第20話 お見合い~両家入場
今日は、日曜日。『お見合い』当日。両親が、用意してくれた衣装で、めかし込み臨む。
場所は、初顔合わせなので、両家とは関係無い会館を借りた。食事会も予約済みだそうだ。
「こちらでございます。玉衣様。」
仲居さんと言う雰囲気の、和装の上品な女性従業員に、部屋まで案内された。
更に、3人分のお茶を淹れてくれた女性従業員。流石、手際がいい。
「ありがとう。」
代表して、お礼を言うのは、父の役割だ。
「ごゆっくり、おくつろぎ下さい。」
一礼し、静かに障子を閉めて、立ち去る女性従業員。全ての所作に、上品さを感じた。
むしろ、こんな高級そうな、店を使うとは、家業の経営も決して楽とは言えないのに。
「支払いは、大丈夫?」
スマホに入力して、こっそり父に見せる事にした。ちらりと視線を送る父だった。
「大丈夫、問題無い。」
父の答えだ。だが、本当に大丈夫なのだろうか。それとも、相手に負担させているのか……
そんな時、足音と共に、廊下に面した障子に人影が映る。念の為、居住まいを正す。
「失礼致します。玉衣様。」
「ああ。入って下さい。」
こうして、相手の一家が、入室して来た。それは、『許嫁』と彼女の両親だった。
そして、今、座卓の向かい側には、『許嫁』と彼女の両親が、正座している。
『許嫁』と言うだけあって、玉衣家とお相手の人達は、旧知の間柄だと見て取れた。
短いあいさつの後、『許嫁』が、自己紹介する。
「初めまして、玉衣龍善様。伊賀美鶴と言います。」
「こちらこそ、初めまして、玉衣龍善です。」
ここで、主に伊賀家の両親から、紹介された彼女のプロフィールをまとめておくとしよう。
年齢17歳(再来月には18歳)、公立高校3年生、趣味:料理
尚、彼女の特技として、玉衣家の家業を継承するに足る『技術』をお持ちだ。
つまり、僕が、外で好き勝手しても、『妻』が、文字通り『家』を守る訳だ。
で、最終的には、彼女と『子供』を設けて、後継者にする。そこまでが、父の願いだ。
確かに、美人だ。長い黒髪と、淡い色の和装が、よく似合う。恐らく、母親になのだろう。
「では、後は若い人達に、任せましょう。」
この、判で押したかのような台詞で、第2ラウンドに……否、本番に突入する。
* * *
次回予告
第21話 お見合い~あとは若い人達に任せて
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