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ソレは命より重い?

作者: 酢だこさん

この物語はフィクションかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


 諸君らは、大切にしているものを何か持っているだろうか?


 『ある』と答えた者たちは、いったい何を大切にしているだろうか? この部分は、人によって様々であることは想像に難くない。初めて手にしたおもちゃ。初恋の相手からの手紙。一生懸命組み上げたプラモデル。『ウ〇チ』にかける執念。はたまた、自身に課したオリジナルルール、いわゆる信条(ポリシー)を挙げる者もいるかもしれない。とにかく十人十色、人の数だけ選択肢はあるというわけだ。


 無論、この僕にも大切にしているものはある。

 僕の場合は、とある海洋生命体を布と綿で表現した物がそれにあたる。一見他人からすれば『薄汚い繊維の集合体』でしかないが、その本質的価値は他人によって左右されるものでは決してないので、世間一般から見た市場価値なんて知ったことではない。


 さて、ではここで、最初の問いに『大切にしているものがある』と答えた読者諸君に、一つ質問をしよう。

 先ほど僕は、「その本質的価値は他人によって左右されるものでは決してない」と言ったが、では君たちは『ソレ』にどれほどの価値を見出しているのだろうか?


 これに対する回答としては、お金を引き合いに出してみるのがわかりやすいだろうか。端的に換言すれば、『それを手放す代わりに、いくら貰えば納得するか』ということになるわけだ。

100万円貰えるならばそれで満足できるだろうか? 1億円ではどうだろうか?

『一生分生きるために必要なお金を全てくれてやろう。』とか言われたとしたら、結構『ソレを手放す』人も多いんじゃないだろうか、と僕は思う。『ウ〇チ』にかける執念にウン千万という金を出すクレイジーがいるならぜひ見てみたいところだ。


 僕の場合はどうだろうか、と気になっていて夜しか寝られない人も多いだろうから、ここはサクッと結論を述べておこう。僕の『大切にしているもの』は、お金には代えられない。よって、お金をいくら積まれたところでソレを手放すことはない。というのが答えになる。

「そのうすぎたねぇそれをポイーすれば一生過ごせるのに」と言われようが、関係ない。この『布と綿の集合体』は、僕にとってそれほどの価値がある物なのだ。『この布と綿の塊は、僕の半身にも等しい』と、思っているから。


 その感覚、というか感情は、コイツを目にしたその瞬間から芽生えていた。一見、祭りの屋台か何かでごく普通に売っていそうな物なのに、というか、実際とあるゲームセンターの景品に過ぎなかったのだが、なぜだかそう思った。『運命的な出会いをすると、人はそれがそれだとわかる』というのはよく見る表現だが、なるほど、確かにあれはそういう他になかった。一目見た瞬間、理屈を超えた何かを僕は確かに感じたのだから。


 その感覚に狂いはなく、ソレを手に入れてからn年たった今でも、そいつは我が物顔で僕の部屋に居座っている。あれから僕も年を取り、ソレを可愛がることもほとんど皆無になってしまったが、『アレが僕の命の半分―半身である』という思いは今でも変わらない。先ほど僕は「ソレ」のためにいくら貰えば納得するか?という問いを投げたわけだが、『金ではその価値を測れない』と豪語する僕の同類もいると思うので、ここでもうひとつ、僕から質問をしよう。


君は、その『大切なもの』のために、自分の命を懸ける覚悟はあるだろうか?



バレンタインになんてもん書いてるんだろうね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 言葉の選び方とか、表現の仕方が、なんか好きです。 きっとあなたが大切にしている"それ"も、嬉しいでしょうね。
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