第35話 『パレスチナ問題』~会談:その2
「諸君らは、『勘違い』をしている。よって、それを正そう。が、その前に1つ。」
ここで、人差し指で『1』を示した。
「諸君らの『信仰心』は、どちらの方角を向いている。」
「……それは……私に、『信仰心』が無い。とでも言いたいのですかぁっ!」
大統領2人も声が、唱和。当然だろう、回教とユダヤ教の信徒なのだから。
「まず、君だ。」
「何でしょう。『総統』閣下。」
答えるのは、イスラエル大統領だ。
「諸君らの『信仰心』とは、『嘆きの壁』に『接吻』しないと『補充』できないのか。」
「そうではありません! それは、正式な『巡礼』の『作法』です! 『総統』閣下。」
「それは、人間……『神官』が、『後付け』で作ったものだ。『神の法』ではない。現に、『ユダヤ教聖典』には、その様な記述が無い。相違ないな。」
「……失礼ながら、『総統』閣下は、『ユダヤの教え』を軽視しておられませんか。」
「『違う』! それは『間違っている』! 僕が問うたのは、諸君らの『信仰心』だ。」
尚も言い募ろうとするイスラエル大統領を、片手で制した。
「まあ、聞きたまえ。『神』は、人間がエルサレムに神殿を建立する事も、ローマ人の侵略に遭う事も、神殿が破壊される事も、2千年経過後も一部が残る事も、『知っていた』何故かな。」
「……そ……それは、『神』が、『全知全能』であらせられるからです。『総統』閣下。」
そう、これこそが『一神教』の『弱点』だ。ここから、論破開始と行こう。
「だが、『聖典』には、それらの記述が、一切ない。不自然だと思わないか。『知っていた』にも関わらず、『信徒』に『教えない』のは。『神』の意図は、どちらを向いていたのかな。」
「……それは、『神』の試練です。恐らく、当時は奢っていたのでしょう。『総統』閣下。」
「それは、ローマ帝国の拡大戦略と、イスラエル外交の失敗に起因する。現に、クレオパトラは、皇帝カエサルと良好な関係を築いて、エジプト独立を勝ち取った。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「ならば、『総統』の手で、『エルサレム』を、透明なケースで『保護』され、『立入禁止』になる事も、『知っていた』が『敢えて教えなかった』。これも『試練』と言う訳だな。」
「……そっ……それは!」
「僕は、神官ではない。部外者だ。が、『神』の意志を、こう考えている。『かように些末な事にこだわるな』だ。そうと解釈すれば、全ての辻褄が合う。違うかね。」
遂に、反論する事も出来なくなったらしい、大統領だった。
「ユダヤ教聖典には、『約束の地』と記述がある。それは、『全知全能の神』との『約束』である。が、『エルサレム』とは『聖典』にも『明記』されていない。これが移住の根拠だ。」
ここで、ようやく本題に入れる。ここで、畳みかけるとしよう。
「だからこそ、『信仰心』を、問うた。『神』が、視るのは、ただ1つ。『心』だけだ。物や場所や時間には、こだわるな。そう言う『意向』が込められているのだ。違うか。」
沈黙は金、これで、ユダヤ人の方は、陥落した。次は……
* * *
次回予告
第36話 『パレスチナ問題』~会談:その3
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