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第19話 誕生日~18歳

「龍善! 誕生日おめでとう。龍善が、18歳になったた事を、祝して乾杯!」

 父の音頭で、乾杯する。当然、家族3人揃っている。夏休みに入ったばかりのある日だった。

「ありがとう、お父さん、お母さん。」

「本ん~~当ぉぉ~~に、目出度い! こんなに、美味い酒は、初めてだぁ~~。」

「大袈裟ですよ、お父さん。それに、お酒を飲む速度や、量にも気を付けて下さい。」

「そうですわね。毎年毎年、龍善が、成長する度に、お酒が美味しくなります、お父さん。」

 今日は、母まで、お酒が進んでいる。何とか、ブレーキを、かけないとな。

「快星高校付属中学で、1年生徒会長を務め、主席卒業。更に、快星高校で、主席入学。更に、生徒会長を務める事2年。既に、卒業に必要な単位も揃っている。こんなに嬉しい……」

「どうしました、お父さん。何か喉に、詰まりましたか。」

「こんなに嬉しい事は無ぁい! 龍善! よくぞ、ここまで立派に成長してくれた!」

 今日は、母も酔いが回って来たようなので、お酌をする者がいない。

 が、それでも、僅かな酒量で、すっかり酔っ払っている両親だった。

「だがなぁ……そんな、私にも心残りがある。これを達成しないと、死んでも死に切れん。」

 突如、真顔に戻る父だった。この『流れ』……あの話しが来る。心で身構えた。

「龍善、心変わりしてくれないのか。最後の親孝行だと、思ってくれないのか。」

「お父さん、すみません。僕は、『家業』を継げません。どうしてもやりたい事があるんです。」

「そうかぁ……母さん、おかわり。今日は、これで最後にする。グラスを下げてくれ。」

「はい、どうぞ、お父さん。」

 グラスに注がれたお酒で、軽く喉を潤す父だった。

「そんなに、『永田町』に進みたいのか。あそこは、いわば『伏魔殿』だぞ。」

「僕にしかできない事なんだ。今やらないと、手遅れになる。既に、手遅れな部分もあります。お願いします。どうか、許して下さい、お父さん。」

「……龍善、お前は、昔から一度言い出したら、聞かない子だった。……それに、もう、法的に『成人』だ。親から『あーしろ』『こーしろ』と言う事もできないんだ。好きにしない。」

「ありがとうございます、お父さん。」

「だが、1つ。お前が親孝行したいと言うなら、やってもらいたい事がある!」

「以前言っていた『許嫁いいなずけ』の件ですか。結婚して『子供』を作れと、お父さん。」

「そうだ。それさえやってくれれば、私も心置きなく、墓に入れようものだ。龍善。」

「ですが、僕は『許嫁』と、一度も会った事がありません。それなのに、結婚などと……。」

 結局、次の日曜日に、『お見合い』を、強制された。


 * * * 



次回予告

第20話 お見合い~両家入場

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