4回目の世界
「加藤さん、加藤さん」
「何だい?高島君?」
「今日も見事に飛ばされてますね」
「うん、そうだね~。それで今日は何処?」
「えーと、ナビの表示では瓜割名水公園ってなってますね。」
「・・・またマニアックな所に出たね~」
「有名な所なんですか?」
「日本名水百選にも選ばれた瓜割の滝周辺一帯を若狭瓜割名水公園っていうんだけど・・・」
「若狭って福井県でしたっけ?」
「うん、そうだよ。って若狭の確認から必要なんだ・・・で話を戻すけど瓜割っていう命名の由来は一年を通して水温が変わらず夏でも水につけておいた瓜が割れるほど冷たい事から名前が付いたそうだ。by若狭観光情報より」
「相変わらず加藤さんは無駄に博識ですね。」
「そんなに褒めないでよ、照れるから。」
「褒めてません・・・って名水百選って事は飲用可能ってことですよね?」
「勿論、飲用可能どころか保存可能期間だって名水百選の中でトップクラスを誇るそうだよ?」
「そりゃ~すごいですね。これは是が非でも飲んでみたくなりますね。」
「純度の高いミネラル分たっぷりの水だよ。その上汲んで持って帰ることもできる。但しその場合は清掃協力金として少しばかりお金を払う必要があるけどね」
「ってか加藤さん、観光協会の回し者ですか?」
「違うよ‼」
「すいません、随分と詳しい説明でしたのでついつい・・・」
「はぁ~・・・まあいいけど」
「じゃ加藤さん、さくっと名水を堪能して帰りましょう‼」
「いやいやいや、高島君、忘れてるかもしれないけどここは瓜割の滝じゃないから。あくまで何処かわからない世界でも現在位置をドヤ顔で疑いもなく表示してしまうこの”漢ナビゲーション”での位置情報であって、さっきも言った通りここは日本ではない何処かの世界だからね」
「あっ・・・そういえばそうでしたね~。なんか加藤さんの話を聞いていたらここが本当に瓜割の滝な気がしてきてですね」
「もうなんか何処かへ飛ばされるのが当たり前みたい位なってきちゃったからね・・・」
「悲しいことに・・・」
「それに俺の記憶にある瓜割の滝とは風景が全然違うし」
「えっ?加藤さん、ここに来たことあるんですか?」
「だから‼ここじゃなくて瓜割の滝へ行ったことあるって言ってんの‼」
「えっ?だからここじゃないんですか?ニヤ」
「ああっ、もうっ、高島君にボケられると悔しい‼」
「偶には仕返しさせてくださいよ、いつもいつもツッコムのは僕だと思わないでくださいね?ニヤ」
「ああっ、そのニヤ顔がまた憎たらしい‼」
「加藤さん、加藤さん」
「何だい?高島君」
「よく考えたら初めてですよね?」
「何が?もう何回も飛ばされてるけど?」
「車の外に出たのがです」
「そういえばそうだね。」
「これこそ本当の初異世界‼って感じでワクワクしませんか?」
「俺としては正直どうでもいいけど・・・」
「何言ってるんですか‼異世界ですよ異世界。その地を踏みしめるってのはもう色んな意味で脳内麻薬出っぱなしですよ。ヒャッハ~な感じですよ。」
「俺はそこまでテンション上がらないよ・・・ってか早く帰りたい」
「まあまあ、折角の体験なんで楽しみましょうよ?」
「楽しむまではいかないけど・・・ま、とりあえず滝のほうまで向かうか」
「流石加藤さん、何だかんだ言って優しいですね」
「優しい言うなよ・・・それにしても滝まで結構あるよね、ってか滝壺から流れてる川も結構な水量だ」
「加藤さん、あっち見てください。下流のほうが池みたいになってますよ」
「おっ、ほんとだ。ってか何かいない?」
「あっ、確かに何かいますね。ちょっと覗いてみましょうか?」
「何でオペラグラスなんて持ってるんだよ・・・」
「あっ、クマっぽいのが池に使ってますね・・・頭にタオルぽいの載せてますよ。そいつの目の前に何か浮いてますね・・・お盆?・・・あっ、徳利みたいなものからお猪口みたいなものに液体を注いでますね・・・器用だな~、クマっぽい分際で・・・おっ、お猪口みたいなのを口に入れて一息で呷った・・・何かプハーッとか言ってる感じですよ」
「どこぞの温泉宿の露天風呂か‼」
「あっ、あっちのシカっぽいのはカップルですかね・・・まだまだ付き合いが浅いのかな?お互い遠慮しあってますね・・・顔赤らめていや~初々しい。混浴に来てるんだからもっと堂々としないと」
「そこまでわかるんかい‼」
「おっ、来た来た。そうそう・・・もっと近づいて・・・行け‼」
「こら‼」
「イテッ・・・ってなんですか加藤さん。いい所なのに・・・」
「シカ相手に出歯亀してどうすんの‼」
「はっ・・・すいません。なんかあり得ない出来事についつい興奮してしまいまして・・・」
「そんなに溜まってるんだったらツナギの人紹介するよ?」
「すんません・・・それだけは勘弁して下さい・・・」
「全く・・・す~ぐ高島君は暴走するんだから・・・」
「いや~、それがなければ僕じゃありませんって」
「褒めてないから・・・」
「ああっ、気持ちいいね?」
「本当ですね。マイナスイオン出まくりって感じですよね。」
「ブラブラと歩いてきたから程よくのども乾いてきたしね、もっとも高島君は別のことに興奮して口が渇いたと思うけど・・・」
「変態扱いしないでください!」
「違うの?」
「違います‼」
「ごめんごめん、ド変態だったね?」
「もっと違います‼」
「ま、それはそうと、おいしい水を頂こうか?」
「そうですね。早速頂こうかな?わっ、すっげ~冷たいです。流石瓜割」
「どれどれ・・・ををっ!冷たいね~。しかもすごく澄んだ感じがする」
「それじゃ加藤さん、同じタイミングでぐいっと行きますか?」
「いいね~、それじゃ行くよ~、せ~の!」
「(コクコク)」
「(コクコク)」
「ぷっは~、美味い‼」
「美味いです、沁みわたりますね~」
「いやいやいや、これは美味いわ、流石名水百選」
「これは持って帰りたくなる気持ちもわかります・・・ウッ・・・」
「高島君‼どうした‼・・・ってウッ・・・」
「加藤・・・さん・・・」
「何だい?・・・高島・・・君?」
「これは・・・あれ・・・ですね・・・」
「あれ・・・だね・・・」
「異世界の・・・液体が・・・合うわけ・・・無い・・・です・・・よ・・・ね・・・」
「そう・・・だ・・・ね・・・失念・・・して・・・た・・・よ・・・」
「次回は・・・気を・・・付け・・・ましょ・・・う」
「そ・・・だね・・・迂闊・・・に・・・訳の・・・分からないものを・・・口に・・・しちゃ・・・いけない・・・」
「車・・・に・・・水・・・積んどき・・・ます・・・ひでぶっ!」
「そういう問題じゃ・・・無い・・・から・・・あべしっ!」
今回の死亡理由
水あたり(?)
合掌