第16話
まあ、何にしろ、渡りに船とはこの事。
舗装された道が少なくてライドブレードが活用し難い入り組んだ地上を抜けるより、地下でライドブレードを使って加速して直線距離を進めるショートカットがあるなら、活用しない術はない。
「じゃあ、とにかく、そこを使いましょうか。ゲズの方、お名前は? オイラは……」
「オマエのファーストネームは知らないが、ファミリーネームがロクスリーなのはオマエのオヤジさんが有名人だから知ってんだよ。だからオマエの呼び名はロクスリーで良いんだよ。オレはダジル=アンバスだ。」
「じゃあ、ダジルさん。とにかく既にオイラたちは先発隊から遅れているんスからショートカットがあるなら使わない手はないと思うっスけど、どうっスか?」
「分かったよ。だが、どこだよ? ホントにあんのか?」
ダジルさんが、割と疑わしげに聞いてくる。
『マスター、G倉庫の入り口から左方5メートル付近を捜索してください。』
「って、うちのOSさんが言っているので、試してみましょうか。」
「分かったよ」
とにかく自警団のG倉庫の言われた個所を探索してみる。
自警団G倉庫内部でも、複数の自警団の人たちがお腹を抱えて蹲ったり転がったりしている。
倉庫内のトイレの前では長蛇の列が作られておりトイレの扉を必死で叩く人と、それすら通り越して昇天して果てている人などがいる。
南無、南無。
人間、こうは成りたくないよね。




