スタート地点
これにてプロローグ終了となります。天国にやってきた咲島喜平と再会した三浦春美。天国で暮らすまでに十二年ぶりに再会した2人はどのような思いでまた関わるのか………。
ついさっき俺は交通事故で死に、天国界に転送された。そこには幼馴染であり、幼い頃に病気で亡くなった女の子にまで再会した。そしてその子と転送される世界「天国界」に繋がる扉へ行くため、1面真っ白の道を二人で歩いていた。
三浦春美。十二年ぶりの再会である。けどまぁ、あの頃は「ハルちゃん」って呼んでいたが。
「高校生なんだね!!」
子供の頃とは違う俺の姿に興奮を抑えられないのかとても興奮した様子でそいつは俺に話しかける。
「あぁ、まあ地上ではもう死んじまったわけだがな。」
「でも大丈夫!明日から私と同じ高校に通ってもらうから!」
「え?」
とりあえず混乱しまくっている俺にハルちゃんが丁寧にしてくれた説明によると、年齢、名前、姿容姿何もかもこの天国界にて引き継がれるらしい。そして俺は高校生なので明日から早速、ハルちゃんと同じ高校に通わされるのだそうだ。
「天国なのにまだ学校かよ………。なんか想像していたのと違うわ」
「あー、それ私もここに来た時思ったよー。あれ、天国って天使さんが沢山いて気持ちよくユラユラして過ごすんじゃないの?って」
ハルちゃんはそんなこんなで笑いながら俺に言ってくれる。
「でもね、この天国界は普通に引き続き人生を歩むことができるんだよ。私たちが思ってた天国っていうのは極楽浄土のことなんだ。」
おいおい、いきなり仏教じみたことになったぞ。とはいえまぁ、この世界もこの世界なりにもう一つの世界としてしっかり存在していることが驚いたというよりは、なぜか感心してしまった。
世界は広い。空もあって、宇宙もあって、そして過去も未来もあって。どれだけの人がめいっぱい腕を広げても包み込むことができないほど、偉大な世界。
その世界を飛び越えて、今俺らのいる天国界も存在しているのだ。
新たな世界の住人になる身としては、誇りにも思う。
「ついたよ!扉!」
そこには光に包まれた巨大な扉があった。
この扉を通れば、既に明日の朝になっており、目が覚めるのだそうだ。
「明日また迎えにいくから、よく休んでね!」
「おう、ありがとな!ハルちゃん」
「おおおおー!!!懐かしい!!本当にきーちゃんに呼ばれるの懐かしいよ!!」
はるちゃんは子供みたいに嬉しそうに興奮しながら喜んでいる。
………喜んでいるのはお前だけじゃないんだぞ。お前がいなくなった後、どんだけ悲しんで絶望に押しつぶされそうになって、どんだけ恋しくなって、
どんだけ会いたかったと思ってるんだよ。
「お前との学校生活かぁ………。まあ楽しめそうだな!小学校すら一緒にいけなかったんだからな。」
「ははは……病気は辛かったよー。今は気持ち悪いくらい元気だけどね!」
そういってハルちゃんは扉を開けてくれた。
「また明日。」
「うん!よろしくね!」
俺は扉に入り、そのまま光の中に沈んで行った。
音無 茟です。ようやく第1話をかけると思ったらテストテストテストのトリプルコンボという、こんな爽快感どころか絶望感を叩きつけられたように味わったコンボはあるでしょうか。そしていざ執筆!となったとき、プロローグから1話までの間が微妙に隙間のある感じがして急遽埋めることにしました。次回からは明るいクラスメイトたちが沢山でてきてバカ騒ぎすることとなると思います!お楽しみに!