甘い血
高校時代に書いた小説です。写しもんっす。
最近、章一の頭が狂っているらしい。
ある日部室で章一の鞄の中をこっそり見たのだが、そこには『人肉の美味しい食べ方』や『カニバリズムについて』など、恐ろしい内容の本が入っていた。
もしかしたら、俺は食われるのか…?
なんだか嫌な予感がして、夏なのにブルッと震えた。
「見ましたね」
章一は不意に俺の方を向いて飛びかかった。
その目はギラギラと血走っている。
俺はバランスを崩して床に尻餅をつき、机の角に頭をぶつけた。
その拍子で机の上に置いてあったカッターが落ちて俺の目がサクッと切れた。
トロトロと流れ出る血が視界を赤くする。
「いってぇ……何するんだよ!」
章一を殴ろうとしたが、血で目が見えない。
それを知ってか知らずか、奴は俺の腹の上に座り、馬乗りになった。
チキチキチキと、無機質な音がする。
この音、まさか……。
「反撃しようとしても無駄ですよ。僕はあなたを食べるつもりですから」
「あ゛あっ!!!」
電流のように腕に激痛が走り、プチプチと生々しい音をたてて肉が切られていくのを感じた。
その刹那、クチャクチャと咀嚼する音が聞こえた。
「白沢先輩の血、とても甘いから…」
優しい声で囁く章一。
だが、その声はどこか狂気を孕んでいた。
やがて首にもカッターが入れられ、温かい闇が俺を包んでいった…………。




