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第12話 ただいま

「龍善君には、驚かされてばかりだよ。私も、長年医師をやって来たが、これ程の短期間で、退院できたとは、君は凄すぎる。ああ、驚き過ぎて、語彙が貧弱化してしまったよ。」

 セラミック製の杖をついて歩く僕に、そう話しかけるのは、主治医だった。

「それもこれも、全て先生や看護師さんや両親のお陰です。お世話になりました。」

 これは、一部正解だ。何と、入院中に『新魔法』を『発明』できた事が大きい。

 これは、ある日見た通販番組が、ヒントになっている。それによれば、筋肉を動かす『指示』は、『神経』によって『電気信号』の形式で、運んでくるのだと言う。

 確かに、僕の身体には、『電極』が繋がれ、『心電図モニター』に達していた。

 要するに、『心臓』と言う『筋肉』を動かす際に発生する『電気信号』を、捕捉する事で、心臓が動いているか、止まったのか、常に監視していた訳だ。

 大脳=コンピューター、神経=通信ケーブル、電気信号=通信データ、だと思う。

 ならば、電気信号を筋肉に送り続ける事で、『意識』しなくとも、筋肉を動かし続ける事が、可能になる筈。そう考えて、試行錯誤の末、『新魔法』が完成した。

「龍善……先生……お世話になりました。」

 こちらに、声をかけて来たのは、一階の待合室で待機していた父さんだ。母さんもいる。

 話しによれば、入院費用は、既に支払い済みだと言う事だった。

「本当にお世話になりました。有難うございます。」

 家族一同礼をする。こう言う所を、しっかり押さえておく事が重要なのだ。

 例え、病気の治療に、医療が『延命以外』で何の役に立ったのやら。そう言う状況でもだ。

「お大事に。」

 それが、分かっているのか、主治医の返答は短かった。こうして、退院にこぎ着けた。

 この後、玉衣家を乗せたTAXIは、発信する。後に聞いた話だが、両親とも、涙で視界がぼやける事が多かった。故に、安全策をとって、自動車の運転は、避けたのだそうだ。


 * * * 


 TAXIに運ばれ辿り着いた自宅は、駅に近く住宅に囲まれる格好の『奥まった』場所だ。

「龍善、ここが、お前の家だ。すっかり、ご無沙汰だっただろう。さ、挨拶しなさい。」

 確かに、敷地面積も広い。木造二階建ての純和風家屋だ。駐車場に、『蔵』まである。

「ただいま、僕の家……。」

 父さんの言葉に従い、挨拶する。こうして、ようやく、僕の新生活が始まる……


 * * * 



次回予告

第13話 日常~学習

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