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第52話 会談~宮内庁

「本日は、お招き預かり、恐縮です。本日は宜しくお願い致します。『総統』閣下。」

 今回のお客様は、宮内庁長官だ。動画は撮影しているが、ライブ配信ではない。

「こちらこそ、お越しいただき、恐縮です。どうぞ、お掛け下さい、お茶をどうぞ、長官。」

 会議スペースで、差し向かいになる。軽くお茶で、喉を潤してから話し始める。

「本題に入る前に、お土産です。陛下にお渡しください、長官。」

「タブレット端末が、2つですか。承りました。陛下にお渡ししましょう。『総統』閣下。」

「では、本題です。実は、『憲法刷新』は、国民との『約束』です。その前に、『打診』しておきたい事が、あります。こちらをご覧下さい、長官。」

 別なタブレット端末を取り出し、操作する。で、長官に見せる。

「……『憲法』改め『基本法』ですか。ん? こっ……これは! 正気ですか。『総統』閣下!」

「勿論、正気です。故に『打診』なのです。くれぐれも、お取り成しお願い致します、長官。」

「ですが、自治区日本の主権を『陛下』になさるなど。今更、帝国主義ですか。『総統』閣下。」

「では、『主権在民』の『現憲法下』で、国民が豊かにならないのは、何故でしょう、長官。」

「……そっ……それは、『完璧』な『制度』等無い、のではないのですか。『総統』閣下。」

「然り。ですが、この国の問題点は、『制度』を『運用』する側にあります。憚らずに言えば、『制度』の『悪用』が、横行している。更に、情報統制まで付与されているですよ、長官。」

 今度こそ、言葉に詰まる長官だった。

「そこで、『主権在君』の『基本法』に、刷新します。さすれば、全ての官僚、議員等、公職に就く者の『人事』を、上に立つ者に握られている訳です。即ち、陛下にです、長官。」

「……そっ……それで、『上から抑え付ける事』で、『制度』の『悪用』を抑制する。そう、仰りたいのですか。陛下1人にその責を、押し付けお積りですか。『総統』閣下。」

「『政治家とは、国民の為に政治をしない、支持者の為に政治をする。』違いますか、長官。」

「それは、政治家と有権者の関係ですし、『民主主義』の姿そのものでしょう。『総統』閣下。」

「故に、票を集め易い『公務員』に媚びる政治家が、誕生しました。いわゆる『族議員』です。縦割りの官僚社会では、上から命令されると、逆らえない。その為ですな。」

「その『族議員』が、日本の『民主主義』を悪くした。そう言いたいのですか。『総統』閣下。」

「そこで、2つ用意しました。こちらが、『主権在民』。こちらが『主権在君』です。」

 お土産のタブレット端末を、1つずつ指差す。

「で、これらの内、どちらを支持するか、国民投票にかける予定です。まさか、国民の支持があるのに、お断りには、なさらないでしょうね。宜しくお願い致します、長官。」

 こうして、お土産のタブレット端末を持ち帰る長官だった。


 * * * 



次回予告

第53話 記者会見~その1

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