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7回目の世界

「加藤さん、加藤さん」

「何だい、高島君?」

「そろそろこのはじまり方もワンパターンになってきましたね。」

「う~ん、そうだね~。でもお約束って必要じゃない?」

「何に対してのですか?」

「この一連の話の」

「この一連の話って何です?」

「そこは突っ込んじゃダメだって・・・」

「わかってるんですけど・・・あえて突っ込んでみたいじゃないですか?」

「気持ちはわからんでもないけどね・・・」

「ですよね~」

「ま、イントロダクションはそのうち考えるとして」

「そのうちですか?」

「そのうちね」

「ぢゃあ、期待しないで待ってますよ」

「そうして頂戴。」




「それにしても高島君さ~、毎日おかしい位暑いよね。」

「そうですね~、特にここ数年はホントにおかしいですよ。35℃超えが連日続くって何なんですか?今だってバンバンエアコンかけてるのに日差しの方がが強くて効きが悪いですからね~。まあ効きが悪いといっても外より涼しいことは間違いないんですけど・・・」

「冷たい空気と容赦ない日差しの戦いだね、それでもエアコンかけているのとかけていないのは全然違うよ?いくら日差しが強いからってちゃんとこうやって車の中は冷えてるんだから。」

「全くです」

「でもさ~、現場着いたら灼熱地獄の中の作業なんだよね~?仕事とはいえやってらんないよね~」

「そうですよね~」

「んで作業終わったらエアコンかけた車の中でしょ?寒暖差が激しすぎるからどうしても夏の時期は体調がよろしくなくなるんだよ」

「おっしゃる通りで・・・」

「食欲も無くなるしさ、悪循環だよ」

「食欲がないからって仕事後に毎晩居酒屋でビール呷ってる人の言葉じゃありませんね」

「いやいやいや、ビールを飲むことによって胃腸の働きを活発にして食欲を湧き上がるようにしてるんだよ?高島君だってそうだろ?」

「否定はしませんけど、加藤さんの場合飲むことが目的になってますよね?」

「だって飲まないとやってらんないじゃん?」

「だからと言って毎晩へべれけになる迄飲むのもどうかとは思うんですが・・・」

「それはそれ。どうせ飲むなら酔わないともったいないでしょ?」

「僕は加藤さんの体と財布の中身が心配ですよ・・・」

「大丈夫!財布はともかく体は丈夫だから!」

「財布の件は否定しないんですね?」

「まあ・・・ねえ・・・だから安い所で飲んでんでしょ?」

「いつか奥さんに刺されますよ?」

「そこは大丈夫!高島君を言い訳にしてるから」

「人を悪者にしないでください!」




「あっ、加藤さん、ガソリンがそろそろやばいですけどどうします?」

「どれどれ・・・これは現場到着前に入れといた方がいいかもね。こんだけエアコン効かしてるし、仕事終わった後に入れるのもめんどくさいし。」

「そうですね、じゃあそこのセルフで良いですか?」

「任せるよ」

「じゃ止まりますね~って、いつの間に?」

「はぁ~・・・またか・・・よりにもよってこのタイミングとはね・・・」

「どういうことですか?」

「うん、高島君。今の状況を400字詰め原稿用紙3枚以上5枚以内で説明してくれる?」

「何ですか、その夏休みの読書感想文みたいなのは!」

「冷静なツッコミ有難う。で?」

「で?って・・・はぁ・・・わざわざこの状況を説明する必要が?」

「ま、お約束ということで」

「・・・何のお約束かはもうあえてツッコみませんけど・・・では!気を取り直して!現在時刻はAM10時!まだまだ夏の真っ盛りの午前中!外気温は37度。すでに死にそうな暑さです!現在地は!”漢ナビ”によりますと裏砂漠(?)のド真ん中!って裏砂漠って何処ですか?・・・灼熱の太陽が照り付けております!ってこんな感じで良いですか?」

「伊豆大島ぢゃねえか!」

「ここ場所の詳細お伺いしても?」

「さて高島君!」

「スルーですか!」

「この状況は非常にまずいと思うのですがいかがでしょう?」

「もうどうでもいいや・・・」

「高島君?お答えは?」

「え~?特に今のところ心配はないんじゃないですか?車の中はエアコン効いてますし、以前の反省を踏まえて飲料水も確保してありますし・・・」

「うん、そうですね?では高島君。」

「はい、なんでしょう?」

「ここに飛ばされる前の我々はどんな行動をしようとしていたか覚えていますか?」

「勿論です!ガソリンがやばくなってきたんで給油しようとしていました!・・・ってやばいじゃないですか加藤さん!」

「はい、よく気が付きましたね~。でどれくらい残ってる?」

「エンプティーランプついています」

「って事はあとどれくらいもつのやら・・・」

「何にもなれば日が沈むまでくらいは持つんじゃあ無いですかね?」

「確かにそうだけど・・・高島君さあ、砂漠の寒暖差ってどれくらいあるか知ってる?」

「良くは知らないですけど、確か相当にあるって聞いたことはあります」

「そうなんだよね、昼の暑さをしのいでも今度は夜の寒さがしのげるかどうか・・・」

「まあ、幸いにして作業着とかつなぎとか積んであるんで最悪着込めば大丈夫じゃないですかね?」

「ま、高島君の言う通り、先のことを考えててもしょうがないか?迂闊に木陰探して走るのも悪手だし、のんびり構えるとしますか?水もあるし、弁当もあるしね?明日になったら帰れるでしょ?」

「珍しく加藤さんが楽観的ですけどまあそういうことならのんびりしましょうか?」




「加藤さん加藤さん?」

「何だい?高島君」

「現在時刻17時何ですけど・・・」

「うん、そうだね」

「7時間前と太陽の位置がほとんど変わってないんですよね」

「うん、そうだね」

「いくら真夏でもこの時間になったら太陽って翳ってきますよね?」

「うん、そうだね。でもさ高島君。ここは異世界だよね?」

「まあ客観的に見てそうですよね。」

「前も話題にしたことがあるけどさ、異世界の環境が地球、この場合我々がもともと住んでいた所になるんだけども、と全く同じ環境なんてありえないよね?」

「普通に考えたらそうですよね?」

「だからさ、もしかしたらこの世界はひたすらに昼が長い場所か、昼しかない場所かもしれないよね?」

「それは考えもしませんでした・・・」

「ってかそういう俺でさえその可能性を全く考えてなかったからね・・・」

「どうなりますかね?」

「ってかガソリンは?って丁度良く無くなったみたいだね?」

「そのようですね」

「水は?」

「まだ2Lペットが2本残ってます」

「じゃそれが無くなった時が終わりかな?」

「終わりですか?」

「終わりでしょう?」

「外に出て水探しましょうよ」

「外気温は?」

「45度超えてます・・・」

「自殺行為だよ?」

「ですね・・・とりあえず窓開けます。すでに車の中がシャレになってません・・・」




「う~ん。今回はどうやら苦しみそうだね~」

「先に意識がなくなればいいですけどね~」

「こんなことなら昨日もう一杯飲んどくんだったな~」

「ここでそのセリフですか?」

「後悔先に立たずだよ」

「おっしゃる通りで・・・」

「高島君?ところでまだ水ある?」

「一口だけならありますが」

「ぢゃもらえるかな?ってちなみに今何時?」

「午前3時です」

「まだまだ日が高いね~」

「ですね~」

「ってなわけで俺先に逝くわ」

「えっ?どういうことですか?」

「いや、もう辛いの嫌だから睡眠薬のんで寝るわ」

「えっってかいつの間にそんなクスリ持ってたんですか?」

「備えあれば嬉しいなだよ高島君!」

「それを言うなら憂いなしですって聞いてます?」

「うん、効いてきてます、じゃお休みあ~んどお先に~!」

「ちょっと加藤さん!勝手に逝かないでください!ねぇ、ちょっと!僕にも薬ください!ってもう逝っちゃってる!」

「く~く~」

「納得いかね~~~~!」





今回は


熱中症による合併症?


でした。

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