第32話
シュタイガーンバオアーが距離を取る。
「とにかく、この場を凌がんとやね。まずはリーダー機っぽいザヌスを狙うのがセオリーかな? 指揮系統が乱れれば、勝機は、あるかもやしッ!?」
「じゃあ、オイラはッ!」
レンダーさんのガトナスに牽制射撃を行う。
「ロクスリーの射撃は気にするなッ! 素人のただの下手な威嚇射撃だッ! それより、シュタイガーンバオアーを沈黙させる事に集中しろッ!」
「了解、隊長!」
「了解です!」
酷い言われようだけど、事実、全く当たらないところが悲しい。現に今の攻撃も当たらないしね。
「ちょっ、アンタらッ! 不慣れな機体に乗っとるうち1人に、3機掛かりとか酷ないかッ⁉」
「KGに乗っている時点で、オマエが、ここで1番の脅威なんだよッ!」
言い合いながら、レンダーさんとイリーさんのガトナスのスタンアンカーを回避するシュタイガーンバオアー。
が、その合間を狙って撃ってるはずなのに、ヨギーさんのザヌスのバズーカは、相変わらず明後日の方向に飛んでいく。
この人、隊長だけど、実はオイラと同じくらい操縦下手っぽいなぁ。
でも、ガトナスが、かなりシュタイガーンバオアーの近くまで斬り込んでいくなぁ。
「ガトナスが思いのほか近くに来る……。」
油断なく、ザヌスとガトナスの隙をTSの人が伺い…。
「えーい! こっちも反撃や! よっし! この距離で使える武器は……。」
反撃の為に、シュタイガーンバオアーの装備をチェックする様に、一拍の間を置くが…。
「……バトルアックス…ッ⁉ バトルアックスやと…ッ⁉」
間を置いてからの、TSの人の驚愕の声!
てか、えッ⁉
「レーザーアックスやのうて、ただのバトルアックスやとッ⁉ 一応、刃は付いとるから実弾兵器や格闘兵器の切り払いはできるかも知れへんけど、レーザーを纏ってないなんて、こんなん、ただの質量兵器なだけの鈍器やないかッ⁉」
TSの人の一際大きな驚愕の声も空しく、確かにシュタイガーンバオアーの左腰部から取り出した斧の刃は、その刀身にレーザーを纏ってないッ⁉
って、KGなのに、マジでッ!?
「クッ……他はバルカンくらいか……。至近距離でのレーザーライフルなんかムズいし、背部の垂直ミサイルは、流石に、この近接距離で使ったら自分にも当たる…。やから、ここはッ!」
シュタイガーンバオアーが、バルカンでガトナスを牽制しつつ、バトルアックスという名の鈍器でザヌスを殴りつける。
「なんとぉッ⁉」
諸に胴体部分を横薙ぎに当てられるヨギーさんのザヌス。
やっぱり、この人、自警団の隊長さんだけどオイラと同じくらい弱いっぽい。
重装甲とはいえ、巨大鈍器で殴りつけられた事で、ザヌスが一瞬怯む!
よし! TSの人なら、この隙を逃すハズがない!
これで一気にザヌスをたためるはずッ!




