第83話
「でも、戦闘中から思っていたけど、ロクスリー君って、結構、カワイイ顔しているよね!」
「そうっスかね? 自分で自分の顔を見る分には、普通っぽく感じるっスけど?」
ユリンさんの指摘が、ちょい納得行かなくて聞き返す。
「大丈夫、大丈夫! ロクスリー君、かなりイケてるよ! ちょい情けない感じが、ネコやらせると映える感じなんだよね!」
「ネコ?」
ユリンさんの言葉が理解できずに聞き返すと、
「そそ! ロクスリー君がネコで、マカロニ立ち! うはッ! これ、良いんじゃない!? 良いよ! 良いわよ! 最強だよ! 思わず萌えちゃう! ハァハァ……ッ!」
と、何やら興奮冷めやらぬ様子⁉
「ヤバイ! ヤバ過ぎ! デンジャラスッ‼」
そう叫ぶユリンさんの鼻腔から、噴水の様に凄まじい勢い で、赤い本流が飛び出して来る⁉
「ちょ……ッ⁉」
ユリンさんの前に居たオイラの顔面に、ユリンさんの血潮が、これでもかと迸る⁉
「ハァハァ! 最強! このギシアン、最強なんですけどッ⁉」
なおも謎発言をしつつ鼻から赤い飛沫を噴射するユリンさん⁉
「ええい! オマエのその病気は、ええ加減、治らんのか⁉」
ミケさんが、どこからともなくハリセンを出し、ユリンさんの後頭部を強打する!
「はわっ⁉」
ミケさんのハリセンの一撃で、頭に上った血の循環が正常に戻ったのか、ピタッとユリンさんの鼻からの飛沫が止まった。
「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉ 花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、鼻血なんて出してないよッ⁉」
どうも、ユリンさん的に、本当は、鼻血はアウトらしい。
でも、ユリンさんは、何を今更という感じのライフスタイルである事が、ここまでのユリンさんとの会話で明白なワケだが。
ってか、せっかく今まで、女性だし気を使って、ぼやかして鼻血って描写しなかったのに、ユリンさんがダイレクトに言っちゃったよ⁉
てか、オイラ、顔面、血まみれなんだけど。
絵面だけ見たら、大惨事だけど、この真っ赤な塗装が鼻血で構成されているという事が、精神的に、もっと大惨事っていう……。
「うん、まあ、その、だいたいどういう人か分ったので、チェンジでお願いします。」
とりあえず、ポケットのハンカチで、鼻血を拭いながら伝えてみる。
「うわ~ん! 純情乙女なのにチェンジ食らっちゃったよ!」
ユリンさんが嘆いているが、正直、鼻血を被ったオイラが嘆きたい。




