少女と神らしきもの
人類が魔法を研究し始めて早数世紀、各国の魔法の技術の格付けとして、人々は魔法大戦を始めた。
その大戦の決まりごとはただ一つ、『人を殺めてはならない』
その法に乗っ取り、各国は互いに技術を高めあっているかのように思えた。
ところが、上の人々の知らないところで過ちは既に起きてしまっていた。
この物語の主人公の少女はまだそんなことを知る由もなかった。
第一章 明け
技術大国日本、この物語では昔の話となる。
魔法技術大国の現国では、世界トップクラスとなる
ただ、日本人の見落としがちな重要な点、『その技術が何に使われるか』
当然犯罪や、法に反するものが多かった。
少女改め 白井癒子は国立魔法高等学校のサポーター学科を専攻している。
この時代ではごく普通の女の子。
得意な科目は回復魔法。
少女の特筆すべき点は、詠唱がいらなく、感情で回復魔法を動かせるということ
趣味も人助けと言っていいほどやさしい子。
そんな少女にある人生の転機が訪れる。
『神』のような存在と邂逅し、
終末に語り掛けてくる『神』のような存在が語り掛けてくる。
「君は何のためにこの世界を生きているんだい?つまらなくはないかい?」
少女は答えた
「生きる理由なんてないよ。わたしはただ、困ってる人を助けたいだけ。それがたとえ、危険に自ら飛び込むような事でも、きっと私は…」
「それはあまりにもつまらない生き方だ。よし、私が人生の転機と、壁となるものを与えてあげよう」
「なに…これ…」
この世界の行く末、あるいは人類の絶滅方法など、少女は気が狂いそうな速度で頭の中に入れられていく
いままで誰でも助けてきた少女にとってはあまりに惨たらしい惨状だ。
「これでもまだ、君はこの現状を生きていたいと思うかい?」
「それでもわたしは、自分の手の届く人々までは守っていたい。こんな結末、こんな末路は信じない」
「良い返事だ。では次に転機を授けよう、私からの贈り物だ、好きに使うといいよ」
少女の魔力が増強され、背中には片翼の烙印が。そして『神』は告げる。
「君は私に選ばれた。その力は他言、そして窮地に追い込まれるまで使ってはならない。信じてはいるけど、日常への堕落した用途、悪用をしてはいけないよ。私はいつでも君の傍に居る、そのうち見えるようにはなると思うけど、驚いては…私が困るな」
「あなたの事は信じる、そしてまだ分からない力の事を受け入れる。これがまだどんなものかは分からないけど、この結末を変えてみせる」
そう少女が言うと『神』みたいな存在は微笑んだかのように消えていった。
少女の目の前には戦火が広がっている、誰も死なないであろう戦火。だが、死なない戦争がないのはいつの時代でも同じ。一人のなんでもない人間によって、死の手は着実に全世界へと広まるだろう。
第一章 明け 完