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1回目の世界

「加藤さん、加藤さん」

「何だい?高島君」

「僕達って普通にPAにいましたよね?」

「うん、そうだね」

「じゃあ何で今こんな所にいるんですかね?」

「こんな所って?」

「いやいやいや、現実逃避はやめてくださいよ」

「いやいやいや、現実逃避なんてしてないよ?」

「してるじゃないですか‼」

「だからしてないって」

「そうじゃなくって何でPAにいたのにこんな所にいるか聞いてるんですよ‼」

「そんなん俺に聞かれてもわからないね。ってか、むしろ俺が聞きたいね」

「いや、そうなんですけれどね、一応お約束というか何というか・・・」

「いや、そうなんだけどさ・・・」





「とりあえず今の状況を確認しません?」

「ををっ‼高島君が冷静な発言を‼」

「加藤さん、ふざけないでください‼」

「いやいやいや、むしろその発言ができる高島君が凄いわ」

「まあいいです。とりあえず確認しますよ?」

「Oh Yeah」

「・・・」

「ごっめ~ん」




「加藤さんと僕とでお客さんへ訪問する為に車で客先へ向かっていた」

「うん」

「高速に乗りSAで昼食を食べて出発、PAで加藤さんが15分ほどトイレに籠った」

「その通りだけどトイレの件は強調しなくていいから・・・」

「加藤さんが戻ってきて、エンジンかけようと思ったら」

「思ったら?」

「何故か真っ暗な森の中に車ごと移動していた。間違いありませんか?」

「That's right」

「微妙に変な英語で答えないでください‼」

「Sorry」

「だから‼」




「まあ、日本じゃない何処かに飛ばされたと考えるのが現状の認識だね。何故、どうやって、何処にという問題はさておき」

「ですよね~」

「ま、現状認識しても困ったことには変わりないんだけれど・・・」

「え?何でですか?ここはお約束通り、異世界に飛ばされたけれどもこの世界にとって異世界人である僕たちが、すげぇ力でバッタバッタとモンスターをなぎ倒し、美少女から美熟女までのハーレムを形成し、俺様達Tueeeeee!!!!!ってなってこの世界に君臨する展開じゃないんですか?」

「高島君の考えるお約束ってどんな感じ?」

「すっげぇレベルとスキルの持ち主で、ステータスなんかもパパッとウインドで確認できて、バンバン魔法を使って天変地異クラスの力を鼻歌交じりに使い、サクサクっと剣とか槍で向かってくる敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げ・・・」

「うんうん、それで?」

「難攻不落と言われた迷宮を速攻でクリアして、最短でギルド最強クラスの冒険者となり、討伐報酬とクエスト報酬、迷宮で見つけた金銀財宝のお宝で贅沢し放題。」

「ほうほう・・・」

「そんな僕たちの周りには常に美しい女性が押しかけてくるんだけど」

「ふむふむ」

「気に入った娘しか相手をしないから余計にもてちゃって、それに不幸な境遇の奴隷を助けちゃったりなんやらで・・・」

「へぇ~」

「何やかんやで拠点としていた街に居づらくなっちゃて」

「なっちゃって?」

「それで・・・ふらっと旅に出たら・・・魔物に・・・襲われている・・・少女を見つけちゃって・・・助けたら・・・実は王女様で・・・(汗)」

「で?」

「いや、もうこれ以上は勘弁してください。自分で恥ずかしくなってきました」

「そだね、俺もどこで止めたらいいかわかんなくなってたから」




「でさ?そのステータスとかスキルとかって見えるの?」

「もちろんお約束ですから見えるはずですよ」

「ってかどんな風に見えるの?」

「視界の端っこにこうぶわぁって半透明の囲みみたいなのが出てきてその中に色んな情報が表示されるんです」

「それは俺でも見れるの?」

「加藤さんに素質があればみれますよ!」

「高島君は?」

「ちょっと待ってくださいね。今確認してみます」

「そんなに見つめられても困るんだけど・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「で?」

「やっぱ見えないですわ」

「だよね~」

「ですよね~」

「そんなに世の中甘くないよね~」

「ですよね~」




「それでさぁ、話元に戻すけどここって結局どこなの?」

「いや、ですから異世界じゃないんですか?」

「いや、異世界はともかくどこの異世界なんだろうねって話」

「あ~確かにそうですね~。どこの世界かわからないって不安ですよね~」

「ってか異世界って時点で不安しかないんだけど」

「直前までやりこんでいたゲームによく似た世界に飛ばされるってのが異世界転送のお約束なんですけど・・・」

「違うんだ?」

「僕が最近はまってたのは第2次世界大戦の兵器をネタにした放置系シュミレーションゲームだったんで明らかに違うんですよね、世界観が」

「そうなんだ」

「ですんで、もしかしたら加藤さんが直前にはまっていたゲームかもしれないです」

「いや、そんなことないでしょ・・・いや、まて、もしかしたらあれが原因なのか・・・」

「どうしました?まさか何か心当たりが?」

「いや、一昨日さ、竜王のところ行く前に復活の呪文控えたんだけども、どうやら間違えててさ、昨日復活の呪文入力したら何回入力しても  ふっかつのじゅもんがちがいます  っていわれたんだよね~」

「ド〇クエですか‼しかも1‼」

「頑張ってレベル上げたのにね~、ショックだわ~」

「そういう問題じゃないし、しかもそんな世界だったとしたら普通に加藤さんと宿屋に泊ったら店の主人に  きのうはおたのしみでしたね  なんて言われるに決まってるじゃないですか‼」

「やらないか?」

「変な所で変な知識をひけらかさないでください‼」

「常識でしょ?」

「・・・はぁ、たまに加藤さんて・・・まあ良いです」

「良いんだ?」

「とりあえずここが何処か確認しましょう」

「どうやって?」

「この車にはカーナビついてるじゃないですか?」

「・・・異世界にGPSなんてあると思う?」

「やってみないと分からないじゃないですか。とりあえずエンジンかけますね」


『ETCカードが挿入されました』


「そこからなんだ・・・」

「あっ、加藤さん‼現在地が出ましたよ‼』

「マジで?」

「どうやら新宿中央公園の中みたいですね」

「・・・オチが見えたなぁ~」

「えっ?どういうことですか?新宿ですよ?都心ですよ?」

「だって新宿中央公園って言えば<最高危険地帯>だよ?」

「話がよくわかんないですけど・・・」

「あぁ~、そうか~、高島君の年代ではわかんないか~」

「加藤さんの言ってることがさっぱり・・・」

「こればっかりは説明できるもんでもないしなぁ・・・」

「説明できないんですか?」

「まぁそういう世界があるって思ってくれればよいよ」

「納得は出来ませんが・・・」

「心配しなくてもどのみちロクな事にはならないから」

「ロクな事にならないのは決定ですか?」

「決定だね」

「そうですか・・・ところでさっきから車の周りをぶんぶん飛んでるのに気付いてます?」

「気づかないほうがおかしいと思うけど・・・」

「でっかい鳥ですよね?」

「高島君、現実を見ようよ。」

「鳥ですよね?」

「鳥に見える?」

「・・・見えません・・・」

「だよね~、・・・それで何に見える?」

「キメラですね」

「キメラだね、どう頑張っても」

「なんかここまで来たら確かにオチが見えましたね」

「でしょ?」

「あっ・・・やっぱり想像した通りですね」

「想像通りだね」

「火吐きますかね」

「吐くでしょ」

「みんなこっち向いて口開けてますね」

「ルーラでも唱えてみる?」

「ルーラ‼」

「・・・」

「・・・」

「予想通りとはいえ何にも起こらないね」

「熱いですかね?」

「熱いでしょ?」

「死にますかね?」

「焼け死ぬね」

「あっ・・・火吐いた」

「吐いたね・・・」

「熱いですね」

「熱いね」





今回の死亡理由

「焼死」


合唱・・・

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