても合格できる、都内のあまり偏差値が高くない女子大を卒業した。

特にやりたい仕事もなかったが、営業は苦手だし、これといった技術もないので事務職に就く為にMOSのエクセルとワードのスペシャリストだけは勉強して取得した。

元々あまり社交的な人間ではなく口下手だ。

それに加え、仕事への熱意があまり感じられないせいか、就職活動は上手くいかず、数少ない内定が出た会社の中では一番規模の大きいあのクソ会社に就職した。

ずっと低空飛行の人生ではあるが、一体どこで決定的に人生に躓いたのであろうか?

どうしてこんなに情けない人間になってしまったのであろうか?

眠れない夜には大抵こんなことを考えながら、答えが出ないまま、いつの間にか寝てしまうような生活を送り続けていた。

幸田の話を聞いて、やはり私はこの世に生まれて、一番最初の人間関係で躓いていたのかもしれないと答えが出たような気がした。

私の母はとても女の子を欲しがっていたそうだ。

しかし、母が欲しかったのは娘の形をした人形だったんだ。

欲しがった割に母が大切にしたのはいつも兄の方だった。

父は家庭には無関心。

いつも母の気分で家が動いた。

母のその場の思いつき、無責任な言葉を厳命と捉え、人形だった私は捨てられないように必死で母の顔色を伺ってその言葉に従った。

自分の気持ちを優先してはいけない。

いつも私の心の優先席には母がどっかりと座っていた。

そして、母は自分以外の人間にも常に私の優先席を譲るように強要した。

自分の意見を言えば我儘だと言われた。

私は常に自分が最下層であることを母に叩き込まれた。

何を言っても否定され、たまに頑張っても褒めてもらえるどころか、このくらいのことで調子に乗るなと貶される。

私は自分の意見も希望もあまり持たなくなり、気付けば母以外の人間の顔色も伺いながら、ただ、他人の都合の間を流されるように生きるようになっていた。

今現在は母とは物理的に距離を置くことはできていても、ふとした瞬間、母の亡霊がずっと私の優先席に纏わりついていて、私がそこに座らないように威嚇する。

しかも、あろうことか、私が一番嫌いな人を優先席に座らせようとしているんだ…そんな被害妄想が混ざったような話をしたら、流石にこの幸田でも呆れるだろう。

いや、もしかしたら幸田はわかってくれるかもしれない。

でも、やっぱり言えない。

母に対する疑念は私の中で一番根深い所に巣食っていて、簡単に取り出すことはできない。

「そうですね、母とはあまり良い関係では無かったのかもしれません。母には逆らえなかったから」

ここで止めておこう。

これ以上母のことを話題にしたら、きっと堰を切ったように話してしまうだろうから。

「やっぱり、そんな気がしていました。親の言うことを聞くように、顔色を伺うように強要された子は親にとっては都合の良い子です。親が暴君として君臨する為にあなたは王位を剥奪されました。こんな王様だらけの世界であなたが疲弊するのは当然です。人は誰であっても自分の人生の王様であるべきです。誰かの奴隷として生きる必要なんてありませんよ」

「でも、具体的にどうしたら良いんですか。正直言って自分が何をしたいのかもわからない、というか、もう何もしたくないんです」

「あなたは親や世間と上手くいかなかったことを理由にして、何もしたくないという答えに至りました。でも、親は理由にするものではありません。親を利用すれば良いんですよ」

「でも利用するって、どうやって?実は仕事を辞めたこと、まだ親には言っていないんです。利用する以前に、関わりたくないんです」

「利用するって、親と関わることではありませんよ。あなたは親や周りを優先し、気を遣い続けた結果、幸せになりましたか?あなたは充実した毎日を過ごしていますか?」

「そういう風に見えますか?」

「では、その結果を今後の人生に利用して下さい。あなたの親があなたに何を言って、何を強いてきたのか詳しいことはわかりませんが、その方法が正しいものではなかったことは十分に証明されたんじゃないですか。これで何の未練も無く今までの自分の行動パターンと決別できる。親からの指令は間違っていたものと判明したんです」

「そんな簡単に言わないで下さいよ。間違ってるからって今すぐ変えることなんてできませんよ。ずっと間違ったまま生きてきたんだから」

少しの間、お互い黙り、幼稚園帰りだと思われる親と子供のグループの番組観覧のような笑い声が聞こえてきた。

「もちろん、長い間築き上げてきた思考や行動パターンをすぐに変えることは出来ません。でも、自分の生き方の定理があることで、今後の人生は生きやすくなると思いますよ」

幸田の良いこと言った風のドヤ顔を見て、私はやっと我に返った。

ここ、真っ昼間のファミレスだよね?初対面の男と長時間ぐだぐだ話して、涙まで流して、挙げ句、数学みたいな話。

何だかこのシチュエーションに笑えてきた。

クソ真面目にデモデモ反論していた自分も何だか馬鹿らしくなってきた。

「親の意見だけではなく、世間や周りが良いと思うことや、幸せと定義することに対しても同じ方法が使えますよ。あなたは長い間、とても素直に周りから与えられた定義を信じて行動してきましたが、それが自分には合わない、幸せではないと証明されたなら、新しいあなたの定理を作っていけばいいんです。今までの経験を利用して、自分の幸せの定理を作って下さい」

幸田は滅茶苦茶臭いセリフを連発した。

色んな意味で満腹だ。

「そうかも知れませんね。親や周りにとって都合良く生きても、碌なことがなかったことはよくわかりましたからね。もう終わりにしたいです。でも、本当に何をしたらいいのか今は思いつかなくて」

「じゃあ、取り敢えずこれをどうぞ。何をするにも先立つものは大事ですから」

幸田は又離職票を取り出した。

「必要書類や書き方は全部書いてありますので読んで下さい。それに今はハロートレーニングという、資格や仕事に役立つ技能を学ぶ為にハローワークが勧める講座も凄く充実していますので、しばらく勉強しながら新しい仕事や、やりたいことを見つけるのもいいかもしれません。兎に角、一刻も早くハローワークに行くことをお勧めします」

私はコップの水を一気に飲み干した。

「ありがとうございます。そうしてみます」

幸田との長時間に及ぶやり取りで、でもでも反論する気力が無くなったせいか、何だか素直に答えてしまった。

「じゃあ、僕は副業に戻ります。夕方から忙しくなるんですよ」

そして幸田は伝票を取り上げると、替わりに一枚の紙を私の目の前に置いた。

「何か困ったことや、『でもでも』って否定ばかりしたくなるデモデモデーモン話がしたくなったらご連絡下さい。初回は無料ですが、次回からはこちらの金額になります」

それは幸田社会保険労務士事務所のチラシであり、個人相談料の欄が蛍光ペンで丸く囲まれていた。

「どんなに親しい人がいても、デモデモデーモン話は人間関係にヒビが入ります。是非、プロに相談を!」

幸田は副業の時間が迫っているらしく、店員に「領収書下さい」と大声で話した後、駆け足で店を出ていった。

「結構高いお金取るのね」

私はチラシの料金を見て、丸めて捨てようかと思ったが、一応ポケットに突っ込んでおいた。

又、デモデモデーモンが湧いたら相談してもいいかな。

こんな臭いセリフ、なかなか言う人もいないしな。

しかも、幸田には何か人に気を遣わせないという、長所なのか欠点なのかよくわからない雰囲気がある。

それは私にとって都合の良いものだ。

お金が掛かっても、気を遣わずに誰かと話すことが今の私にとってやりたいことの一つなのかもしれない。


まあ、取り敢えずハローワークに行こう。

私は封書を掴んで店を出た。

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