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第2話 祝勝会~『植物系魔物』

「カンパーイ!」

 ジョッキをぶつけ合わせ、今回の仕事成功と、全員生還に喜ぶ。この店名物の『魔法』で冷やしたエールを、ジョッキから喉に流し込む。この一杯は、至福の時だ。うまい……

「キャイィーーン! ス・テ・キだったわぁ。お・じ・さ・ま。」

 何時の間にか、隣に座り、僕の腕にすがるアビイ。場の空気が、悪くなる前に窘める。

「アビイ君、離しなさい。食事が進まない。」

 ニコニコしながら、腕を離す。あまり、余計な事をしないで欲しいのだがな……

「はぁい。……でも、スゴかったわぁ。イチゲキだったジャないのぉ。ライゲキでドォン!」

「当然だ。一撃で、屠れる呪文があるのだから、それを使う。損害も皆無だった。違うかね。」

「それだよ。その呪文の話しだ。オッサン、なんで『雷撃』を選んだ。普通、『火』だろう。」

 これも、『アルアル』だ。こういう『誤解』や『誤認』や『誤信』も、正さないとな……

「トミー君……勉強熱心なのは、いい事だ。が、それも、『正しい情報源』が、必須となる。正しくは、あの魔物は、『地属性』だった。よって、『風属性』……『雷撃』を選んだまで。」

「そりゃ、いわゆる『結果論』だろう。『火属性』が、効かない証明じゃねぇぜ。オッサン。」

「ノーマン君。説明には、続きがある。もう少し、辛抱して聞いて欲しい。これは、諸君らの為でもある。そうでないと、『的確』で『正確』で『明確』な対応など……。」

 おっと、いけない。やり過ぎだな。軽く、咳ばらいをしておく。

所謂いわゆる『植物系魔物』には、『火』が有効とは、『正解』ではない。では、ここで問題だ。『火』の『反属性』とは、何かな。トミー君。」

「『水属性』だろ。んなもん、じょーしきだろ。オッサン。」

「その通り。そして、『植物系魔物』の体内には、『水分』が多い。それ故に、相殺し合って、『対消滅』してしまう。そうなると、どうなると思うかね、諸君。」

「そりゃ……死ぬだろう。体内の水分を失ったら、干からびるに決まってるぜ。オッサン。」

「ノーマン君。確かに細い枝葉は、それで燃え尽きよう。それが、誤解を生む原因であろう。いいかね、太い幹や枝は、『火』では、燃え尽きない。何故だか分かるかね、諸君。」

「おいおい……さっきから、なんなんだよ。話しの本質に触れてねぇだろ。オッサン。」

「トミー君……勉強熱心なのは、いい事だ。であればこそ、しっかり記憶して欲しい。正解は、『植物系魔物』が、『地属性』であるからだ。故に、燃え難いのだ。何故だと思うかね諸君。」

「……つまり……『土』に『根』を張っているから、『地属性』なのかよ。オッサン。」

「正解だ、トミー君。よって、肝心の太い幹や枝、即ち今日戦った魔物の攻撃部位が、丸々残ってしまう。それでは、意味が無い。やはり『風属性』……『雷撃』を選んで正解だった。」

 これでよい。若い彼らに『物の道理』を教え諭す事も、僕の役割だからな。


 * * * 


次回予告

第2話 祝勝会~『植物系魔物』

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