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すぐ終わらなくなった小話:レストランでの話

57話の食事に出かけた時の話。

投稿ミスったお詫びの小話。

そして、R-15とは…?

ちょっとアダルティーな感じなので、苦手な人は読まなくてOK。

ちなみに、警告来たら消える小話。



 その後、馬車に乗せられて連れてこられたのは、皇都で超有名なレストランだった。

 完全予約制で、その予約は数か月先まで埋まってるとか聞いたことがある。


――どうやって予約したんだろうか…


 ものすごく疑問だ。

 しかも個室なんて、さらに予約の難易度が高いのではないろうかと思ってしまう。

 店は当然格式の高い北地区にあるので邸宅(ロードリア)からは近い。

 店に着くと正面入り口ではなく別の所に下された。


「ここは?」

「個室はこっちの方が早いんだ」


 何度も利用しているのか、閣下はこの店の事を熟知しているようだ。

 商談に利用するなら個室の方がいいだろうし、それは女性とのプライベートにも同様だ。


「言っておくが、女性と利用したことはない。商談の時や知り合いと食事のために使っている」


 考えていたことが駄々洩れだったようだ。

 閣下は結構そういうことを気にするみたいだけど、別に過去は変えられないし、他の女性と使った店に来るほどデリカシーがない人でもないのは知っているのでわたし自身は気にしていない。

 わたしとしてはおいしければどこでもいい。なんとなく、閣下に任せていれば問題ないと思っている。

 舌が肥えているからこそ、食に対して妥協はしなさそうだなと思った。

 実際、邸宅に料理人はそういう基準で選ばれている。


「お待ちしておりました」


 礼儀正しく頭を下げて待っていたのは、この店の従業員だ。

 綺麗な見本のような頭の下げ方に、ウィズリーさんのような格式高い使用人を連想させた。

 頭を上げわたしを見ても、顔色一つ変えることなく丁寧に接してくれる。

 胸のバッジは総支配人である事を示すものが輝いていたので、この対応も頷けた。


「急に悪かったな」

「いいえ、とんでもございません。この店が今あるのはバルシュミーデのおかげである事は重々承知しておりますので」


 二人の会話に、この店がバルシュミーデと関りがある事を知る。

 この店の事は貴族階級のルードヴィヒや上級階級のシャーリーから聞いてはいたけど、バルシュミーデとの事は聞いたことがないのでどういう事だろうと閣下を見た。すると、わたしの視線に気付いた閣下が説明してくれる。


「ここのレストラン…というよりも、このレストランが出来るきっかけになったホテルを建てる際に祖父が出資したんだ。もともとこちらの総支配人と祖父は知り合いで、その関係でな」

「ありがたい事でございます。そのおかげで今があるのですから…」

「クロエは、皇都中央駅近くにあるホテルのリーンブランカは知っているか?」


 もちろん知っている。

 皇都屈指の有名ホテル。

 いわゆる超高級ホテルで、一番安い金額でもかなりの値段がすることで有名だ。その代わり、そのホテルに泊まるとまるで貴族の様な体験が出来ると専らの評判で、高いのに予約が数か月先まで埋まってるホテルだ。


「実は、そこの料理が非常に評価が高くてな。多くの客からレストランを別に作ってほしいと要望があって、ここにこうしてレストランとして開店したという訳だ」


 つまり、ホテルを建てる事が出来たのはバルシュミーデのおかげで、その関係でこのレストランも融通が利くとそういう訳だ。

 わたしはなるほどと頷き、総支配人というトップがこうして対応している理由も分かった。

 案内された部屋は広い個室だった。

 席に座るとすぐにメニューを渡されるけど、わたしにはメニューを見ても想像できないような料理名ばかりだ。


「好きな物食べていいぞ…とは言っても料理名では良く分からないだろう」


 その通りなので頷く。


「今日はとりあえず、俺の好みで決めるがいいか?」

「よろしくお願いします」


 閣下に任せておけば問題ない。

 きっとおいしいものを選んでくれる。

 そして運ばれて来た料理の数々は、期待以上においしかった。

 邸宅の料理人とどっちがおいしいかと問われても優劣つけられない。どっちもおいしいし、どっちも好きだ。

 デザートまで食べ終えると、閣下はコーヒーを頼み、わたしはお茶を頼む。

 たわいない会話をして、なんとなくまったりとしてくると、閣下がここの庭園はなかなか見ごたえがあると言いだした。


「後ろの窓、そこから外が見えるんだが時間的に良い時間かもな」


 ふと、見ごたえがあるのならなぜ窓際に席が用意されていないのか気になり聞くと、店なりのこだわりだそうだ。


「食事の時は、料理に集中してほしいそうだ。庭園が一番ではなく料理が一番であってほしい、そう言う事らしい。その代わり食事が終わりその後に庭園の見える席でお茶や軽いお茶菓子が楽しめるようになっている」

「そうなんですね」


 閣下が席を立ち、わたしを促して窓辺に寄った。

 庭園に光がかかり、色とりどりな花や木々が目を楽しませてくれる。


「確かに凄いですね」

「庭園が有名だからな。夜になると光によってライトアップされてまた幻想的だろう?」


 閣下の言う通り幻想的だ。

 しばらくその景色に見とれていると、後ろから腕が伸びわたしを閉じ込めるように閣下が窓に手をついた。

 それが昼間の出来事を連想させ、どきりとする。

 恐る恐る顔を見上げれば、楽し気に目元を緩ませ、こちらを見ている目とぶつかった。


「あ、あの…」

「ところで、昼間に言っていたクロエ基準の話を、折角だから今聞きたいんだが?」

「!」


 完全に忘れていた話を蒸し返される。

 あれは、一種の冗談なのかと思っていたのに、どうも違う様だ


「あとで聞くと言わなかったか?」

「い、言いましたけど――…」


 まさか本当に聞いてくるとは思わなかった。

 しかも、目が完全に楽しんでいる。


「で?クロエ的にはどれくらいが軽い触れ合いなんだ?教えてくれないのなら、俺基準になるが……それでいいか?」

「ダメです!」


 間髪入れずにわたしが叫ぶ。

 ダメに決まっている。閣下基準だと、かなり際どい触れ合いも軽い触れ合いで流されてしまう。

 

「手……手を――…」

「流石に手を繋ぐくらいとは言わないよな?」


 それを言おうとして先回りされて口ごもる。

 

「もう一応結婚も出来る年なのだから、ままごとみたいなことは言わないな?」

「い、言ったら?」

「俺基準になるかな?」


 脅しの様な言いざまにわたしは頭を抱えたくなった。


――どこまでがままごとで、どこまでが許容範囲!?全然分からない!!……キス…くらいまでは…


 どこまで自分の中で許せるか。

 考えると結局これしか思い浮かばない。


「き、キスだけです!」

「キスだけ…ね?」

「しかも二人きりの時だけです!」

「クロエは大勢の前でしてきたのに?」

「あ、あああれは!」


 あわあわとしだすわたしに閣下はくくくと笑う。


「まあそれはいいか……でもクロエ基準はキスまでか……」


 物足りなさそうではあるけど、どうやらその答えは及第点だったようだ。

 閣下は何かを考えている様だったけど、わたしはキスだって軽い触れ合いじゃない。

 頑張っているのだ、一応。


「分かった。キスまでだな?」


 確認するかのように閣下が繰り返すと、いきなりわたしを抱き上げた。


「えっ、あの?」

「さっきも言ったが、このレストランはホテルのレストランを模しているんだが、実は個室は宿泊も出来るようになっているんだ。あまり知られていないが…」

「は、はあ…」


 そのまますたすたと食事していた部屋を突っ切って、わたしを抱えたまま器用にドアを開けると、その先にベッドが二つ並んでいた。

 すごく嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

 ベッドに下されて、わたしが身構えるよりも早く、閣下がのしかかってきた。


「待っ――…」

「待たない」


 押し倒され、両手をベッドに縫い付けるように押さえつけ唇を塞がれる。

 何度かの軽いキスの後、次第に深くなっていく。

 舌を絡めとられ、口の中を愛撫され、ゾクゾクとした何かが背筋を走る。


「んっ……ぁ」


 吐息が零れ、強張っていた身体から力が抜けてくる。

 すでに抵抗の意思がないのを感じ取ってか、わたしの手をベッドに縫い付けていた閣下のそれは背と腰に回り、軽く抱きしめてきた。

 口づけの甘さに必死になっているわたしは、自然と閣下に縋りつくように腕を背に回し、閣下に与えられる官能を飲み込む。


「クロエ――」

「んんっ―――…」


 何度も繰り返される甘美な口づけに翻弄され、酔ったような感覚に陥った。

 身体が火照ってきて、顔が熱い。

 巧みにわたしを翻弄する舌が、わたし自身も知らなかった弱い場所を舐め上げる度に身体が跳ねる。

 

「拙い感じがいいと思う日が来るとはな――…。ラズリードが言ってたこともあながち間違いじゃないから腹が立つ」

「んっ……」

 

 怒っているのか苛立っているのか。

 その合間に交わされる遊戯に、思考が溶かされていく。

 唇が離れると、わたしは頭がぼんやりとしたまま閣下を見上げる。


「キスだけならいいんだったな?」

「?」

 

 くすくすと笑うように閣下が言った。

 何を言われたのか理解が追い付かずにいると、閣下の唇が首筋を通り胸元に辿り着く。

 溶けた思考の中、熱い唇の感触にハッとしたときにはすでに背のホックが外され、いつの間にかワンピースの胸元が下げられていた。


「ぁっ――…だ、ダメです!」


 チクリとする痛みにも似た甘い感覚に、咄嗟に閣下の肩に指を食い込ませた。


「もっと酔っていても良かったんだが?」

「ダメ――…キスだけって……!」


 抗議の声も震えているせいか、それで止まる筈もなく、そっと服の上から身体の線をなぞられ、豊満とは言い難いふくらみの形を確かめるように手で触れられる。

 そのまま何度も胸元を強く吸われ、その度に身体がびくりと震えた。


「ク、クリフォード様!」


 わたしが名前を呼ぶと、抗議の声が届いたのか、一応動きが止まった。


「ようやく名前を呼んだか……なかなか慣れないな?ベッドの上で位はせめて名前で呼んでほしい所だが…」

「べ、ベッドの上って!!」


 間違いじゃないけど大きな間違いだ。

 熱くなっていた顔が、更に熱を持つ。


「さっきからダメって言ってます!キスだけって言ったのに――!」

「だから、キスだけだろう?どこと言われていないのだから、どこにキスしたって良いという事だと思わないか?まあ、確かに多少触れてはいるが…誤差範囲だろう」


 卑怯な大人の解釈にわたしは涙目で睨みつけた。


「わたしが言ったのは、頭とか額とか頬とか……百歩譲って口までです!」


 叫ぶように宣言すると、閣下は動きを止め胸元に寄せていた頭を起こし、わたしを下から覗き込んだ。


「……これくらいは良い事にしないか?」

「ダメです!!」


 絶対ダメだと強く言いつけると、閣下は仕方ないなとわたしの身体の上から自身の身体を退かしてベッドの上に座り込んだ。

 わたしも急いで起き上がり、乱されたワンピースを上まで引き上げる。ついでに途中まで捲りあがっていたスカートの裾も伸ばして足を隠す。

 幸いと言うのか、閣下が自重してくれたのか、下着までは見えていないけど、危ない所だった。


「ま、待つと言ったのだからご自身の言葉に責任を持ってください!」

「全く――…過去の自分を殴り飛ばしたい思いだ……」


 重々しくため息を吐いた閣下は、最後にわたしを引き寄せて味わうように唇を合わせて来た。

 それは、いつも最後にする優しいキスで。

 わたしは安心して閣下に身を任せていた。





触れたくて仕方がない閣下の話。

最後までしなければ触るぐらいはOKじゃないか?とか考えている閣下の話。


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