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永遠の夏休み  あるいは少女人形のつぶやき  人形の解剖学  私のフランシーヌ自動人形 あるいは 小夜物語第83話

作者: 舜風人




自序


「私は、思い出だけに生きる。なぜなら、私には未来は(余り)残されていないから。」


思い出の時間と、これからの未来の時間とを、比べてみたとき、

思い出の時間の方が長くて、これからの未来の時間のほうが、明らかに短かったなら、

あなたはどうされますか?


私に残されている猶予時間は、そうですね、

多く見積もってみても、せいぜい、あと20年でしょうか?

あるいはせいぜい10年なのかもしれませんよね?

こればかりはまさに神のみぞ知る、、ということでしょう。

いずれにしても残り時間はわずかです。

これまで過ごしてきた時間の方が圧倒的に長いのです。

それは思い出がいっぱい詰まった郷愁の時間。

そしてこれからの未来とは、

衰えてゆくだけの時間、機能が低下して、思うように動けず、

衰耗のためだけの時間です。

登山に例えるならただもう、下山するだけのための時間なのです。

もう、、そして二度とその山に、登ることもないのです、


思い出は懐かしすぎて、もう数えきれないくらいです。

でもこれからの未来にいったいそんな老耄の未来に何が思い出に代わるようなそんな感動があるというのでしょうか?

絶対にありえないでしょう?

もう夕暮れも近い、そんな私の人生時間で、

私にできることといえば

迷わずに、、暗くなる前に、ついの棲家に、無事帰り着くことだけです。

ほかには、なああんにも、ありません。


胸には鮮やかに新緑の夏山を思い出として刻み込み、

懐かしさに胸焦がしながら、

足はただ夕暮れまじかの帰宅を急ぐだけです。


そしてやがて、暗闇がもうそこまでも、迫る。


だから、

とっぷり暮れる前に

道がわからなくなる前に、


さあ、


もう少しだけ急ごうか、

















☆永遠の夏休みの幻想を求めて






誰でも少年時代


少女時代


あの純粋に青かった夏休みが、もしも永遠に続いてくれたなら?



、、って思ったことがあるでしょう?


いつまでも永遠に穢れなきイノセントとして、、、、


永遠の夏休みを


ずっと


ずっと


紡いでいたい、、、。




「 まあまあ、、、きれいなおべべ着てかわいいねえ、


まるでお人形さんみたいだねえ。」



そんな少女時代が、、、


このしわだらけの老婆にも確かにあったのです。


まるでおにんぎょさんのような


赤いほっぺに、


つやつやの瞳、


真っ黒の髪の毛がそよ風に棚引いて、、。



「夢を見る人形と、みんな私を呼ぶの、、、。」


そんな歌がありましたよね?

穢れなき?伊藤つかさが歌う、


その歌のタイトルは「少女人形」でしたか?


誰も


まさかこんなに老いるとは


想像すらできませんね。



時は残酷です。



そして幸せな時間は長くは続きません。



それが人の子の


つまりは肉の子の負うた、運命の糸なのでしょう。


老年にいたり


長い人生を振り返ってみると、


後悔ばかりで


ああもすればよかったこうもすればよかったと、


そんな嘆きばかりです。


そして


うんと落ち込んだ日には


「自分の人生は間違っていたのじゃなかったのか?」


という、結論に至ったりもしますね。



それはまるで、、、華々しい活躍をされた


一時代を風靡した


テレビタレントが


やがて流行が変わり、、時代が変わり、、



全く売れなくなり


ある日


公園の便所で


首を吊って死んでいました。


そのタレントはこう思ったのでしょうか?


『私の人生はまちがっていたのだろうか?」と。


間違っていた人生なら


自分でそれを遮断してもよいと決断したのでしょうか?


わかりませんが


結局人生とは



どうあがいても


正解なるものなんてないのでしょうね。


「正しい人生」??なんて幻想でしかないように


または


ある意味


人生なんて、すべて間違っていた、、ともいいきれるでしょう。



なぜ生まれたか?


突き詰めれば、


それさえ、不条理です。


父と母が出会わなかったら


私は、、そしてあなたは、、うまれていませんね。



偶然の出会い?があったから私が、、あなたが、、生まれましたが。


でもそれって、、、人と人とが出会うって、、、そして結婚するって、


太平洋で一匹のウミガメが


たまたま流れてきた、ヤシの実とぶつかるくらいの


偶然でしょう?


人生を突き詰めて考察すれば



つまりすべては偶然であり、


すべては不条理です。


ということは逆に?


突き抜けて


向こう側に行ってしまえば?


すべては


必然だったのかもしれませんよね。



人生もこの世界もパラレルです。


私の人生は間違っていたという結論も、


突き抜ければ


『それがあなたの人生だったんだよ、それしかなかったんだよ』


という大正解??になったりするのですね。


「じゃあ、聞くが、お前にほかにどんな人生があると思うのだね?」


そういわれると、


自分にはこんな人生しか選択肢はなかったろうなあ、、と思えたりもします。



ある哲人はこう言いました。


『すべては間違っている。そしてすべては正しい』と、



結局


人生に正しいも間違っているも


ありません。


あるのはあなたの人生はこうだった、


彼の人生はこうだった。


私の人生はこれだった



という「事実」だけです。


価値づけも評価も


誰がするのでもありません。


あなたがするしかないのです。



あなたの人生はこうだった、


こう成るしかなかった。


そして今のあなたがここにいる、


それであなたはどう判断するのか?


正しかったのか?


あるいは間違っていると判断して


首を吊って自殺するのか?


でも、


誰もそれを批判はできません。


それも人生の「事実」だからです。


でもこうしてあまりにも追い詰めると気が狂いそうですから、、、、、、、、



ここはひとつ


懐かしの伊藤つかさの歌っている「少女人形」でも聞いて


少し


こころを鎮めましょうかね?


誰でも少年時代


少女時代


あの純粋に青かった夏休みが、もしも永遠に続いてくれたなら?



、、って思ったことがあるでしょう?


いつまでも永遠に穢れなきイノセントとして、、、、


永遠の夏休みを


ずっと


ずっと


紡いでいたい、、、。


でも?


少女とは幻影であり


一種のホログラムです。


グレートヒェンも


ゾフィーも


アリスも


ドロシーも


ミニヨンも、



実は、、あなたの生み出したアニマの投影に過ぎないのですから。


たとえばドイツロマン派の申し子である「ノヴァーリス」の

偶像アイドルである、、、、、、、、、、

ゾフィー・フォン・キューン 

という13歳の少女がなぜ、これほどまでにノヴァーリスの心を捉えたのであろうか?

のこされた肖像画で見るこの少女の横顔は、決して、妖精の姿でもなく、どこにでもいそうなドイツのゲルマン人的顔立ちの少女に過ぎない。



ゲーテの偶像であるミニヨンはゲーテ創作の架空の少女でどこにも実在しないが、

ゾフィーは実在の少女だ。

それだけに、ロマン的移入がなされにくいという現実もあるだろう。

ありていに言えば、ノヴァーリスの、個人的な好みということになってしまいかねない。

あばたもえくぼである。

だから、現実のゾフィーと、、死んで妖精になったゾフィーは別人とかんがえたほうがよい。

もし、ゾフィーが死なずに元気で、ノヴァーリスの妻となって居たら、ノヴァーリスはこんなに、夢中になっただろうか?

ゾフィーは年取るし、やがては、ベッティーナのように中年の小太りの口うるさいおばさんになってしまっていただろう。


だから?夭折、これが重要だ。老人になったノヴァーリスが想像したくないように、夭折は必然だったのだ。

しかし、

少女はやがて、成長して、大人の女性として、夢と憧れをアウフヘーベンして、現実へと回帰していき、

「大きな鍵束を持った、小柄で丸々とした主婦」(ホフマン作、四大精霊)にメタモルフォーゼスしていかねばならないのだ。

気丈でやりくり上手な家庭を守る主婦になることを、ロマン派的にはロマンの失墜と見るしかないだろうが、しかし、それは宇宙万物のナツールな循環でもあるのだ。


永遠に老いない少女がいたとしたら

、それは怪物か、さもなくば、オートマタ(少女人形)でしかありえないだろう。


男性の心の中に潜むアニマの投影たる永遠の少女像、それがゾフィーであり、ミニヨンであり、つまり理想型としての少女のヴィジョンなのである。



それらはやがてオートマタの時代の到来を経て

ボーカンソンの書字人形へと進化して

やがてはデカルトの私生児フランシーヌの

自動人形へと醸成されてゆくのでしょうね?


『十七世紀の哲学者デカルトは、その娘の死をふかく悲しんで、一個の精巧な自動人形をつくらせ、これを「わが娘フランシーヌ」と呼んで愛撫したという。』澁澤龍彦


そうして近代科学の産物であるロボットもピグマリオンの呪縛からのがれられないのだろう。


ヴィリエドリラダンの小説

「未来のイヴ」には、現実の女性に失望した男が科学者 (エジソン)に依頼して

理想の女性アンドロイドを作る。その名は「ハダリー」


待てよ、これは古代ギリシャ神話のピグマリオンではないか?

そう、そのとおり、これは現代のピグマリオン物語なのだ。


未来のイヴこと、人造人間ハダリーはまったく理想的女性だ、

「現実の女なんて、幻だ。」とまで言わせしむるほどのできばえだった。


しかし、アメリカから航路で運ぶ際に、船火事でそのハダリーも海のもくずと消えてしまう。


ホフマンの「砂男」では、できの悪いオートマタ、オリンピア(コッペリウス作)は「ああ、ああ」としかいえないし、目玉をはずされて無様な姿をナターナエルの前にさらし、ぶっ壊れてしまうが、

それを見たナターナエルは、「ひっひひ、目玉だ目玉だ」、といって気が狂ってしまうのである。


ピグマリオン(キプロスの王)は、現実の女に失望し理想の女を彫刻してもらう。、王様は、神に頼んで、アフロディテから、生命を吹き込んでもらい、生身の女となったガラテア、理想の女性の彫像と、幸福に暮らす。


ところで、現代のピグマリオンたちはもっぱら、アキバで萌えフィギアの少女人形を求めるおたくたちに顕現されるのであろうか?


リラダンのイヴ、ハダリーは残念ながら、海に沈んでしまう。これがなければ、幸福な暮らしを?していたのであろう。古代ギリシャのピグマリオン王とガラテアのように。



そして現代、、、、、、、、


ペッパー君や人工犬のアイボをも超えて


精巧な人工美肌の美少女ロボットや

メイド美女ロボットすら実用段階にきているという現実を前にして、、

アキバ系の美少女フィギュア人形が動き出した?という現実がもう目の前に迫っているのだ。

それらはやがて

永遠の若さを保つ娼婦ロボットや

芸者ロボット?へと瞬く間に進化してゆくのでしょうね?


ああでもそれは決してロボット天国??

自動人形の楽園なんかじゃなくって


むしろ


メイドロボット地獄

娼婦ロボットの暗黒世界への


禁断の扉が開くという


ライオンズゲート(異世界への禁断の扉)が


つまり

地獄への門が開くという


人間の滅亡への序曲が奏でられるということなんでしょうね?






ああでも


もうこれ以上はやめにしよう。これ以上考えると

気が狂いそうになるからね。


ところで、、、、、

あなたはご存じだろうか?



あまり知られていないが伊藤蘭の歌で「アンティック・ドール」という

怖い?歌があるということを。


歌詞は著作権の関係で引用できかねるが、、、、、


その内容はアンティックドール(少女人形)がいろんな人のもとに売り渡されて行き、、


今度のご主人さまは優しく扱ってくれたとか人形の独白でつづられたコワーイ歌詞?ですよ。

作詞は伊藤蘭ですからこの人かなりオカルト系にも通暁している人だったんですね?

タダのアイドル少女歌手じゃあなかったんです。

今の乃木坂とかの少女たちにはこんな意味深な?オカルト系の?歌詞書けないでしょ。

人形の悲しみがわかる、伊藤蘭はビジョン・シーカー・オカルティスト?だったのだ。

                vision seeker ocultist

伊藤蘭が出たついでに?


伊藤つかさの「少女人形」という歌も、どうでしょう?

これも歌詞は引用不可だが、、つまり内容は

私はまるでお人形さんよ、、、という歌で、これもある意味コワイですよね?

生ける少女人形としての、伊藤つかさ?

怖いです。



さあ、、でも、、


そんな二人の歌でも聞いて


私の妄想劇場?は

気が狂わないうちに

この限度で

今回はひとまず終わりにしましょうか




fin


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