第9話 現状把握
再び目を覚ました時、清潔だが飾り気のない白い部屋にいた。一応、ベッドの上にいる。
どうやら、『転生』には『成功』したらしい。意識も、知識もある。……だが、妙だな。
まずは、『魔法』で、調査だ。……『情報表示』……
名前:玉衣龍善、性別:男、年齢:13歳……
* * *
そう言う事か……まずは、祈りを捧げよう……
まず、現状分かった事をまとめよう。『輪廻転生』『請願』自体は、成功した。
『請願』は、『魔力』による事無く、魂だけの状態でも使える『能力』だ。
『一生に一度』だが、『お願い』できる。勿論、相手に『可能』な事だけだ。
この見た事も無い素材で、できた建屋にいる事こそ、『請願』が成功した証だろう。
で、ここからが肝心だ。『輪廻転生』の際に、『想定外』の事象が発生したと思われる。
本来であれば、僕の『魂』は、『玉衣龍善』の肉体に、『転生』する筈だった。
それは出来ている。だが、1つの肉体に、2つの『魂』が、封入されてしまっていた。
この『想定外事象』の為に、今までの13年間、僕は『覚醒』する事なく過ごした。
状況が変わったのは、『もう1人』が『死亡』した為だ。
問題点と言えば、僕は『この』肉体が、誕生してから今までの13年間を知らない事だ。
だが、これによる弊害は、予測が付かない。今、僕は自分の両親すら知らない。
不幸中のなんとやらだが、これは病気を最大限利用するしかない。そう、僕は病気だ。
恐らくだが、これら『2つ』の病魔こそが、『彼』を死に追いやった元凶だろう。
それは、『白血病』と『脳腫瘍』だ。
聞いた事も無い病気だったが、概ねは判明している。大丈夫、大層な事では無い。
何故なら、僕は既に『治療魔法』を、習得済みだからだ。病気位簡単に治せるからだ。
「おひおひ……そいつらを『大層な事では無い』って、どんだけ凄い『魔法』を使えるんだよ。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
だが、これらの病気については、追加情報もありそうだ。
それに、見た所この世界は、かなり合理主義らしいしな。きっと、本も沢山あるに違いない。早く勉強したい。が、勉強はこの『透明な天幕』を出てから、するべきだろう。
では、さっさと、病気を治そう。……『病気治療』……
うん、完治した。さて、少なからず『魔力』を消耗した。寝て回復させよう。お休み……
* * *
次回予告
第10話 『お父さん』……『お母さん』……
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