第42話 動画~経済産業省資源エネルギー庁
今度は、経済産業省事務次官と、同省下部組織の資源エネルギー庁長官を呼びつけた。
但し、今日はいつもと違い、ライブ配信しない。また、最初から床に両足を降ろしている。
「さて、お集まりいただいたのは、次世代の電力供給についてだ。既に、原子力の安全神話は、崩壊した。太陽光パネルも『環境破壊』など問題山積だ。次の矢をつがえる必要がある。」
「『総統』閣下、仰る事は理解できます。が、具体的な『プラン』は、あるのでしょうか。」
「当然だ。が、その前に、諸君ら経済産業省資源エネルギー庁の『怠慢』は、目に余る。『年俸10万円』でも多過ぎる。それとも、同じ事を何度も、説明されないと理解できないか。」
「それは、誤解です。そもそも、『原発』を推進してきたのは、『政治家』です。『太陽光発電』の為に山林を伐採したのは、『別の政党』です。責は彼らの物です。『総統』閣下。」
「お決まりの『責任転嫁』だな。その程度の『言い訳』など、簡単に論破できる。が、今回は、時間が惜しい。実は、経済産業省と同省下部組織の、『年俸10万円』も再検討予定だ。」
「! 本当ですか! 『総統』閣下!」
「事務次官、『慌てる乞食は貰いが少ない』だよ。まず、『総統』の話しを聞きたまえ。」
「……はっ、失礼致しました。お話を続けて下さい。『総統』閣下。」
「まず、日本は、土地が狭い。が、農地や住宅など、必要な物は多い。が、日本は島国だ。これを、『利点』として、最大限活用する。……つまり、海で発電する。ここまではいいか。」
「……まさか、『潮力発電』でしょうか。しかし、コストに見合いませんぞ。『総統』閣下。」
「知っている。『波』の力だけでは、『タービン』を回すには、不足だとな。だが、僕には提案がある。島国、海洋国家日本の『利点』を最大限活用する。これを見たまえ。」
「……これは、『船』ですか。しかし、船で発電など……まさか、『太陽光』!」
「その通りだ、長官。『船』の甲板に、『太陽光パネル』を取り付け、これで発電する。更に、満タンの充電器を陸揚げし、空の充電器を船に収める。で、出航する。この繰り返しだ。」
「……成程、『悪天候』でも避ける事は可能。更に、地震も津波も洪水も土石流も無い……」
「日本には、世界に誇れる気象衛星があります。台風情報も正確に分かります。なんなら、地球を西回りに一周すれば、昼夜を問わず発電可能。そう言う事でしょうか。『総統』閣下。」
「事務次官、『慌てる乞食は貰いが少ない』だよ。さし当たっては、『排他的経済水域』に、限定運用すべきだ。もし、海賊に出くわし、貴重な充電器や、船を略奪されたらどうする。」
納得したらしく、沈黙する二人だった。
「で、経済産業省『年俸10万円』だが、『発電船』完成の暁に『解除』とする。いいな。」
「……はっ……ははぁーっ。」
こうして、エネルギー政策も決まった。
* * *
次回予告
第43話 幕間8
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