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第30話 神に仇なす者と神に等しき者

『この状況。乗り越えられれば御主人様あなたは、相応の力を手に入れられるでしょう。だから、頑張りなさい。命を賭けて』



 サクヤはグランエグゼを構えて、クレアを睨む。


「あなたは――」

「僕の事はクレアちゃんって呼んでもいいよ?」

「――クレアは何故こんな事をするの!」


 サクヤにはクレアの飄飄ひょうひょうとした態度が理解出来ない。あの空間転移の能力があれば自分を空高くに放り出すなり、不意打ちで殺すなり出来るのにそれをしないのも理解出来ない。そして何より、自分が何故こんな化物の相手をしなければいけないのかが理解出来なかった。


「うーん、そうだね。強いて言えば暇つぶしかな? 君にだってあるでしょ。あまりにも退屈すぎて手加減して弱いものいじめをしたくなる事。なんて言うのかな? 縛りプレイ?」

「そういう事を聞いてるんじゃないのよ!」


 サクヤは大地を蹴り、クレアに近付く。グランエグゼの幻想因子ファンタズム崩壊機関ディシンテグレイトならば、直撃すればクレアを一撃で倒す事も可能。ならば、クレアが自分を甘く見ている今、その一撃を当てるしかない。そう考え、サクヤはグランエグゼを振り下ろす。


「ひょいっと」


 しかし、サクヤの一撃は簡単に避けられる。それは当然だ、サクヤの剣術などは所詮は付け焼刃。この世界で400年以上生きているクレアにはその程度子供のお遊びに等しい。


「ブースト・エンチャント!」


 クレアは一撃目を避けて油断していると考えたサクヤは、その隙をつく為に肉体強化の魔道具を起動。加速した一撃をクレアに叩き込む。


「それは、ダメだ。楽しめる時間が減ってしまうよ」


 肉体を強化したサクヤの一撃をクレアは簡単に避けてしまう。そして、クレアはサクヤから距離を取り言葉を紡ぐ。


「僕は全ての魔を拒絶する、対魔の能力マジック・キャンセラー」


 その瞬間、肉体強化の魔道具は機能を停止し、サクヤは突然体が重くなったと感じる。


「ブースト・エンチャント! ブースト・エンチャント! どうして……!」

「ふふふ、その手の魔道具は魔力の消耗が激しくて長くは続かないからね。幻想因子の枯渇で終わりなんてつまらないでしょ?」


 クレアはただ、肉体強化の魔道具を封じたい。それだけの理由で対魔の能力を発動した。しかし、この能力はサクヤに思いもよらない効果を与える。



『緊急事態発生。対象の能力により外部付属生態魔道具兵装サクヤの機能の殆どが停止。思考加速、所持品軽量化、幻想因子回復速度二倍、魔道具使用時幻想因子消費軽減使用不能。生体反応低下。一部肉体が影響を逃れていますが、このままでは持ちません』



 サクヤの肉体は生態魔道具。つまりは対魔の能力による影響を直接受けてしまう。相手が普通の人間であればこの能力には人体への直接的効果は無い。しかし、サクヤにとっては致命的な効果をもたらした。


(体が重い! それだけじゃない、グランエグゼが重い! 鞄が重い! 何なのこれは!)

「あれ? おかしいな、どうしたの?」


 流石のクレアもサクヤの反応に戸惑う。これから沢山楽しむ為に対魔の能力を使ったのに、その瞬間サクヤが動かなくなってしまったからだ。クレアはがっかりとした表情でサクヤに話しかける。


「もしかしてたったこれだけで諦めちゃったの? 期待外れだ、馬鹿馬鹿しい」


 クレアの声には若干怒りが混じっている。最高の食事を味わおうとしたら、テーブルをひっくり返された。そんな怒りをクレアは覚える。


「諦めたならもうどうでもいい、消えろ。炎よ焼き尽くせ、業火の能力インフェルノ・ブレイズ」


 クレアは怒りを込めてサクヤに巨大な火球を撃ち出す。しかし、サクヤはその火球に向かって力を振り絞りグランエグゼを投げつけた。


「うああああああ!」

「――なっ!」


 グランエグゼは火球に触れると、その業火を幻想因子に分解、吸収しクレアに迫る。


「これは、業火の能力を分解して吸収しているのか! 面白いよ!」


 クレアは先程までの怒りを忘れて笑う。今まで様々な神意能力や神剣を見て来たクレアでも、ここまで対神意能力に特化した力は見た事が無い。この能力ならばクレアが相手だろうと少しずつ幻想因子を奪い、いずれは無力化する事も出来るであろう。目の前にいるサクヤは魔法と魔道具が使えないクレアにとって紛れも無く天敵であった。


「でも、本人の実力が足り無すぎる!」


 クレアは飛んできたグランエグゼを回避し、サクヤに向かって駆け出すと、その体を蹴り飛ばした。


「君自身がもっと強ければ、もっと楽しかったのに!」

「かはっ!」


 サクヤはその蹴りでボールの様に飛ばされ、地面を転がる。体が痛い。体が重い。体が動かない。サクヤの肉体は既に限界だった。


(どうして……、お願い動いて……)


 サクヤには自分が生態魔道具である事が分かっていない。だから自分が何故こうなっているのかも分からない。分かっているのは自分はこのままだと簡単に殺されてしまう事だけだ。


(お願い……)


 クレアがサクヤに向かって歩いてくる。ゆっくりと、しかし確実に。


(助けて……)


 サクヤは求める、この世界で唯一、自分を助けてくれる存在を。


「さあ、終わりにしよう」


 クレアは神意能力を発動する事も無く、サクヤの頭を踏み潰す為に足を上げる。


「助けて! グランエグゼ!」



『幻想因子保有量103%まで上昇。幻想因子保有量100%を使用し、外部付属魔道具兵装サクヤ改良バージョンアップを実行。干渉系神意能力無効化の特殊能力を付与』



 その瞬間、サクヤの全機能が復活した。対干渉系神意能力無効化。これは神意能力による肉体や精神への直接的干渉のみを防ぐ機能だが、こんな力は本来魔道具如きが使えるはずは無い。だが、グランエグゼは、そんな常識さえも無視して、サクヤを神を殺す為の兵器へと作り変えていく力を持っていた。


 しかし、そんなグランエグゼにも限界はある。干渉系神意能力無効化機能は与える事が出来ても、他の神意能力を無効化できる機能は、付与出来る機能の中に無いので与える事が出来ない。その為、全ての神意能力を防ぐ力は与える事が出来ないのだった。


「くああっ!」

「ははは」


 サクヤは体に力が戻ったのを理解すると、クレアから離れる為に全身に力を込めて跳んだ。あまりに急な動きだった為、受身を取れず、無様に地面を転がる事になるが死は免れる。


「なんだ、まだ動けるんじゃないか!」


 それを見て、クレアはまた笑顔になる。まだ、楽しめる。まだ、遊べるんだと喜ぶ子供の様に。


「形成……ありがとう、グランエグゼ。私の相棒」


 サクヤには何が起こっているのか分からない。しかし、グランエグゼが自分の為に何かをしてくれた事だけは理解できる。サクヤは自分を助けてくれた最高の相棒に心の底から感謝した。



『危ない危ないギリギリ足りましたね。これでこの御主人様ガラクタも、もう少しだけ持つでしょう。まあ、正直これは助からないでしょうが、今後の為にこの相手の情報をもう少し集めたいですからね』



 サクヤの感謝の言葉を受けた、グランエグゼの呟きをその身にあびながらサクヤは走る。グランエグゼのお陰で自分自身の力は取り戻せたとしても、未だ他の魔道具は使う事が出来ない。サクヤは自分とグランエグゼの力のみで神に等しき者に挑む事となる。


「いいねその顔! 咲き乱れよ、氷結の花、氷花の能力アイス・ソード!」


 クレアはサクヤから距離を取る為に後ろに跳ぶと、氷花の能力を発動。クレアの周囲には、巨大な氷の花びらにも見える氷刃ひょうじんが舞い踊る。その数は20枚。


「さあ! 僕が君の強さをテストしてあげるよ!」

「ごめんなさい! テストは大嫌いなの!」


 クレアがサクヤを指差すと、それに合わせる様に氷刃がサクヤへ飛ぶ。その速度は光の剣の魔道具と同程度だが、その切れ味は比較にもならない。


「うあああああ!」


 自分に向かって飛来する氷刃にサクヤはグランエグゼを叩き付ける。その速度は速く、思考加速無しでは避ける事すら難しいが、今その力を使っている様ではクレアの相手など出来ない。サクヤは未だかつて無い集中力をもって、自力で氷刃の一枚目を迎撃した。

 氷が砕ける音、粒子になる氷刃、それを見届けたクレアは二枚目、三枚目の氷刃を放つ。


「はははっ! すごいすごい! 普通の人間なら一枚目で死んでいるところだよ!」


 クレアは笑いながら連続で氷刃を撃ち出し、20枚全てを撃ち切った。サクヤはクレアの周囲に氷刃が無くなったのを確認すると一気に距離を詰める。


「君は神意能力を甘く見ているね」


 クレアがそう言った途端、無くなったはずの氷刃が再生成される。意識するのみで発動できる力、これこそが神意能力の強みだった。

 クレアは迫り来るサクヤの攻撃を防ぐ為に五枚の氷刃を横並びに展開し、二枚を自分の両手に持ち、残りを背後に浮かべる。


「はああああああ!」


 サクヤはクレアの前にある五枚の氷刃にグランエグゼを叩きつけ、その全てを一撃で破壊する。それに対しクレアは広げた両手に氷刃を持って、舞を踊るように回り、サクヤを斬りつける。


「つうっ!」

「ははっ」


 サクヤはその氷刃の一枚目を破壊する事が出来るが、二枚目を防げず脇腹を斬られてしまう。サクヤは思わず声を上げるが、傷口は思ったほど痛まない。あまりにも氷刃の切れ味が良すぎて、痛みを感じないのだ。しかし、そう思ったのも束の間、少しずつ傷口が痛んでくる。


「必ずしも一刀流より二刀流の方が有利って訳じゃないけど、君の実力だと難しかったかな」

「勝手に言ってなさい……」


 サクヤは何とか軽口を叩こうとするが、心には余裕が無い。クレアの身体能力はサクヤとは比べ物にならないくらい高い。例えサクヤが全力で攻撃しようとも、その一撃はクレアの手加減した攻撃に劣るのだ。この状況を覆すにはゼノンを倒した時の様な決定的な何かが必要。しかし――



幻想因子ファンタズム無差別消滅兵装バニッシャーは使用まで時間がかかる為、この状況では無理です。また、仮に使用出来ても、相手には転移系の能力がありますので当てられません』



 サクヤの本当の奥の手は封じられたも同然だった。


「さぁさぁさぁ、もっと楽しもうよサクヤちゃん」

「遠慮したいわ、クレアちゃん」


 クレアが新しい氷刃を持ってサクヤに襲い掛かる。サクヤの頭上へ振り下ろされる二枚同時の攻撃。サクヤはそれをグランエグゼで防ぐ。


「ははは!」


 グランエグゼに衝突した氷刃はその瞬間砕け散るが、一瞬触れた時に生まれた衝撃は消す事が出来ない。サクヤはその衝撃に耐える事が出来たが、体勢が戻り切っていないところへ空中の氷刃が襲い掛かる。


「くっ!」


 サクヤはギリギリで回避するが、頬に一筋の傷跡が残る。この程度に傷、サクヤでもすぐに治るが、この状況ではその細かな傷の積み重ねが命取りになりかねない。


「そら! 同時攻撃だ!」


 クレアは間髪を入れずに攻撃を続行。サクヤの周囲に展開した全ての氷刃を全方位から一斉に放つ。


「思考加速!」


 サクヤはその攻撃を普通には捌ききれないと判断し、思考加速を発動する。減速した世界でサクヤは、避けきれない氷刃だけを砕き、全ての攻撃を凌いだ。


「まだそんな手を隠していたんだ。それじゃあ、そろそろ次の力を見せてあげるよ。光よ集い、閃光となれ、光線の能力ソル・ビーム」


 クレアの右腕に光が集まっていく。それを見たサクヤは嫌な予感を感じて地面に這いつくばった。


「薙ぎ払え」


 クレアが右腕を横薙ぎにすると、サクヤの頭上を一筋の光が通り過ぎる。そして、光の照射された大地は、レーザーで焼き切られたかのような姿になった。それを見てサクヤは絶望する。あんなものを回転しながら撃たれたらサクヤに避ける手段は無い。


「ふふふ、単純だけど強いでしょう? これも防げるのかな?」

「くそっ!」


 再度クレアの右腕に光が集まる。サクヤにだってクレア相手に同じ回避方法が通用しないのは分かっている。だから、サクヤはグランエグゼの腹をクレアに向け、大地に突き刺す事にした。


「あらら何のつもりかな?」

「それはこっちの台詞よ。まさかあのクレア皇帝陛下ちゃんが、正面から打ち破る自信が無いのかしら?」

「本当に面白いね君は」


 その台詞を受けて、クレアは右腕をグランエグゼに向ける。だってクレアは戦いを楽しむ為にここにいるのだから。これぐらいの挑発には喜んで答えるつもりだった。


「光で溶かせ」

「お願いグランエグゼ!」


 クレアは地面に突き刺さり、サクヤによって固定されたグランエグゼの剣身に光線の能力を照射する。光線の能力自体はグランエグゼに触れた途端消滅していくが、能力により発生した熱風は消し切れず、サクヤの両手がじりじりと焼かれていく。


「あああああああ!」

「ああすごい! ここまで出来るなんて!」


 痛みに耐えるサクヤを見て、クレアは笑う。本当に楽しそうに笑う。自分の攻撃に必死に耐えるサクヤが愛おしくて堪らずに、最高の笑顔で笑っていた。


「はぁはぁはぁ……」


 そして、サクヤはその一撃を耐え切った。代償として焼かれた両手は痛むが、命を失うよりはマシと自分に言い聞かせる。しかし。


(痛い痛い痛い!)


 ゲームや漫画とは違う。これは現実なのだ。例え致命傷ではなくても、ここまでの傷を負えば痛みで力が入らない。根性だけでは痛みに耐えられないのだ。



『仕方がありませんね。幻想因子保有量197%まで上昇。幻想因子保有量100%を使用し、外部付属魔道具兵装サクヤ改良バージョンアップを実行。痛覚緩和の特殊能力を付与します』



(あれ? 痛みが和らいでいく?)


 完全に痛みを消してしまうと、それによる弊害も発生する。その為グランエグゼはサクヤに痛覚緩和の機能を追加した。それにより、サクヤは少しの痛みを感じながらも、グランエグゼを握る事が出来る。

 本来、戦闘中にこうして改良を重ねる事など出来ないのだが、今戦っている相手は大量の幻想因子を保有する化物である。対神兵装に必要な幻想因子などすぐに集められるので、遠慮なく使用していく。


「がんばるねぇ、それでこそ遊び甲斐があるよ。全てを吹き飛ばせ、衝撃の能力ショック・ウエーブ」


 クレアが衝撃の能力を発動すると、全方位に衝撃波が飛ばされる。グランエグゼがいくら神意能力を無力化出来ても、全方位攻撃が相手ではサクヤを庇いきれない。このままではサクヤは衝撃の能力の直撃を受ける。そうなればサクヤの体は耐えられない。だから――。



『第二封印機関解放。対神兵装・対幻想絶対防御領域アブソリュートテリトリー展開』



『「我が領域侵すこと神すらあたわず」』


 サクヤが頭に浮かんだ台詞をグランエグゼ共に詠唱すると、グランエグゼの鍔の下部分が開き、そこから黒い粒子が溢れ、その粒子は半透明に変わってからサクヤを周囲に球状に広がり、サクヤを包み込む。


「また新しい力かい!」


 クレアの見ている前でサクヤを包んだ半透明な球体は、衝撃の能力とぶつかるが、その半透明な球体は衝撃の能力を完全に防ぎ切っていた。


「はははっ! すごいすごい!」


 その光景を目の当たりにしたクレアは二度三度と衝撃波を放つが、対幻想絶対防御領域アブソリュートテリトリーは全ての神意能力を防ぐ最強の盾。その攻撃が通る事は無い。しかし――。



『幻想因子残量80%……70%……60%……50%……』



 その代償として、対幻想絶対防御領域アブソリュートテリトリー展開中、サクヤはその場から動く事が出来ず、更にグランエグゼの幻想因子は途轍もない勢いで消費されてしまう。つまり、相手が攻撃をやめてくれなかったら、幻想因子が枯渇して詰んでしまうのだ。


「それじゃあ、お次は接近戦と行きましょうか!」

「いいねぇ、望むところだよ!」


 サクヤの安い挑発にクレアが乗ってくる。正直言ってクレアのこの態度が無ければ、次の瞬間サクヤは死んでいるであろう。しかし、そもそもこの戦いを仕掛けて来たのはクレアである。その事に感謝を覚える筈も無い。


「剣よ生まれよ、無限に集え、無限剣の能力インフィニティ・ブレード」


 無限剣の能力、その力によりクレアの周囲には1000を越える剣が現れる。その一本一本は特殊な力を持たないが、強度と切れ味だけは並外れている。


「大丈夫、さっきみたいに操る事もできるけど、ちゃんと手で持って使うから」

「それは有難過ぎて涙が出そうだわ!」


 サクヤがクレアに近付くと、クレアは近くの剣を手元に召喚する。呼び寄せるのではなく召喚。つまり手元に現れるまでに隙が無い。


「それなら周囲に呼び出す必要ないでしょう!」

「何言ってるんだい? カッコイイだろう?」


 グランエグゼを振り下ろすサクヤにクレアは剣を投げ、次の瞬間には他の剣を握っている。剣を投げつけられたサクヤはその剣にグランエグゼを当てて消滅させ、クレアに真横からグランエグゼを振るう。しかし、その一撃はクレアが手に持った剣により減速され、避けられてしまう。

 一度攻撃を避けたクレアはサクヤから距離を取り、両手の全ての指の間に持てる様、合計八本の剣を召喚し、それを一気にサクヤに放つ。


「うわああああ!」


 サクヤはその八本の剣のうち五本叩き落すが、落とせなかった三本により、右太股と脇腹と左脹脛を斬られる。しかし、痛みは殆ど感じず、致命傷でもない。


「ほらほら、がんばれ、がんばれ」

「うるさい……」


 サクヤの傷は致命傷ではない。しかし、徐々に無視できない出血量になって来ており、このままでは限界が近い。サクヤにはもっと力が必要だ。この状況を打開するだけの力が。


「グランエグゼ! もっと力を私に貸して!」



『幻想因子保有量50%を使用。第三封印機関解放。超高速戦闘機構ブーストアクセラレーションシステム起動』



 その瞬間、グランエグゼの鍔の左右の先端部分が開き、黒い粒子が溢れサクヤに吸い込まれる。そして、サクヤは自分の体が驚くほど軽くなったのを感じた。

修正箇所


4/3 サクヤはその蹴りで200メートル近く飛ばされ→サクヤはその蹴りでボールの様に飛ばされ


普通の人間は200メートル飛んでいく様な蹴りを受けたら、即死するのではないかと気が付いた為

いやぁ、具体的な数字は出さない方が良いですね。


4/3 「君自身がもっと強ければ、もっと楽しかったのに!」

   「かはっ!」

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