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In The Fantasynovel  作者: kurora
第一章
3/20

01話 召喚

 俺、黒野 迅はとてもファンタジーが好きだ。

 小学校のころから指輪物語やダレンシャンを読んでいた。

 難しかったので理解できないところを親に聞きながら読んでいた。

 そんな俺は中学の頃インターネットでネット小説サイトを発見する。そこには同年代の子供や大人まで色々な人達が物語を作っていた。恋愛、ファンタジー、SF、コメディ、様々な小説に俺は衝撃的だった。

 サイト内でも人気があり俺も好きだったジャンルがあった。それは主人公がいきなり異世界に召喚されて勇者になるような物語。今では珍しくなんてない異世界召喚物。

 そんな物語の主人公に憧れていたし、俺もそんな冒険がしたいと思っていた。

 だが正直こんな話はどうでも良いのだ。俺は何が言いたいのかと言うと、異世界召喚物は光や闇なんかに覆われて草原とかお城とか、魔法陣の上なんて所に突如現れるのが良い。


 いつものように小説投稿サイトにログインして、更新されたはずの「The earth without the end~果てしない大地~」を読むためにカーソルを合わせてクリックをする。本当なら同時にウィンドウズ画面が切り換わるはずだった。

 だが今日は違ったのだ。視界に入るもの全てが変わり、座っていた椅子が無くなり尻を強打し、蹲るという状況だ。

 訳が分からない。俺は今から更新された小説を読むつもりだったんだぞ?なんだよこれ……。

 理解できない状況で混乱している気持ちをどうにか抑えて、自分の尻をさすりながら立ち上がり現状把握に努めようとする。


「おい、何が起きてるんだよ?」

「此処は何処なの? やっと自宅について帰ってゆっくりしようと思ったのに……」


 まず目に付いたのは俺以外にも突然召喚されたと思われる人達がいた事だ。

 何人だろうか……50人、いや100人くらいだろうか。

 立ったままの姿勢で現状を理解できず、固まってしまっている人や、目を擦って何度も見間違えていないか確認する人。更に既に何人かが混乱し、現状を把握しきれないで表情に不安の色が見えていた。

 そして、俺と同じ様に椅子から落ちて涙目の人達が多数いた事に、自分だけで無かった安心感と、自分がこの中の一人と思うとなんとも言えない気持ちになっていた。


…………あ、誰かが召喚された。


 少し離れた所で、尻もちをつく誰かを発見した。

 これは一斉に召喚されている訳じゃ無いようだった、ネット小説の最新話を開いた瞬間、自動的に飛ばされる様になっているのかもしれない。

 通常、この様な非日常的な状況にさらされたら混乱を起こしたりするものだ。案の定、周囲には数人が動揺を隠しきれず混乱しているような症状が見られていた。そして混乱は混乱を呼びパニックに陥る可能性がある。

 では何故俺はその数人と同様に混乱せず、状況把握に勤める事が出来たのだろうか?

 それは俺が中学生の頃、この様な状況に陥った時にどうすれば良いかとても真剣に考え一人で色々な想像をしていた。そしてその対策を全てノートに書き記し、イメージトレーニングを約2年間も行っていたのだ。

 ……いわゆる俺は中二病だった。

 その為、俺は冷静でいるわけでは無く、動揺もしていたが対策は出来ていた。過去の黒歴史が蘇り、恥ずかしくて周りの様に混乱できずにいた。

 俺は恥ずかしさや動揺を無理矢理隅に追いやって周りの混乱に巻き込まれてしまう前に今の状況を理解する事を最優先事項に置く事にした。

 周りの混乱を避けるため、少し離れたところに移動する。


 此処は教会だろうか?だが学校の体育館の様な広さで椅子は並べられてはいないし、正面には十字架は無い。キリスト教のカトリック教会やプロテスタント教会のものでは無いだろう。

 だが天使の様な羽が生えた女性のガラス絵が飾ってあり、そこからもれてくる光は教会の様な神聖なものを感じさせている。

 そして、服装が変わっていた事に今になって気づいた。

 自分はジーパンにTシャツと適当な格好だったはずが、ゆったりした短パンに布巻いたような服を着ていた。

 この国民の服装か民族衣装なのだろうか。いつの間に自分は着替えたのだろう。そんな事ばかり考えていると頭が可笑しくなりそうだったが頭を思いっきり振って考える事に専念する。

 服装が変わったおかげでジーパンのポケットに入っていたはずの携帯と財布が無くなった事が不安になった。だがこの状況ではただの金属の塊と、紙にしかならないと考え諦めた。

 そして、いつもの癖で眼鏡の位置を直そうとした時、眼鏡が無い事に気づいた。

 多分眼鏡は身につけていた物なので携帯や、財布のように無くなってしまったのだろう。


 ……待て、可笑しいだろ?視力が戻っている?

 

 いや、戻っていたと言う表現は間違っているかもしれない、見え方があり得ない。

 今、俺は教会らしい場所の入り口付近に立っているのに、ここからだいたい50m先にある向かい側のガラス絵に付いている汚れや、傷まで見えているし。

 身体能力が日本にいる時より向上しているかもしれないな。

 少しの間、どれだけの能力向上が見られるか試して見ようかと考えたが、その前に状況を理解する事を最優先にしていた事を自分に言い聞かした。


「やっぱり、そうだよな・・・」


 周囲の情報と自身の状況を整理して一つの仮定を作る。

 答えを見つけるまでの時間はほとんどかからなかった心のどこかではもう確信していた。

 でも、情報整理という過程を行った事で冷静になるのは正解だった。仮定が正解だったと言う確信が得られた。

 

――この世界は「The earth without the end~果てしない大地~」の小説の世界そのものだ。

 

 俺は異世界に来て最初にやる事は決まった。

 まず、教会から出無い事には始まらないのだ。多分ここにいてもパニックを起こした奴に巻き込まれるだけだ。見渡しても誰もここから出ていないみたいだが、異世界の教会があるってことは近くに町があるはずだ。

 いきなり魔物に襲われる心配はないしどうせ出るなら早い方がいい。

 もしかしたらもう何人かがこの教会を出ているかもしれない。自分も早く行動を起こした方が良いだろう。

 出入り口に近い場所にいたので俺はさっさと出る事にした。

 だがそれは見なれない女性に声をかけられることで阻止された。

 

「黒野君やっと見つけたわ、もしかしたら私だけかと思って心配したわ」

「……あの、どちら様ですか? なぜ私の名前を知っているのでしょうか?」

「黒野君もしかしてここに来たショックで一部の記憶が飛んじゃったの?」


 その女性は如何にも俺の事を知っている口調で話しかけてくる。

 女性の姿は綺麗に手入れされた黒髪ロングヘアの優しい目をした綺麗な女性だった。俺は女性の言った通り本当に記憶が飛んでしまったのかもしれない。

 俺は不安になってその女性に名前と出身地を聞く、もしかしたらこの世界に飛ばされた瞬間に黒野という同姓の人間と入れ替わってしまったのかもしれないからだ。


「あの、貴女の名前を伺ってもよろしいですか? 出来れば住所も」

「もう本当に大丈夫? わたしの名前はあかりよ、宮本あかり。住所は貴方と同じ県よ、もしかして自分が何処で育ったのかも覚えてないの?」


 ……ん? なんか聞きなれた名前が出てきた。


「あかりはそんなに美しくありません」


 やばい意味を理解したとたん即答してしまった。でも仕方ないんだ。俺は眼鏡でも三つ編みでもないあかりは知らない。

 だが俺が即答した瞬間に何度か食らった事のある全く痛くないパンチが飛んできた。この痛くないパンチのおかげで、この目の前の女性があかりだという事が証明されてしまった。


「ごめん本当にあかりだったのか、でもなぜそんなに美人なのにあんな地味な格好をしているんだ?」

「何を言っているのよ? 私はちょっと顔が整っているだけで美人って訳じゃないわ、それに綺麗にしていたって変な虫が寄ってくるだけ。私は本に囲まれて静かに過ごしたいの」


 なんてもったいない奴だ。そして今の発言でどれだけ敵にまわしてしまうだろうか、俺は怖くなりあかりの発言を誰かが聞いていないか周囲をうかがったが、皆自分の事しか考えられない状態だったので良かった。

 そして俺は気を取り直しあかりと会話を続ける。


「あかりがいるって事は忠則もいるはずだよな、でもあの大きな奴が直ぐに見つからない筈がない、ここと違う場所で召喚されたのか」

「そうね、たー君なら一番に見つかるはずだわ」

「それにうるさい口喧嘩も聞けないってことは佐藤兄弟もここにはいないな、そうなればもうここに居る必要はないさ、早速この教会を出よう」


 そうして、俺とあかりは皆が混乱の中で、思いのほか冷静に事を理解する。そしてこの世界で生き抜くために教会を出る事にした。


「おぉ!やっと来たか黒野!」


 教会の唯一の出入り口を開き外の光が教会に入ってきた瞬間また大きな影が威勢のいい声と共に現れた。

 目の前には立ちはだかる壁……いや、忠則だった。


「なぁ色々突っ込みたい事が沢山あるが一つだけ良いか?」

「何でも聞いてくれ俺がお前に教えるなんてめったにないからな、緊張するぜ」

「出てきたのが俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ?」

「ん? 挨拶をするに決まってるだろ、初めて会った人にはまず初めましてだ、基本だぞ」

「……俺の前に誰か出てないだろうな?」

「あぁ俺が待っていて、最初に出てきたのはお前だ、良かったな」

「あぁ本当に良かったぜ」


 勇気を振り絞って、教会から出ようとしたら2メートル近い大きな男が目の前に現れたら、逃げ出すか腰抜かすぞ。


「なぁ俺も質問してもいいか?」

「いや、お前の視線を見れば何が聞きたいかわかる。こいつはあかりだ」

「すげぇ流石ファンタジーの世界! もしかしてあれか、黒野があかりを湖に落として湖の女神が『貴女が落としたのはどちらのあかりですか?』って質問されて正直に答えたんだろ。だからこんなに……痛って」 

「二人とも私だからって失礼にも程があるわ」


 あかりが忠則のみぞおちを狙って痛くないパンチをする。


「お! このパンチはあかりだな、でもなんでこんなに美人になったんだ?」

「もういいでしょ、どんな容姿だって私は私だわ」


 入口でいきなりくだらない会話をする事になった俺とあかり、忠則は一緒に教会を後にしたのだった。




 「The earth without the end~果てしない大地~」の小説の世界は、日本と違い全く発展していない町並だ。

 雰囲気は中世初期のヨーロッパの様なものだろう、この国は俺の知っている小説の中の世界でも大きく発展している国に入るだろう。

 車や電車などの燃料エネルギーを使用した交通機関は一切ない。自分の足か、馬の代わりとなる生き物が主な移動手段だ。そのため俺達3人は教会から活気のある街までただひたすら歩く。

 だがただひたすら歩くだけでは何も進まない、俺は時間を有効に使うためにこれからの事を相談するために、2人に話しかける。


「ここ小説の世界だよな、一体どういう事なんだろうな」

「そうね、私はただケータイで小説を読もうとしただけなのに」

「そんな事どうだって良いじゃねぇか、異世界に来たんだぜ、早く冒険に行こうぜ」

「忠則、俺とあかりはまだこの世界に来たばかりだ。準備も何もしてないんだよ」

「準備? 俺だってしてないぞ、俺はこの鍛えぬいた強靭な体さえあればこの世界を駆けまわれるぜ」


 そう言って腕を上げて上腕二頭筋を俺に見せつける忠則。


「……そうか忠則は忠則だったな」


 俺は未だに筋肉を見せつけようとする忠則を無視してあかりに視線を移す。


「そうね、まず分かってるのは、今私の手元にあったはずの小説が無いってことね」

「…………お前らマイペース過ぎだろ、もう少しだけで良いから考えてくれ日本に帰れないどころか、このままだと死んでしまうぞ。」


 三人寄れば文殊の知恵という言葉をあっけなく打ち砕かれた俺は、2人に意見を聞くのを諦めて忠則に疑問をぶつける。


「なぁ忠則はなんで教会の外に居たんだ?」

「あぁ俺は黒野とあかりより30分くらい前にこの世界に来たんだ、更新されたら直ぐにメールでネタばれしてやろうと思ったんだが失敗してしまったぜ」

「30分も前から此処に召喚された人間がいるのか…………、おい、今さらっと酷い事言ったな、それは万死に値するぞ」

「まあ気にするなって、結局主人公は俺らだったってオチなんだしよ」

「……笑えねぇよ」


 忠則は俺の呆れた顔を見て笑いながら俺らが此処に来る前の話を始めた。

 召喚された時忠則は、混乱に巻き込まれる前に数人がこの教会を出る流れに乗ったのだが、俺とあかりが見つからず教会の前で少しの間探していたらしく、結局周りから出遅れた形になってしまったそうだ。 その為この教会付近をウロウロしているだけで、まだ俺とあかり同様全くこの国の事を知らないようだった。


「だが、一つ良い事を聞いたぜ、この教会で召喚された物は俺達の地域の人間だけらしいんだ、今のところ此処には佐藤兄弟は来ないみたいだ」

「そうか、読者は相当な人数がいるから一つの教会に収まるはずがないか……」


 俺がまだまだ考える事は多そうだなと思った頃、街の一番の中心街だろうか、様々な人達が忙しそうに働いている場所に着いた。

 街は活気にあふれていた。商店街の様な一直線に続く道のりは今の日本にはほとんど無くなってしまった賑わいが何処までも続いていた。

 果物や精肉、野菜などの食品や衣服や装飾品の店が他店に競い合うように声を大きく張り上げ通行人に商品を大げさに宣伝している。

 商店街に入いると忠則が何度も食品を見つめて歩くスピードが遅くなる、金が無いのに見ていても腹が減るだけだろうと思って忠則を呼ぶとそのたびに心配そう見つめてくる店員。俺はそんなに貧相な体に見えるのだろうか……。

 忠則が横に立っているからだと自分に言い聞かせ、今さらだがふと思った疑問を忠則にぶつける。


「なぁ忠則、今何処に向かっているんだ?」

「何処ってそりゃあ……何処だ?」


 忠則は首を斜めに傾ける。じゃあ今どこに向かっているんだよ…………。

 このままただ3人で歩いていたら餓死するだけだと思った俺はまず情報を集めて出来る事からやっていこうと考え2人に提案する。


「まず一度銀行に行ってみよう」

「なんで? 私達お金を持っていないわよ」

「お金はどうしようもないさ、だけど銀行でカードを発行するんだ。この世界の住民票の変りとなるカードが国の中に居るなら発行は簡単にできた筈だ」


 この世界の銀行とギルドは商会を通して統一している。その時に必要なのがカードだ。この世界で必須ではないが、他国へ移住する者や商人、冒険者など各国を回る必要のある者や、自身を証明する必要がある者が必ず持っているものだ。

 俺達が生きていく方法で現在考えられるのは、店に頼んで住み込みで働くか、ギルドで雑用レベルの仕事をこなし続ける事だろう。


「どうせギルド今から向かったって行列が出来ていて無理だし、明日にでもならないと利用できないだろう。だから今のうちにカード作ってギルドで簡単に登録出来るようにしておくんだ」

「あ! そういえばそうね、全然思いつかなかったわ」

「それと、ついでにこの町の事とか何処の国かも理解する事が必要だな、もしかしたら俺らの知っている国かもしれないし、知らなくても俺らの知っている国がどこにあるかも聞いておけば行動範囲は広がるはずだ」

「すごいわね、黒野君。初めて尊敬したわ」

「天才だな、俺はだいたい30分も前に召喚されても何もやって無かったぜ」

「初めてか……まぁ忠則が馬鹿だからな、俺は冷静に考える事が出来たのかもしれないな」

「俺が馬鹿なのは関係あるのか? なら俺のおかげでもあるな。褒めても良いぜ」


 本当は俺の黒歴史ノートのおかげなのだがそんな事は口が裂けても言えるわけがない、適当に忠則のせいにしておくとしよう。 

 俺は通行人に銀行の場所を聞き、早速3人で銀行に向かう事にした。

 数分後、銀行に着いて3人で登録とカードを発行した。

 俺達の他にもギルドではなく銀行で証明書を発行している人達が数人いた。

 カードを発行するのに金が無かったため不安だったがやはり必要が無いらしく、本当に便利で助かった、俺が三人分のカードの発行を待っている間『何故私なの?』と、不満を持っていたが何とかあかりにこの国の事を色々聞いてもらった。

 やはりこの国でもあかりは美人な部類だった、小説では文字で表現されていても美人の対象が全く同じとは限らなかったがそんな心配もいらなかった。

 あかりは適当に銀行で何かを待っている男に話しかけると、その男性は笑顔であかりの質問に答えていた。

 それはこれから誰かに何かを聞くときはあかりに頼もうと思った瞬間だった。

 この国は俺達の知らない国リーディアという国の東都市らしい。

 リーディアは東西南北の4つの都市部と中央の大都市があり、俺らの知っている国の中でも相当大きい国の一つの事が分かった。

 近くの国は南の方角にラルト国、東にデリル国その他にも中小と様々な国がある事も確認できた。


「ラルトは知らないわね、でもデリルって小説では最東端の国だった筈よ」

「なら最初に向かう国はデリルだな」

「なんでだ? まず新しい新天地に進むのが男だろ。勇者だろ」

「馬鹿、何も下調べなしに死に行くつもりか? まず知っているデリルで今の状況を確認して冒険の準備をする必要があるだろ、それに俺達はこの小説の世界を知っているが、実は何も知らないに等しい。だからまず、デリルに行って様々な国の情勢を出来るだけ把握しておきたい」

「そうね、当面の目標はデリルで決定ね」

「残念だが準備は必要だよな、金がないと飯は食えねぇもんな」


 お腹を鳴らしながら納得する忠則。

 銀行を出るともう日は沈みかけていた。早い処は既に店を閉めている。この席には街灯という物がないのか、日が沈むと真っ暗になりそうだった。


「お金が無いと何もできないわね」

「あぁ俺なんか晩飯食ってないから、もう餓死できるぞ」

「晩飯食わないだけで餓死するか馬鹿」

「お前らは大丈夫なのかよ」

「私は1日位食べなくても平気よ」

「俺はもう食ったな」

「畜生、俺も飯食ってから召喚されれば良かったぜ」

「ネタばれしてやろうって考えがいけなかったんだな、その報いだ」


 だが本当に困った。金が無いと飯も食えないし宿も泊まれないだろう。


「でもこのままだと野宿になってしまうわね……直ぐにお金を手に入れる方法が無いしご飯とベッドは諦めて今日は教会に戻ってどうにかするしかないわね」

「いや、マズイだろ……」

「そうだな、俺らはまだ大丈夫だがあかりは女性だ」

「貴方達私が眼鏡と三つ編み無くなったら態度がガラッと変わるわね、覚えてる?私貴方達と一緒に図書館で寝たわよ?」

「そうか……あかりだったぜ」

「あぁそういやあかりだったよ」

「納得したなら良いわ、でも何かムカつく」


 あかりは両手を使って俺と忠則に痛くないパンチを食らわせて3人は街が暗闇に染まる前に教会へ向かった。


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