プロローグ
「リュウジ、もう終わりだ」
江南会の若頭の柳がオレの額に拳銃を向けた。
「銃なんて卑怯だろう」
柳は細い目をさらに細めて笑った。
「ヤクザに卑怯もへったくれもない。これがヤクザの流儀だ」
だが、柳はすぐに引き金を引こうとしなかった。
やはりヤクザと言えど人を殺すことには躊躇するのだろうか。
それなら、土下座をすれば、なんとか生き延びることができるかもしれない。
「柳さん、すみません、勘弁して下さい」
調子に乗ってヤクザに空手の指導などしなければよかった。
そんなことをしなければ、対立するヤクザ組織に目をつけられて、抗争に巻き込まれることもなかっただろう。
だが、いまさらそんなことを後悔してもしかたない。
オレは全力で土下座をした。
「おい、顔を上げろ。的が隠れて見えないだろう」
柳は冷笑していた。
遠くから電車が近づいてくる音が聞こえた。
その時、オレは柳が多摩川を渡る鉄橋の下に呼び出した理由を悟った。
「や、やめろ!」
電車の音がどんどん近くなってくる。
鉄橋の上を電車が通過する轟音と共にオレの意識はブラックアウトした。
エタリ気味だった書きかけの作品をリニューアルして続きを書くことにしました。
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