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第17話 中学校~進級祝い

「……では、龍善が、中学二年生に、進級した事を、祝して乾杯!」

 父の音頭で、乾杯する。勿論、家族3人揃っている。玉衣家では、いつもの日常だ。

「大袈裟ですよ。進級試験だって存在しませんし、全校生徒が、進級卒業しましたよ。」

 実の所言えば、『白血病患者』は、全員退学したので、ここには数えていない。

 ちなみに、僕の鞄を盗んだ者達は、その様が近所の商店に、仕掛けられた『監視カメラ』に、写っていた為、警察にお縄になった。その後も、全員退学となった。問題無し……

「おひおひ……それって、全部お前が、やらかしたせいだろう……。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「……ぷっはぁー。美味い! 龍善の進級祝いで飲む酒は、本当に美味い。」

「あらまあ、お父さんってば、いい飲みっぷりだわ。おかわりは、要りますか。」

「お父さん、そんなに、急いで飲むと身体に触りますよ。飲み過ぎない。急ぎ過ぎないですよ。」

「何を言う、龍善。お前が、立派に成長している。その実感を目の当たりにできる!」

「? ……どうしました。大丈夫ですか、お父さん、」

「……こんなに、嬉しい事が、他にあるかぁっ! 否、無い!」

 また、グラスに注がれたビールを、グビグビと飲む父だった。一気飲みはやめて欲しい。

「お父さん、一気飲みは、やめて下さい。一口ずつですよ。一口ずつです。」

「だがなぁ、世の中には、もっと美味い酒がある。分かるか、龍善。」

 更に、ビールのおかわりを要望する父だった。母の手で注がれるビール。

「……分かりません。何でしょう、父さん。」

 またも、ぐびぐびとグラスに注がれたビールを、一気に飲み下す父だった。

「息子が、二十歳になった時、一緒に飲む酒だ。これが、人生で一番美味い酒だぁっ!」

 喉の渇きを潤すべく、ビールが注がれたグラスを、一気に空にする父だった。

「お父さん、気が早いですよ。僕はまだ、中学二年生ですよ。」

「そんな事は無い! お前は、あの『難病』からも復活した! お前は『できる子』だ! だから、お前は、二十歳になったら、家族で祝う! その時は必ず来る!」

 かなり酒が回っているのか、口調も早口になる。ここまで、酒を飲む父を見るのは初めてだ。

「だからこそです。お父さん、飲み過ぎですよ。そんなに飲んで。もし、いざ、僕が二十歳になった時、医者からお酒を止められたら、どうします。本末転倒でしょう。」

「そうですわね。お父さん。今日は、この辺で、お酒は止めませんか。」

 とりなしにかかる母だった。こういう『機』を見る術に長けているんだよな。

 今日の所は酒を止めた父と、母と、僕とで、一家団らんは過ぎて行った。


 * * * 



次回予告

第18話 幕間3

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