5-8
割りとアウトなホモ(?)しかないので、読み飛ばしても大丈夫です。
9/1に加筆しました。ヤってることが変わって更にひどいので、ダメな方は次へ飛んでください。
「ぁ、やだ、いれないで、レオルド…!」
「あ?そんな物欲しそうな顔して何言ってんだよ」
「本当、お願い、っあぁ!」
「まだまだ余裕だろ?」
「ちょ、だめ、」
「ほーら、全部入ったぜ?」
「キツイんだってばぁ…」
涙目で嫌々と首を振るトーマを見て、レオルドはニヤリと笑みを深くする。そんな彼らを目の前にして、ライアスがため息をついた。
「お前ら…もっとまともな会話ができないのか…」
「んだよ、普通だろ?」
「あははー、ライー、こいつウザイー」
「はぁ?!んだとトーマ、もっかい言ってみろ?!」
既にヘロヘロの状態のトーマは焦点の合ってない目で笑ながらライへと助けを求めながらレオルドを指差せば、指差した相手により勢い良く引かれ体はレオルドの胸の中へと収まる。レオルドはもう片方の手で、トーマの頬を思い切り引っ張った。
「いひゃいー!」
「あー?聞こえねぇなぁ~?」
「ああ、もう、お前らいい加減にしろ!」
酔っぱらっているため力加減が出来ていないのか、容赦のないレオルドを見て、ライアスは慌てて立ち上がると止めに入る。レオルドの腕を抑えている所で、会計を済ませたウィルが席へと戻ってきた。
「何をしているんですか…」
「あ、ウィルありがと~」
「なるほど…そう言う事ですか」
片方だけ赤く腫れてしまったトーマの頬を見つけたウィルは、なぜライアスがレオルドを抑えていたのか納得をすると、小さく苦笑を浮かべながら腫れてしまったトーマの頬へと手を宛がう。彼の手は思ったよりも冷たく、トーマは気持ちよさそうに目を閉じると、その手へとすり寄った。
「こんなに腫らして、可哀想に」
「ウィルの手気持ちい…」
「こんなのの隣へ座るとろくな事がありませんよ。次からは私にしておきなさい」
大人しく頬を撫でられるトーマに機嫌を良くしたウィルは楽しそうに笑うが、それを遮るように帰るぞとライアスが促した。
「焼きもちですかね?」
くすくす笑ながら頬を撫でていた手を引っ込めるウィルに、トーマも楽しそうに笑う。どうやらトーマは酔うと笑い上戸になるらしく、終始この状態なのだ。ライアスは痛む頭を押さえながらため息をつくとレオルドの方へと目を向けると、こちらはトーマとレオルドが出来上がるちょっと前に眠ってしまったアメリアを、レオルドが揺り起こしている。シアンの保護者役としてトーマとアメリアはここ数日気を張っていただけに、これぐらいは多目に見るかともっともらしい言い訳をつけると、ライアスは自分へと言い聞かせるのだった。
かなりの量を飲んでいたはずのトーマだったが、彼の足取りは割りとしっかりとしていた。機嫌良く歩く姿に一見酔っ払いなどには見えないが、頬はほんのり赤くなっている。見かけによらず酒豪だ。それに比べ、座っていた時は平気だったが立ち上がった瞬間に酔いが回ったレオルドは、足元が覚束無い為にライアスに引きずられるようにして歩いていた。
「レオルドさん、大丈夫でしょうか…」
そんな二人の後ろ姿を見つめるアメリアの不安げな呟きに、トーマはけらけらと笑う。
「だいじょーぶ。気にすることないよ」
「そうですか…?」
「ただの酔っ払いです。治癒も不要でしょう」
にこりと微笑むウィルに何も言えず、アメリアは頷く。そんなやり取りにトーマは尚も笑った。
「ウィルって本当にSだよねぇ、好きだよそう言うとこ」
「お褒めに預り光栄です」
「あはは、このイケメン面白いねー、アメリアー」
「え?!えっと、はい…?」
話を振られ困ったように笑いながら、ウィルへと助けを求めるアメリアだったが、彼は微笑むばかりで助けてはくれず。身をもってウィルのS具合を知ったアメリアだった。
宿につくと、レオルドを部屋まで運ぶので先に戻っていろとライアスに言われたトーマは、大人しく従い自分の部屋へと戻ってきた。部屋に入った瞬間に足元が覚束無くなり、ふらふらとベッドへと近寄ると、倒れ込むようにして横になる。寝ながら靴を脱ぐと言う器用な技を披露しつつトーマは枕元へとよじ登る。
「うー、回るっぽい~」
額に手の甲を宛ながら仰向けになると、ふわふわとした感覚が増すのを感じ確実に飲み過ぎたと後悔をするが、今更遅いのは分かっている。明日の朝は、まずアメリアにお世話になってからだろうと考えながら目を閉じれば、簡単に意識が手放せそうだった。そんな所で、扉が開く音と共にライアスが部屋へと入ってくる。マントを着込んだままベッドに倒れているトーマを見つけると、ため息を吐きながら枕元へと足を進めた。
「こら、トーマ、ちゃんと脱げ」
腕を掴んで起き上がらせると、トーマは眠そうに目を擦りながらもマントへと手を掛けた。やけに艶かしくマントを脱ぎ捨てるトーマに、見てはいけないものを見たような気がしてしまい目を背けたライアスだったが、ジャケットを脱ぎきれるのか心配で視線は再び彼の手元へと戻る。ジャケットを脱ごうとボタンを外し始めたのだが、素面と時でさえ時間のかかる行為を酔っている状態で出来る筈もなく、彼の予想通り半分程度まで外したところでうつ向いたままトーマの動きは止まった。
「トーマ?」
「んー…」
半分寝落ちかけている姿はまるで幼い子供のようで、しっかりしているトーマの意外な一面にライアスは小さく笑った。仕方ないと小声で呟くと、彼はトーマのベッドへと腰かけて、脱ぎかけのジャケットへと手を掛ける。ボタンをすべて外しなんとか腕まで抜き取ると、今度は首元のリボン、シャツのボタンと手をかけていく。目を瞑った状態のトーマが、脱がせやすいよう顔を上げると言う微妙な気の利かせようもあり、ボタンは簡単に外されていった。
「ん…」
指が肌へあたる度にトーマから漏れる声に誘われるように、気付けばボタンは胸元まで空いていた。普段彼が寝るときには鎖骨が見える程度までしか緩めないので、ここまで肌を露出しているのを見るのは、これが初めてかもしれない。
(白いな…)
寛げられた首元とシャツを握る自分の肌の色との違いに驚きながらも、吸い寄せられるように首元から鎖骨へと手を伸ばし、そのまま撫で上げるように指を這わせる。
「っぁ」
ぴくんと揺れながら小さく漏れたトーマの声に、ライアスはハッとして慌てて手を引っ込めると、今まで閉じていたトーマの瞼がゆっくりと開いていく。予測以上に焦点のあっていない目には、普段見かけない強烈な色気が含まれており、それと目があった瞬間にライアスは逸らすことが出来なくなった。潤む黒い瞳を細めたトーマは、ゆっくりとライアスの首元へと腕を回す。
「っ、トーマ…」
思ったよりも切羽詰まった自分の声を情けなく思いながらも、これ以上は駄目だと言う意味を込めて名前を呼べば、彼は妖艶に笑って見せた。
「ライ…」
甘えるように名前を呼びながら腕へと力を込められ、顔を近づかせると
「あはは!ライありがとー!!」
雰囲気ぶち壊しに笑いながら抱きついてきた。
拍子抜けしたライアスは抱きつかれた衝撃に耐えきれず、そのまま後ろへと倒れこんだ。ちょうどライアスの胸へと倒れこんでくるトーマは、男とは思えぬ軽さと、柔らかさだった。先ほど平らな胸をこの目で見ていたはずなのに、なぜか微妙に柔らかい胸元に混乱したライアスの視線は集中する。その視線に気づいたのか、トーマはニヤリと笑って胸元を押さえながら起き上がった。
「やだ、えっち」
「なっ」
胸を見ていたのは事実のため、なんとも言えずパクパクさせるライアスにケラケラと笑いながら、あろう事か、彼はライアスの腰の上へと跨ってきた。ぎょっとしてトーマを見上げれば、切なげに細められた目と視線が合い、見上げなければ良かったと後悔する。
「ん~、なんか、久しぶりに酔っ払っちゃったよー」
「分かったから、降りろ」
「え?なんで?ムラっときちゃった?」
「あのな、」
「騎乗位好きなんて、良い趣味してんじゃん~」
「トーマ!」
厳しい声を出して名を呼べば、彼は一瞬きょとんとしてからヘラっと笑う。普段だったら、すぐにごめんと謝るのにこの図太さといったら…おまけにこの絡みようには頭痛がしたし、今までも酒を飲んでこんな状態になって誘ってたのではないかと思うと胸がざわついた。
(…こいつが何をしてきたかなんて、関係ないだろ)
訳も分からず苛立っている自分に気づくと、ライアスは小さく息を吐きながら前髪を掻き揚げる。それを目の前で見ていたトーマは、おおう!と歓声を上げた。
「すごいすごい、今の色っぽくてカッコ良かった!」
パチパチと拍手する能天気な反応。誘ってきたり、無邪気に笑って見せたり、何をしたいのか全く分からない。いや、酔っ払いがすることは大抵理解不能なのだが。そう、相手は酔っ払いなのだ。アルコールを採った後のトーマの寝つきの良さは知っていた。思いついた時には、ライアスはトーマの脇へ手を差し込むと、軽々と自分の上から降ろし、そのまま押し倒すようにベッドへと縫いつけた。突然の出来事に、彼はきゃーと更に楽しげな声をあげ笑う。
「ライに押し倒されたー」
「良いから。もう寝ろ、酔っ払い」
今日何度目か分からないため息を吐きながら、トーマの上から退こうとしたライアスだったが、それよりも早く下から伸びてきた腕が首元へと回され引き止められる。あのな、と下に居るトーマへ視線をやれば、笑っている瞳にはやはり色が混じっているのに気付いてしまい動きが止まる。初めて見るトーマの煽るような笑いに、頭の中で警鐘が鳴っている気がした。
「なんかさー、急に人肌恋しくなるときってない?」
「トーマ、こんな性質の悪いからかいは本当に止めろ」
「心外、俺、ビッチじゃないよ」
「びっ、なんだって…?」
「ライだから、ってこと。いやらしい意味じゃなくて、ぎゅ~ってして寝たく、」
彼の言葉を全て聞き終わる前に、ギリギリの所で保っていた何かが外れた。
「ひゃ?!」
首にかけられていたトーマの腕を乱暴に外すと、そのまま上へと纏め上げ片手で押さえつける。細い彼の手首はライアスの片手で余るほどであり、力も無い為拘束を自分で解くことは難しいだろう。そのまま片膝をトーマの足の間へと滑り込ませ、上へと攻めれば、足を閉じようとしたトーマが自らライアスの足を挟み込むような形になった。
「やっ、」
「お前から誘ってきたんだろ?」
耳元へ唇を寄せ、そう囁けば、目をきつく瞑りながら反応を見せる。それが可愛くて、軽く耳朶を甘噛みすれば、ビクンと大きく体を揺らした。耳が弱いらしい。
「はっ、駄目…!」
「何がだ?ここまで煽ってお預けはないだろう」
イヤイヤと首を振って見上げてくるトーマに、ライアスは小さく笑った。もう一度、今度は強めに押し上げれば、トーマは体を震わしライアスの足を挟む力を強くしながら切なげに眉を寄せ見上げてくる。
「や、あぁ、」
首筋へ舌を這わせれば上がる喘ぎ声と、甘い薫りが鼻腔を掠め、もう引き返せないと確信した。
「悪い、もう止められない…」
頭を上げ、自分の首元を緩めて告げるライアスの表情は苦しげで、そんな彼と目があえば、トーマはとろんとした表情でにこりと微笑み返した。その顔に、何故か愛しさを感じ、ライアスはトーマの唇を塞ごうと顔を寄せたその時だった。
「おい、トーマ、吐き気止め作れるかって、おおお?!?!悪い、邪魔したな!!」
青い顔をしたレオルドが勢い良く部屋の扉を開けて顔を覗かせ、中の光景を目撃すると今度は顔を赤くさせ部屋を出ようとする。だが、扉は完全に閉まりきる前に後ろに居たウィルによって抉じ開けられる。
「何をしているんですか、ライアス!」
怒気を含んだウィルの声に、ライアスは我に返ると勢い良く体を起こし振り返れば、珍しく表情に出すほど怒りを露にしているウィルの顔があった。しかも、愛称ではなくきちんとした名前を呼んだ辺り、これほどに無い程怒っているのが分かる。
「いや、その、」
しどろもどろになりながらトーマの上から退こうとしたライアスだったが、足下のトーマが先ほどから全く動かないのに気付き目を向ける。先程までの色気はどこにいったのか、彼はレオルドに負けないぐらい青白い顔をしながら口元を両手で押さえていた。
「トーマ?」
「ぎも゛ぢわ゛る゛い゛」
「うわ?!やめろ、ここで出すな!」
すでに限界であり、リバースの準備万端だったトーマをライアスは慌てて抱き上げると、戦闘でも見たことの無いぐらいのスピードでトイレへと駆け出すのだった。
ライは、ベッドヤクザだといいなって思います(小並感)




