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今日は愛人のところ? じゃあ夕飯いらないね  作者: 谷地雪@第三回ひなた短編文学賞【大賞】受賞
復讐編(夫視点メイン)

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復讐④

 いざ始めてしまえば、罪悪感も抵抗感もない。美紀とだけ不倫をしていた時は、背徳感がスパイスにもなったものだが。許可されてしまうと、それはそれでつまらないものがある。

 とはいえ、気は楽だった。何を気にすることもなく、自由に遊ぶことができた。二人、三人、と遊ぶ相手を増やしていって、彼女たちを妻に報告しても、嫌な顔をされることはなかった。


「この子が、佐知。××大学の三年生」

「大学生? 大丈夫なの?」

「年齢的には成人してるし、向こうも承知の上だから大丈夫」

「ふぅん。彼女、五人目よね。そんなに同時進行して、大丈夫?」

「あー、えっと、最初の美紀と、二人目の可南子とはもう切れてる。から、佐知とー、雅とー、あー……誰だっけ……えー、そうだ。真琴、で三人? かな」

「そう。お金には気をつけてね」

「わーかってますぅ」


 唇を尖らせて、忠はぶうたれた。


 それぞれに使える金額には限りがある。ホテルのグレードを落としたり、食事を奢らせたりしているが、やはり一人減らすべきか。

 佐知は大学生だし、最初は余裕のある大人であるところを見せたい。ブランドバッグの一つも贈りたい。となると、真琴を切るか。あれにはそろそろ飽きてきた。

 三人くらいはキープしておきたかったが、金のことを考えれば二人くらいが今後は安定するかもしれない、と忠はぼんやり考えた。


 それからは、定期的に相手を入れ替えて、二人から三人程度をキープするようにした。新しい相手を増やした時は、古い相手は切る。最初は辛うじて覚えていたが、だんだん入れ替わりも複雑になり、忠本人が相手の名前を把握しきれなくなってきたこともあり、次第に妻に報告しなくなった。

 最初はきちんと報告していたし、今更相手が変わったところで大差ないだろう。金額はそれなりにセーブしている。

 だから何も問題はない。全ては順調だ。


 そう、思っていた。

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