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LastStory  作者: 咲哉
LastStory:Brave
3/16

02

 何とか今日中に3話完成した…!

 通常は2話目の前書きで書いていた通りなので間違えないように!(?)w

 広がる光景は禍々しく光る赤いマグマ、地面、火山。無数に散らばる肉片、輝くように光る血。思わず吐き気がしそうな紫色の空。

 

「………」


 唖然として声が出せない。

 しかし首だけは動き、この現状を理解しようと周りを見渡していた。あまり働かない脳みそで考えていたとおり、やはり一緒にボス討伐をしていた3人はそこに居た。それだけで少し安心できた自分を感じる。

 3人とも、俺と同じように放心状態だった。当たり前と言えば当たり前、こうやって少しだが冷静に思考できる俺の方が、おかしいのかもしれない。普段クールな人間なら、当たり前だろうが。

 いつまで経っても瞳すら動かない3人を見かね、俺は話しかけることにした。


「…そろそろ、何らかの動きしようぜ?呆然と突っ立ってるだけじゃ、なんも変わんねぇよ」


 俺の言葉にムチを打たれたようにビクッと体を震わせ、我に返る3人を見てまた安心する。しかし、だ。個別に話しかけようにも愛璃以外の翡翠やヒロはどちらがどちらかわからなかった。

 何せ俺は翡翠とヒロの容姿を知らないのだ。愛璃はこの中で唯一の女子だったため、容姿など簡単に分かる…と言うか、愛璃とだけは写メ交換やメールなどもしていた。何故と聞かれれば、メアドを教えてと言われて教えたらこうなったとしか言い様がない。


「愛璃」

「……楓…ってうわぁ……」


 愛璃はようやく周りを見渡し納得したかのような声を出す。俺もシステムアナウンスとこの現状を見て、今の状況を既に納得していた。


「でさ、この二人どっちがどっちか分かる?」

「……たぶん、こっちが翡翠で、こっちがヒロだと思う……」

「てかこの二人さっきから首動かしてるだけでなんも喋んないぞ…」


 愛璃が翡翠だと指を指したのは、長い金髪に黒のメッシュを入れ、ギャル男風な髪型に、少し茶色がかった瞳に線の細い鼻、美形と言うには少し足りないが普通な顔立ちより少し良いくらいの顔立ちをしていて、やや体が細い感のある男性だった。

 ヒロだと指を指した方は、黒髪黒目、如何にも真面目そうな髪型顔立ちをした中肉中背の男性だ。

 そんな微妙な二人を見たあとに愛璃をみると、やはり天使と思えてしまった。

 愛璃は正しく美少女といった感じだ。どちらかといえば美人……なのか?

 少し色素を抜き茶色にした髪をストレートに垂らし、サイドは邪魔なのかサイドアップにまとめている。瞳の色は暗黒、といっていいほど真っ黒で透き通っていてまるで黒曜石のようだ。鼻の線は細く、唇は小さいが淡いピンク色で品を感じさせる。顔つきは凛としていて、姿勢もまた凛としていた。

 体は出るとこは出て引っ込むところは引っ込むと言うモデルも羨むモデル体型。

 どうしてこんな子がネトゲ何かにうつつを抜かしているんだろうというほどの美少女だった。


「おい翡翠、そろそろ帰ってこい」

 

 近くにいた翡翠の頭を軽く小突く。


「うぇぃ!?って誰?」

「FurinだよFurin」

「ふぅ?お前が?まっさかぁ~」


 なんだ?俺がFurinだとそんなに可笑しいか?


「まぁ無理もないよね」


 愛璃が苦笑気味に翡翠に同意した。愛璃の方は、俺の本当の容姿を知っているため苦笑気味なのだが、愛璃の言葉を聞いた翡翠は驚愕の表情だ。

 翡翠は隣にいたヒロの頭を小突き、俺を指差す。


「おいヒロ、こいつふぅらしいぞ!」

「ん?……有り得ねぇ……」


 そこまでか?


「知らねぇよ、俺がFurin、ふぅだ。なあ愛璃?」

「うん。私も保証するよ。この人は正真正銘のふぅ」

「………まぢかよ」

「……想像をはるかに超えてきたな…」


 真面目そうな感じのヒロのセリフに、やはりこいつはヒロだなと感じてしまう。


「てかよ、愛璃も愛璃だよッ!お前何でネトゲなんてやってんの!?」

「そ、そんなにおかしい?」


 愛璃は困ったような笑みで小首をかしげてみせる。無駄に美人なのが相まってかなり可愛い。無駄ではないか。


「いやよ…俺自分の容姿に少しは自信持ってたけど、自信なくした感じだわ~」

「ック……俺もだ、友よ…」


 二人で肩を叩き合い、うんうんと頷き合っている。仲が良いのはいいことだが、大の大人がそういうことをしていると何だかシュールなのでやめてほしいです。


「でよ、愛璃は納得早かったのに何で俺の時渋ったんだ?」

「いや……お前テレビで見たことあるし…」


 ああ。と俺は納得し始める。


「ふぅってあの人気アイドルグループのリーダーだったんだな……」

「まぁ…な。愛璃は知ってたもんな」

「うん」


 愛璃は天使のような微笑みで頷いた。愛璃も人気アイドルグループのリーダーでもおかしくないような気がする。


「と言うか、このグループの面子って以外に容姿良いよな」

「廃なのにな」


 俺の言葉に翡翠が肯定する。

 俺達は古参だからレベルが高い、と言うわけではない。古参の中でもレベルが高い、のだ。もちろんそのレベルに達するにはかなりの時間と情報が必要になってくるわけで、それだけ廃人なのだ。

 そんな廃人が容姿が良いなんて、あまりない事だ。

 誰だってイメージがあるはずだ。廃人=太っていて髪がギトギトで何だか近寄りがたい存在、と。

 それが、これだ。

 俺だって愛璃のときにも驚いたし、今この場で翡翠やヒロを見たときも驚いた。


「容姿のステータスは高めだな」

「お、うまいこと言うね」


 ヒロの言葉に俺が相槌をうつ。しかし皆わかっている。これは現実逃避だ。そろそろ現実に戻らなければならない。またしても俺が、話を切り出す。


「わかってると思うが、此処は俺達のキャラクターがさっきまでいたボスフィールドだ。その辺に散らばってる肉片はボスのものだろう。だから理解しようぜ。此処はもう、地球じゃない、日本じゃない。異世界って考えが一番正しいと思え。なんか俺がリーダーぽくなってるけど、たぶん俺が一番この状況を理解していると思う。だから言わせてもらうけど……此処を脱出する方法は一つ、最後の関門までクリアすること。だから、トップユーザーである俺達は、これから戦わなきゃならない。戦えない、戦いたくない。そう言う奴は、悪いけど置いていくよ」


 俺の言葉に、3人の表情が険しくなる。

 当然だ。

 俺が言っているのは、死ぬ覚悟があるか無いかだ。誰だって死にたくないだろう。俺だって死にたくない。だが、トップユーザーだ。第二関門に進むと言ったのは俺たちだ。この現状も、少なくとも俺たちに責任がある。なら、やはり戦わなければならない、俺はそう思った。

 だから問うた。

 その覚悟があるかと。

 無いのならば置いていくと。

 

「ふぅってやっぱスゲェよな」


 翡翠が口を開く。


「だな」

「そうだね、すごいよふぅは」


 それに二人が相槌をうつ。


「お前らも俺と変わんねぇよ」


 3人は覚悟を決めたのだ。

 これから戦うという覚悟を。

 それぞれの理由を持って、最前線に立つことを。

 だから俺と変わらない。一緒だ。


「あ~でもふぅや愛璃と一緒にいると目立つよな~」

「んだよ。そんなに俺が疎ましいか」

「疎ましいね」

「正直ッ!?」


 翡翠が場を和ませる。

 それにヒロが便乗し、俺も便乗する。行き過ぎたら愛璃がおさめる。

 やっぱり、このメンバーは最高だと俺は思った。


「これからどうするか?」

「取り敢えずあそこのポータルから次のフィールド行ってみようか。ここボスフィールどだから次のフィールドは街でしょ?」


 俺の疑問に愛璃が答える。


「それもそだな」

「そうしようか」


 翡翠とヒロも納得したようだ。


「じゃぁ、行こうか」


 俺達はこの異世界とも呼べるゲーム世界で、始めの一歩を踏み出した。


 ポータルの上に立つと、周りが淡く光り体が浮遊感に包まれる。

 次に目を開いたときは既に街フィールドだった。このポータル移動を、ここに飛ばされた時の感覚と一緒だと思ったのは俺だけなのだろうか。3人の顔を見て、聞くのをやめた。

 3人ともそう感じていたのだろう。少しだけ、表情が硬かった。


 ――ようこそ、第二関門最初の街【ルードリア】へ


 システムアナウンスが響く。いや、この場合女神の声と言ったほうがしっくりくるだろう。

 それっきりシステムアナウンスは止んだ。つまりこの街の名前を告げただけなのだろう。PCでやっていた頃は、画面に『~の街』などと派手なエフェクトと共に出てきていたのだが、それが出来ないため音声で知らせたと言ったところだろうか。

 ルードリアはどうやら中世ヨーロッパ的な構造のようだ。レンガ造りの建物が何軒も並んでいる。

 俺達はこの街に来て初めに何をするかを既に決めていた。

 家探し。簡単に言えば、これからこの街を拠点にするための住居を探す。といったところだ。

 LastStoryにはユーザーが購入し、そこを家として使えるような機能が存在していた。もちろん、メリットはある。なければ誰も買わないだろう。

 メリットとは、家で1時間休めばHPとMPの最大値が全回復し、さらに最大値が倍になる。もちろん家と言う機能だけあって、食事の代わりに回復薬の製造ができたり、日曜大工の代わりに武器製造や防具製造などもでき、アイテム保管などの機能も付いていた。

 こう言う状況ではかなり重要になってくる機能ばかりだ。

 キャラクターの場合、アイテム欄にアイテムを入れておけばそれで良かったのだが、此処ではアイテム欄というものが無い。バックなど戦闘に持ってきているわけもないし当然と言えば当然だ。装備については、周りにバラバラと落ちていたので、今はそれを着込んでいる。幸い、回復薬以外は邪魔になると倉庫に預けていたため無くならずに済んでいるだろうが、今回のボスのドロップ品は、無くなっていた。

 それを知ったとき少しショックを受けたのは致し方ないだろう。


「して、どうやって家を買うよ?家探しはどうにかなるとして通貨がねぇぞ」

「倉庫に預けてあるから大丈夫だろ」

「私全財産消えた……」


 どうやらヒロと翡翠は倉庫に通貨を預けているようだ。愛璃は…俺もだ、気にするな。

 通貨はあるからいいとして、どうやって家探しをするか、だ。どうにかなるだろうが、そのどうにかの方法を考えるのがこれまた難問といったかんじだ。

 俺は後頭部をボリボリかきそのまま腕を振り下ろす。

 

 ――シャリン。


 行き成り鳴った効果音に俺を含め3人が驚愕する。

 そして俺の前に――

 ――半透明のウィンドウが出現していた。


「おいおい……」


 焦ったように、少しだけ安堵するかのように俺はウィンドウを操作していく。


「やっぱり……」


 ウィンドウには、俺のステータス。その横にアイテム欄があり、一番下に持っている通貨が表示されていた。

 その光景を見ていた愛璃達は俺が先ほどしたような動作で腕を振り下ろし、ウィンドウを出現させる。


「……成程、こう言う仕組みなわけね」


 翡翠がどこか感心したように呟く。


「何かこう、すごいね」


 愛璃も簡単の声を漏らした。


「理論的に不可能なこと……でも何か格好良いしいいか」


 ……ヒロ。


「まあ、これでアイテムの件は一件落着か」

「そうだね、さっきのボスドロップ品もちゃんとあるし」


 問題は、やはり家探しをどうするか、だ。

 何か手はないかと考えながら周囲を眺める。すると何だか人らしき姿が見えた。それをNPCだと咄嗟に判断した俺は、その人らしき姿をしたNPCに向かって駆け出した。


「どうしたの!?」

「待ってろ!」


 愛璃が何か訊ねてくるが、俺は焦りと安堵で聞く耳を持たない。

 余談だが、やはりステータス依存はあるらしく、俺の走るスピードはオリンピック1位間違いなしの速さだった。


「ちょっといいか!?」

「?なんでしょう?」

「この辺に不動産屋はあるか?」

「それでしたら――」


「ありがとう!」

「いえいえ」


 一通りの道を教えてもらい、ニコニコ笑顔で愛璃達の元へ戻る。


「すんげぇ嫉妬した」

「俺もだ、友よ」


 訳のわからん事を言っている二人を無視し、愛璃の元へ駆け寄る。愛璃は少しだけ顔を赤くさせていたが、何故か苦笑しながら迎えてくれた。


「NPCが居た!俺初めて見たけどあれってAIって言うんだろ!?ヤベ~よすげ~よ!」

「はいはい、落ち着いて落ち着いて」


 愛璃が興奮している俺の頭を撫でながらそう言ってくる。それで興奮していた俺はだんだんと普段の冷静さを取り戻していく。

 頭撫でられて冷静さ取り戻していくとか……俺よ、大丈夫か……?


「あれってNPCだよな?」

「だろうね。にしても普通に会話してたけど」

「そうなんだよ、すげ~なAIって。何かこう感動したわ」

「そう。良かったね」

  

 若干さっきの興奮した自分を思いだし恥ずかしいが、やはり興奮を全部抑えきれずついつい話してしまう。普通ならいやいやながら聞くところを愛璃は微笑みながら聞いてくれる。

 やっぱり愛璃は天使なんだろうか。


「んで、わかったのか?」


 翡翠がそう問うてくる。


「もちろん、この道をまっすぐ行って、左に曲がって進んでいった突き当りが不動産なんだと」

「不動産て……まあいいけど」


 翡翠の言葉に確かにな、と思う。

 この中世ヨーロッパ的な風景の中に、不動産と言う名前は合わない気がする。と言うか確実に合わないだろう。


「それじゃ、行こうか」

「そだね」


 ヒロの言葉で、俺達は不動産屋に向かうことにした。


 無事に不動産屋に付き、家を購入した俺たちは早速部屋の内装を変更したりしていた。もともとベットやキッチン、机、椅子など必要なものは既に揃っていたのだが、その配置が適当過ぎたのだ。

 因みに家は2軒買った。

 1軒に4人は流石に狭すぎ、1人では広すぎたため2人で1軒にしたのだ。

 ペアは俺と愛璃、翡翠とヒロだ。何故こう言うペアになったのかというと、俺以外がこれが妥当だろうと勝手に決めてしまったせいだ。女子と相部屋とか……ちょっと緊張するな。

 一通り内装を整えた俺と愛璃は、通りがけに見かけた飲食店に向かった。家を見たあと此処でおち合おうと決めていたのだ。

 

 既に飲食店に翡翠とヒロは居た。

 どうやらこの二人は対して内装を弄らず来たらしい。まあ男二人だし、気にしないのかもしれない。逆に俺は男だが、そういうところを気にするタイプで結構時間がかかってしまったのだが。


「今後の予定とか決めようぜ」

「そだな」


 俺の言葉に翡翠が頷く。


「てか、何で俺がリーダーぽくなってんの?俺、多分この中で一番年下だぜ?」

「この状況で歳なんて関係ないだろ、因みに俺は19の東大生だ」


 ヒロが何げに歳を発表した。て、東大生ておい。


「ヒロ凄いね…私は18の高校3年生。まあ大人っぽいって言われたりするけどね」


 微笑みながら愛璃が自己紹介をする。確かに大人っぽいよな。その言動とか体とか。いやすまん。


「愛璃は大人っぽいよな。俺は24で大学院生。こう見えても慶応なんだぜ?」


 翡翠の自己紹介に全員戦慄した。なんだこいつは!?みたいな目を翡翠に向ける。すると翡翠は「やっぱそうなるよな」などと苦笑気味に呟き「本当だぞ」と付け足した。


「まあ別に疑ってるわけじゃないけど…最後になったけど俺は15の中3。背も高いし顔もこんなんだから高校生によく間違われるけど、本当だから」

「……中学生て、中学生て……まぢかよ…こんな大人な中学生嫌だわ……」

「翡翠くん」


 俺はニコニコ顔で翡翠の目を見る。


「ね?」

「はいっ!」


 そんなに怖がらなくてもいいのに…若干愛璃やヒロも怖がっているのがちょっとだけ傷つく。


「俺ってそんなに大人っぽい?」

「ぽいっているより大人?」

「だな」


 そうなのか。自分では自覚が無かったため、少しだけ驚いた。でも、それも当然なのかもしれない。小さい頃から芸能業界に入れられ、人気アイドルグループのリーダーとしてプロ意識もしていて…大人っぽくなっても仕方がないだろう。

 

 しかし愛璃だけは知っている。

 いくら大人でも、やはりまだ中学生だと言う事を。何故かと聞かれればよく楓の事を見ているからとしか言えないのだが。


「あ~本名も一応名乗っとく?そっちのほうが信用できるっしょ」


 これは翡翠の提案だ。確かに、翡翠のいうことには一理ある。本名を知らないのと知っているのとでは、信頼の度合いが全然違ってくる。現実の相手を知っているか否か、の様なものだ。


「俺は神崎かんざき弓弦ゆずる。まあ今までどおり翡翠でも良いし、弓弦でも構わないぜ」


 神崎弓弦……名前だけ聞くと、慶応にいてもおかしくないような名前だが、容姿をみるとそうは見えない…ミステリーだな。いや冗談だけど。


「俺は臼島うしじま博斗ひろと。そのままヒロでいいよ」

「お前リアルネーム使ってたん?初めて見たわ……」

「うっせ」


 ヒロの自己紹介にちゃちゃを入れる弓弦だが、俺も同じことを思っていたので特にツッコミはしない。


「私は小鳥遊たかなし愛璃あいり。私もリアルネームなんだ。今までどおり愛璃で良いよ」


 そう言ってニコッと笑ってみせる。

 やっぱり可愛い。

 弓弦とヒロは……


「おい、起きろ」


 どうやら気絶していたらしい。

 天使のスマイル……恐ろしいッ!


「んで、最後に俺だけど。波多瀬はたせふう。俺のはリアルネーム文字っただけだ。俺も今までどおりふぅでいいよ」

「って名前全然違うの俺だけかいッ!」


 最近弓弦がボケ役なのかツッコミ役なのかわからなくなってきた。


「まあこれで」

「そだね」

「だな」

「うん」


 これで、俺達は本当に信頼出来る友になった。

 今までのネット上だけの友じゃなく、リアルでの友に。

 それを嬉しく思うし、怖くもあった。リアルの友に裏切られる苦しさは、嫌というほど知っているから。


 今後は、暫く情報収集を徹底し、何かわかってきたら次のフィールドに行ってみようという事になった。明日明後日にはトップユーザー達がこの街へ来るはずだし、その時に情報を交換すればいいだろう。

 そこまで決めた後、流石に疲れたので家に戻ることにした。

 時刻をみると既に深夜12時を回っていた。どうやら、色々なことがありすぎて、時間が経つのを忘れていたらしい。

 俺達と弓弦達の家はお隣さんだ。玄関前で、俺達は別れた。

 家の中に入ると、寝室へ直行しベットに身を投げる。どうやら相当疲れていたようだ。俺はまだ中学生。そんな俺が他の3人をまとめていたのだ。疲れていても仕方がない。

 ふと、愛璃が俺のベットに座った。


「お疲れ」

「ああ」

「何だかんだ言って、ふぅはまだ中学生なんだよね」

「ああ」

「ごめんね。疲れた?」

「ああ」

「ありがとう」


 そう言って、愛璃は俺の頭を撫でてくれる。

 なんだろう、この時、俺は愛璃には敵わないなと思った。

 

「…ああ………」


 愛璃に頭を優しく撫でられ、微睡む視界に淡いオレンジ色に光るのランプが見える。


「ああ、そろそろ消すね?」


 返事も聞かず、愛璃はランプの光を消す。それと同時に、俺の視界はブラックアウトし、思考が停止した。

 最後に感じたのは、愛璃の手の暖かさだった。



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