第27話 日本向け所信表明演説~その1
「では、『総統』閣下によります日本向け所信表明演説を始めます。『総統』閣下どうぞ。」
場所は、国会議事堂、多量の報道関係者と、カメラを前に、登場して話しをする。本来、所信表明演説とは、日本国首相が、やるものだ。が、日本人に理解し易い為、流用している。
勿論、こう言う事に、最初から慣れ親しんできた訳では無い。転生もそうだが、この世界で、何度も生徒会長をやって来たのは、伊達ではない。とだけ言っておこう。
「『宇宙連邦政府』……Universal Governments of Union(ユニヴァーサル・ガバメンツ・オブ・ユニオン)初代『総統』だ。今日は宜しく頼む。」
報道関係者のカメラフラッシュが、連続する。この『対策魔法』も問題無く機能している。
「まず、前提として2つ、諸君らの念頭に置いて欲しい事がある。1つ『制度とは悪用される為にある』。1つ『違うと言うだけなら猿でもできる』だ。」
「で、『違うと言うだけなら猿でもできる』だが、某芸能人が、飼育していたチンパンジーだ。TVにも出演していた。彼は、『違う』と言いたい場合、首を横に振った。」
念の為、僕自身も首を横に振った。
「更に、『できない』と言いたい場合も、首を横に振った。つまり、その程度猿でもできる。」
「いいかね、『A』では無い、『B』が正しい。そこまで言えて『初めて人間と呼べる』訳だ。猿とは、『会話』にならない。他者に話し掛ける前に、十分気を付けたまえ。」
左腕を横薙ぎして、『A』では無い事を、右手を前に突き出し、『B』が正しい事を示す。
「次に、『制度とは悪用される為にある』。が、勘違いしないで欲しい。『制度』がなければ、『悪』が蔓延る。『制度』とは、『低能な悪』を、『淘汰制限』するものだ。つまり……」
両方の手の平で、『狭くする』事を示す。
「『制限』すれば、『低能な悪』は、『悪用する方法』を思いつけない。つまり、『優秀な悪』のみが、『悪用方法』を思いつき生き残る。イタチごっこに、持ち込む事が『制度』だ。」
ここで、羽虫を潰すが如くの動作をした。
「この国にも、問題が山ほどある。が、それらを招いたのは、国会議員であり、官僚だ。では、当事者たる国会議員を、選んだのは誰だ。敢えて言おう、諸君ら国民だ!」
カメラの方を、指さす。別に『異議あり!』等とは、言って無い。
「そう言うと、『自分は投票してないから無罪だ』等と言う戯言を、ほざく連中もいよう。」
後に、『総統服』とも呼ばれるマントを、左腕の一薙ぎで、ひるがえした。
「この国は、選挙投票率が低い。かろうじて5割に、届いているだけだ。もし、後の約半分が、一斉に『誰か』に投票すれば、結果は大きく変わっていたに相違ない。故に同罪とする!」
ここで、机を叩く。大きな音を生み出すのも、『魔法』だ。
「いずれ、憲法も刷新する事となる。その時、明記しよう。『民主共和制とは、政治の責任を、有権者全員で分担する制度だ』とな。例えば、『就職氷河期世代』を助けない。何故か?」
ここで、咳払い。一拍おいて、空気を確認する。
* * *
次回予告
第28話 日本向け所信表明演説~その2
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