第44話
そこに。
「残念ながら乾杯はできそうにないぜ? ミケ=スターライトさんよぉッ⁉」
いきなり誰かが、こちらに通信をして来る⁉
『マスター、前方に機影多数。こちらを囲む様に展開しています!』
38が冷静に報告して来る。
「うぇ…ッ⁉ な…何なのッ⁉」
うろたえるオイラ。
「誰やッ⁉」
今までのニコニコ笑顔から一転して、強気な瞳でキッと前方を睨みながらミケさんが問う。
「ザイン=ウォルナス……ッ! アンタと同じTSさッ!」
名乗って来た相手が、ワザワザ通信で姿を見せてくる⁉
金髪オールバックで浅黒い肌!
見るからに係わり合いになりたくない部類の相手だと分かる!
「ラフィンスカルのスナッチャーザインか……ッ⁉」
名乗りを上げて来たザインさんとかいう人に驚きつつも、相手の出方を油断なく伺うミケさんに、
「何スか⁉ 知っている人なんスか⁉」
ミケさんで驚くなんて、どういう相手なのかと、怯えながらオイラが聞くと、
「ラフィンスカルっちゅう、相手が弱いモンやったら、THからやろうが、自警団からやろうが、同業のTSからさえ強奪するっちゅう性質の悪いTSチームや。リーダーのザイン=ウォルナスの、その見境ない盗み具合から、付いたアダナが、横取りザインっちゅう意味で、スナッチャーザイン! こいつの悪名は、よう聞くで。」
神妙な面持ちで、ザインさんたちの事を解説してくれつつ、隙を伺うミケさん。
って、何ッ⁉ その関わり合いたくない度MAXの相手ッ⁉
「おいおい、自分は棚で、オレだけ悪者扱いかよ? 総強奪件数1057件。今日のを入れれば1058件。そのどれもが徹底的に盗めるだけ盗み尽くされていて、強奪したGの総数は万を超える。その貪欲な強奪ぶりから、付いたアダナが、底なし沼の魔王のミケという意味で、アヴァドンのミケ! アンタの噂も良く聞くぜ?」
ザインさんとかいう人が半笑いで言って来る。
「な…何か、ミケさんの方が凶悪そうなアダナじゃないっスか…ッ⁉」
「う…うるさいな!」
ミケさんがちょいキレ気味で言ってくる。相当、このアダナ、嫌なんだろうなぁ。
 




