第22話 幕間4
「さぁ! 盛り上がって参りました! 王立武芸大会です。実況は、小生チャップマン。解説は、元冒険者にして、『大賢者』のサトクリフ老です。」
「うぃーっす。」
答えるやいなや、酒瓶をラッパ飲みするのは、マントに、帽子、白いヒゲの老人だった。
「さて、本日の見どころを、ずばり聞きましょう。サトクリフ老、如何です。」
空の酒瓶を、床に置き、隣に置いてあった『おかわり』を、ラッパ飲みするサトクリフ老。
「……ぷぅはぁー……あーまぁ、何と言っても、今回は『勇者』がおるからのぉ。彼らの健闘ぶり次第で、未来の雲行きが、決まると言うもんじゃあなぁ。」
「確かに、『勇者』以外の者には、『魔王』を倒す事が出来ませんからね。それを……」
「……んっぐっ……んっぐっ……ぷはぁー。あー……酒、うめぇー……。」
「……さぁ! 選手の入場です!」
* * *
「さぁ、これから一回戦だ。見た感じ雑魚っぽいが、気合入れて行こう!」
控室で、気合を淹れ直している3人だった。そこに……
「ヤッホーッ、ミンナ、ゲンキィ。」
「おう、アビイ、間に合ってくれてよかった。さ、行こう。闘技場が、俺達を待ってる!」
「ゴミーン、アタシ、キュウに、ウラカタに、よばれちった。テが、たりなくなっちゃったんだって。じゃ、アトよろしくぅ。がんばってねぇ。」
男達の言い分も聞かずに、投げキッスを残し、さっさと立ち去るアビイだった。
肩を落とし、この世の終わりでも来たかのような、貌になるトミー。
「……ま、まぁ、まだ一回戦だぜ。見た感じ雑魚っぽい連中だし、大丈夫だろうぜ。」
「……そうだな。キアイいれてこー。で、コンカイのテキって、どんなヤツだ? トミー。」
「……お。おう。全員魔術師なんだとよ。4人って、今回の規定最大人数だけど変だよな。」
「だよなぁ。前衛が、1人もいないなんて、頭、おかしいだろ。無茶だぜ。」
「だったら、さっさと、マアイをつめて、ボコっちまえばいいんだろ。」
「そうだ! それだよ! 今の俺達にできる事を、やってくしかねぇ! 頑張ろうぜ!」
「よっしゃ! そうこなくっちゃ。参加料だって、かかってるんだぜぇっ!」
「オウ! オレも、がんばる!」
例え、空元気でも、無いよりまし。この時の3人は、本気でそう考えていた。
* * *
次回予告
第23話 ユニヴァーサル・ガバメンツ・オブ・ユニオン~永田町
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