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ようやく、俺様は俺様のファブレスにすくう疫病神の正体を見破り、そいつを追い出すことに成功した。
これで、この先、俺様はなにをしても大成功するはずだ。なにしろ、俺様は天に選ばれた存在なのだから。天はつねに俺様の味方だ!
だというのに、あの疫病神を追い出した途端、従業員の大半が自ら辞表を書いて、後を追うようにファブレスからさっていった。
ふん、天のことわりを理解できぬ愚人どもめ! むしろ、俺様の真の偉大さを理解できず、これからはじまる大躍進についてこれないヤツなど、こちらから願い下げだ。とっととお前らも出ていけ! そして、あとで俺様の成し遂げるに違いない偉大な業績を、社会の底辺から指をくわえて見上げているがいい!
あのとき、俺様についていればと大いに嘆くがいい!
もっとも、どんなに嘆いても許しを乞うても、俺様のファブレスはお前らを二度と雇ってやることはないがな。
今から見ものだ。
さて、まずはなにから手をつけるか?
マリナスの後、新しく俺様の右腕に任命したうすのろは、オリジナル10の出身ではないが、俺様の言うことならなんでも『ハイハイ』と聞くやつだった。
俺様の命令はこいつにとっては神からの天啓に等しいようだ。
うん、よくわかっているじゃないか。無能なボンクラのくせに。
いろいろ考えた末、新体制で最初に取り掛かることにきめたのは、アイリちゃんとジュンちゃんが中央神殿で待機中に遊んでいるという地球から持ち込んだゲームを再現することにした。
一方が黒で反対側が白に塗り分けられたメダルを交互においていくゲームだ。同じ色で挟むと、その間で挟まれた色はひっくり返されて、挟んだ色へ変わるというルールで、最終的に盤面上で多い色の方が勝ちというルール。『リバーシ』とかいうらしい。
俺様もジュンちゃんと一度対戦してみたことがあったが、初めてだというのに、なんなくジュンちゃんに勝ってしまった。
ジュンちゃん、涙目になって、もう一回、もう一回って、休憩時間が終わるまで挑んできたな。案外、負けず嫌いなのだろう。
あれなら構造は簡単だし、ルールもわかりやすい。
いけるだろう!
というわけで、早速、リバーシとやらを再現して、売り出したのだが、これがまた大ヒットだった。
工場は増産に次ぐ、増産。好調すぎて、笑いが止まらん。これは、やっぱり、疫病神がいなくなったおかげだろう。
ははは、見たか、ゴミカス・マリナス!
だったのだが……
『生産停止命令』
唐突に王国が介入してきやがった。
なんでだ? 俺様の必死の抗議も聞き入れてもらえず、結局、大量の在庫を抱えて、リバーシ事業から撤退するしかなかった。
く、くそっ! こんなはずでは…… あの疫病神を追い出したのだから、こんなことになるはずはないのに……
とはいえ、そんな一度の失敗や挫折でめげている必要はない。
次に取り組んだのは、見た目がカエルの卵にそっくりなでんぷんの球が入った飲料タピオカミルクティー。
アイリちゃんによると『映え』な飲み物として、地球では一斉を風靡したものだそうだ。
しかし、『映え』ってなんだ?
正直言って、疑問だらけだったが、アイリちゃんが教えてくれたものだ。間違いはないだろう。
なので、王都中にドリンクスタンドを一斉に構え、売り出した。だが、王都の人たちにはまだ『映え』は早かったようだ。
その後も、アイリちゃんやジュンちゃんの知恵を借りて、様々な事業に手を出したが、結局――
な、なんでだ? なんでこうなった?
天に選ばれた俺様と聖女様がタッグを組んでやる事業だぞ! 失敗するなんてありえないだろ? なのに、なんでだ?
いつのまにか、ファブレス商会は返す当てもない借金にまみれ、どうにもならない状態に陥っていた。
そ、そんなバカな――




