第5話 ダンジョン探索~緊急依頼
翌日、呼び出され、パーティーメンバーの内、アビイ君を除く4人で集合した。
「実は、盗賊ギルドから急ぎの依頼が、来たんだぜ。オッサン。」
「ノーマン君、アビイ君が、月に一度の休業日は、パーティー全員休む。そう取り決めた筈だ。」
「まあまあ、そう言うなって、これは『人命救助』なんだぜ。オッサン。」
「……詳しく話を聞こう、ノーマン君。」
「最近見つかった迷宮に、先行調査として潜り込んだんだぜ。ギルドメンバーがな。オッサン。」
「つまり、盗賊だけのパーティーだな、ノーマン君。」
「ああ。で、そいつらが、連絡を絶ったんだ。それも今時点で、一日半だぜ。オッサン。」
「ノーマン君、その状況では彼等の役割は、必ず生還し情報を持ち帰る事だ。にもかかわらず、か。これは緊急を要するな。すると、僕達の仕事は、先行した者達の確保収容保護だな。」
「そうだぜ。しかも、遺品や遺体も含むんだぜ。話が早くて助かるぜ。オッサン。」
確かに神官がいない現状、危険が伴う。が、パーティーメンバー『全員』が、『人命救助』に乗り気である。この事実は大きい。彼らの使命感や、やる気の成長も期待できよう。
「分かった。ならば、是非に及ばず! すぐさま出発しよう。案内は宜しく、ノーマン君。」
* * *
で、到着したのは、街から徒歩で数日かかる山中にある洞窟だった。
「相変わらず、すげぇぜ。『魔法』で、空を飛ぶだけで、あっと言う間だぜ。オッサン。」
「今回は、『人命救助』だ。時間をかけるべきではない。それより、明りだ。ノーマン君。」
返事の代わりに、『魔法』を使うノーマン。彼も、この程度の『初級魔法』なら使える。
僕は、既に『飛行』で、消耗している。出来る限り温存したいからだ。
「なぁ、なんで松明じゃいけないんだ。温存したいんだろう。オッサン。」
「トミー君、世の中には、『燃えやすい風』も存在する。これは、念の為だ。」
中の状況が不明である以上、無意味な危険要素を、削るべきだからな。
すると、『光』の『魔法』を手にしていたノーマンが、会話に割り込む。
「できたぜ。俺が、先行する。で、いいんだよな。オッサン。」
「……そうだな……僕達は、入り口で待機する。余り深入りしない様にな、ノーマン君。」
「ああ。ちょっと行ってくるぜ。オッサン。」
天然洞窟の中に、姿が消え入るノーマン。僕達は、洞窟の入り口で遮蔽を取りつつ待機する。
* * *
次回予告
第6話 ダンジョン探索~勇者と会話
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