第15話 幕間2
「何だとぉっ! 俺は、オッサンの仲間なんだぞ! ふざけんな!」
トミーが、受付の台を、盛大に叩く音が、重く低く響いた。
「『勇者』トミー様、あなたは、ご契約者様本人では、ございません。お預かりしました物を、ご契約者様本人以外の方へ、お渡しする訳には参りません。規則ですから。」
あくまで、ビジネスライクに、冷淡な冒険者ギルドの受付嬢だった。
「あぁ! その『預けた金』って奴は、俺達が協力してやって、ようやく手に入れたモンだろ! 仲間を助ける為に使えよ! おめぇ、全然使えねぇーな!」
「ですが、ご契約者様本人以外の方へ、お渡しする訳には参りません。『勇者』トミー様。」
「同じ事ばっかり言うなよ! おめぇじゃ話にならねぇ! ギルドマスターを出しやがれ!」
「……では、こちらの書類に、記入提出して下さい。『勇者』トミー様。」
「手続きかよ! だから、おめぇじゃ! 話しにならねぇんだよ! 下っ端!」
「ですが、わたくしにできる事は、『規則』を守る事だけです。何しろ『下っ端』なもので。ですから、こちらの『アポイントメント申し込み書』に、記入提出して下さい。規則ですから。」
「違う! おめぇーが、ヤルべき事は、さっさと、ギルドマスターを出しやがれ!」
* * *
「……で、トミーよぉ。結局、書類出しただけで、終わりか。役立たずだぜ。」
「あぁ! だったら、おめぇーは、アイテムの売却できたのかよ!」
「今、進めてる所だぜ。向こうからの、返答待ちなんだぜ。」
「何だ、売却話しをまとめる事も、できねぇーのか。使えねぇ奴だな。おめぇー。」
「んだとぉ! 無能の癖に、ナマイキなんだぜぇっ!」
「ふざけんな! 役立たずの分際で! そもそも、おめぇーが言い出したんだろ!」
このタイミングで、言い争う二人に水が浴びせられる。水をしたたせる2人だった。
「レイセイになれ。ケンカしても、ナニもいいことナイだろ。」
「……あ……ああ、そうだぜ。わりぃな。トミー。」
「こっちこそだ。すまない。ノーマン。」
水を拭きつつ、仲直りする二人。満足そうな貌のスチュアートだった。
「だが、よう。金が、ねぇぜ。このままじゃ、借金の支払いもできねぇぜ。」
「ああ、『魔術師殺し』って、結構高かったしな。」
「なら、イチカバチカだ。こういうハナシが、あるんだけどな。」
* * *
次回予告
第16話 中学校~イジメ
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