第7話
微かな記憶の奥で、実は父さんがKGを所持していた気がするが、確か、母さんが亡くなった時に、質に出していた様な気がする。
普通なら、それでかなりの大金持ちになるはずのところだが、父さんは戦争の被害に遭った各地の人たちの為にTHとして稼いだ資金やGを、無償で寄付をして回ったりした上に、このファトス村も最初は父さんの出した寄付金から作られたらしい。
ファトス村の人々の話だと、父さんは、そういう慈善事業を自分の儲けを鑑みる事なく世界の全土で行っていたらしく、その偉業から、発掘の英雄とか、伝説のTHと称えられ、ティアナ全土に広まっているんだそうな。
しかし、その後に居ついた、ここファトス村で、WGでの工事作業をして生計がやっとという状態になっていたのは、荒稼ぎができていたTH時代の時同様の突飛な金銭感覚だった為かもしれない。
そして、オイラにはWGの操縦なんて全く教えてくれなかった父さんが、何故か急に38の主操者権限をオイラに譲渡すると言い出して、その為の操縦を教えて貰ったと思ったら、いきなりポックリ逝ってしまって、葬儀やら何やらで、ごった返しで諸々とあったのが1か月ほど前。
で、何の仕事もせずに過ごせるか試した結果、父さんの残した資金がそろそろ底を尽きそうになって、さすがにヤバいと思いだして、先日のオイラの誕生日を自分で祝う金銭的余裕も無くなり、今日に至り、何の特技も無く育ったオイラが自分の生活費を自分で稼がなくてはいけなくなってしまったという……。




