第44話 お父さん、お願いが……
あの『お見合い』の日、緊急入院したものの、一晩で陰性となり、退院し帰宅した。
そこで、父に頼んだ。『お試し』で、美鶴さんの『腕前』を確認したいと。
結局父が伊賀家に電話し、医師から命じられた一週間の自宅待機が、明けた後と決定した。
時は流れ一週間後。我が家に美鶴さんが、やって来た。そんな状況だ。
「『制限』を説明しよう。いいかな、美鶴さん。」
「はい。龍善様。」
「時間は30分。食材は、全て冷蔵庫に揃っている。それら以外の使用は禁止。冷凍庫も駄目。また、調理器具、調味料は、好きに使ってくれて構わない。但し、玉衣家の物のみを使う事。」
「はい。龍善様。」
「ご飯は既に炊いてある。そして、一汁三菜用意する事。念の為、氷の使用は許可する。以上。」
「はい。龍善様。特に、質問はございません。調理しても宜しいでしょうか。」
「よし、では調理開始!」
スマホのストップウォッチを開始させる。美鶴さんは、素早く動き出す。フライングは無い。但し、驚愕する事になるだろう、美鶴さんは。何故なら……
「しょ……食材が、キャベツ2玉……だけですって。」
勿論、この事は、僕の独断で決めた事だ。両親にも教えていない。あくまで、美鶴さんの、料理における『発想力』や『応用力』などを見極める為だ。ややあって……
「ほう、一汁三菜。キャベツだけで、これだけの料理を作れるなんて、手際がいいですな。」
「本当、キャベツ汁に、キャベツ炒め、キャベツの胡麻和えに、ケチャップ和えかしら。」
そう、彼女はきっちり、『三品』作って来た。何と言うか、胡麻油の香りがいい。
「炒め物は、アツアツですな。胡麻油を使った『中華感』それに、香りがいいですな。」
「本当、葉の固さを、うまくしならせているし、美味しいわ。」
「いやあ、美味しい。胡麻和えは、すったばかりで、風味がよいですな。」
「本当、それにキャベツの葉が柔らかい所を、生で使っているし、美味しいわ。」
「では、ケチャップ和えを……ほうほう、マヨネーズに、マスタードまで混ぜてありますな。」
「本当、それに混ぜ具合もいいわ。辛すぎず、アクセントにもなって美味しいわ。」
「そして、最後に味噌汁を……はぁ……胃が落ち着きますなぁ。……」
「本当、味噌汁も美味しいし、キャベツだけで、これだけの料理を作れるなんて凄いわ。」
「どうだ、龍善。美味しいだろう。この味噌汁、毎日飲みたいと思わないか。」
「……では、定期的に、食事を作る為に、来訪してもらいましょう。いいですか、美鶴さん。」
美鶴さんの承諾の後、彼女の料理で、ご飯がすすむ玉衣家の夕食だった。
* * *
次回予告
第45話 家族ぐるみの交際~夕食
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